名人戦
リンク
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
40
41
42
43
44
45
46
47
48
49
50
51
52
53
54
55
56
57
58
59
60
61
62
63
64
65
66
67
68
69
70
71
72
73
74
   
名人戦index
トップページへ戻る

名人選定方法

第一期名人の選定

(1)

略ぼ二年間にわたりて全八段の先後二局宛の特別リーグ戦を行い、 その平均得点に百分の五十五を乗じたるものを各人のその得点とす。

(2)

前項の期間における、前項の特別リーグ戦以外の対八、七段戦の平均得点に百分の四十五を乗じたるものを各人の普通棋戦の得点とす。

(3)

特別リーグ戦、並びに普通棋戦の得点を合しこれによりて各人の成績順位を定め、第一位ならびに第二位の者を名人候補とし、これに先後六回の決勝対局をなさしめ、優勝者を名人に推薦す。
ただし、第一位と第二位の差八点を超ゆる場合には、この決勝対局を行うことなく第一位の者を名人に推薦す。決勝六回の対局において同率となりたるときは、第一位の者を名人に推薦す。

(4)

前項の得点四十点に達せざる者、または不可抗力によるにあらずして特別リーグ戦を完了せざる者は、次の特別リーグ戦に参加することを得ず。
得点三十点に達せざる者は、連盟において適当と認める時期まで、特別リーグ戦に参加することを得ず。


特別リーグ参加者
土居市太郎
大崎熊雄
金易二郎
木見金治郎
花田長太郎
木村義雄
金子金五郎
神田辰之助
萩原淳

現在に続く実力制名人戦の発足は、一世名人大橋宗桂以来300年の歴史をもつ終生名人制にピリオドを打つ歴史的な事件であった。
実力制名人制度は十三世名人関根金次郎の英断と当時の将棋連盟顧問中島富治両氏によるところが大きい。

第1期名人戦決定特別リーグは、昭和10年6月16日 花田長太郎八段対金子金五郎八段で開始された。
当初の参加棋士は土居、大崎、金、木見、花田、木村、金子の7人の八段であった。2年間でリーグ戦を終える予定であった。

しかし、昭和10年11月に神田辰之助七段の八段昇進問題に端を発し棋界は将棋連盟と革新協会の2団体に分裂する騒ぎとなった。
この騒ぎは関根十三世名人と小菅剣之介八段(贈名誉名人)の仲裁により昭和11年6月解決し将棋大成会を結成した。
上記の騒動の影響で名人決定特別リーグは半年間延期となった。その後当初のメンバーに神田辰之助八段と萩原淳八段が新たに加わり総勢9名となった。

木村義雄、花田長太郎両八段が僅少の差で名人位を争い、六番勝負の決戦になるかならぬか特別リーグ戦の最終局に顔を合わせて決せられることになった。
両者の特別リーグ戦における顔合わせは、合同して間もない昭和11年8月5,6日に行われたが、このときは花田八段の勝ちとなっている。
また普通棋戦では木村八段が2連勝している。
両者の対決は全棋界の注目のうちに昭和12年11月末に対戦したが、このときが千日手無勝負となり、昭和12年12月5,6日湯河原温泉「天野屋」で緊迫のうちに指し直された。

 このとき木村八段が敗れると、平均得点の差が8点以下に縮まって、再び両者によって六番勝負の決戦が展開されるはずであったが、花田八段に棋運つたなく、木村八段が有終の美を飾って、得点差が8.1と開いて決戦の六番勝負に至らず新制度に基づく第一期名人位の栄冠は木村八段の獲得することとなった。


第1期名人決定大棋戦成績表

  名人決定特別戦 (勝○120点、負●20点 採点は平均の55/100) 普通戦 (採点は平均の45/100)    









勝敗

得点
平均
採点
内容【勝○平手120,香落(上)140(下)100 持△平手同段70一段差(上)60(下)80
     負●平手20,香落(上)40(下)0】

勝敗

得点
平均
採点
合計
順位
木村義雄 一期
13-2
1,600
106.7
58.7
○大崎 ●神田 ●金子 ○花田 ○大崎 ○大崎 ○萩原 香○溝呂 香○宮松
27-7
3,400
100.0
45.0
103.7
香○渡辺 ○金 ○金 ○大崎 ○斎藤 ○萩原 ●土居 ●萩原 ○斎藤
二期
香●山本 ○土居 ○萩原 ○土居 ○金子 ○神田 ○萩原 香○宮松 ○花田
○金子 ●神田 ○渡辺 ○渡辺 ●萩原 ○萩原 ○花田
花田長太郎 一期
13-2
1,600
106.7
58.7
●金子 ●木村 ○土居 ●萩原 ○金子 ○木見 ○木見 ●木村 ○木見
12-8
1,640
82.0
36.9
95.6
○神田 香○斎藤 香●山本 ●金 ○金子 ○渡辺 ○渡辺 ○神田 ●土居
二期
○萩原 ●木村
土居市太郎 一期

8-7
1,100
73.3
40.3
○小泉 ○金子 香○萩原 ●花田 ●神田 ○金 ○金 ●溝呂 ○木村
13-8
1,680
80.0
36.0
76.3
○萩原 ●金 ○金 ●木村 ○萩原 ○金 ○金 ●金子 ●木村
二期
○金 ●萩原 ○花田
神田辰之助 一期
8-7
1,100
73.3
40.3
●萩原 ●木村 ○金子 ○萩原 ●花田 ●金子 ○萩原 ○木村 ○渡辺
7-8
980
65.3
29.3
69.6
二期
●花田 ●渡辺 ●坂口 ●萩原 ○萩原 ○萩原
金子金五郎 一期
7-8
1,000
66.7
36.7
○木村 ○花田 ●金 ●神田 香○渡辺 ●土居 ●木村 ●花田 ●神田
9-11
1,300
65.0
29.3
66.0
○土居 ○萩原 ○神田 ●木村 ●金 ●花田 ○金 ●渡辺 ●金
二期
○萩原 ○渡辺
萩原淳 一期
7-8
1,000
66.7
36.7
●木村 ●土居 香●斎藤 ○木村 ●土居 ●木村 ○神田 ○花田 ●木村
7-15-1
1,230
53.5
24.1
60.8
△金 ●神田 ●金子 ●神田 ●渡辺 ○土居 ●金子 ○神田 ○渡辺
二期
●神田 ●神田 ○木村 ●木村 ●花田
金易二郎 一期
5-10
800
53.3
29.3
香●斎藤 ○金子 香●神田 ●土居 ●木村 ●木村 ●土居 ●土居 ○木見
6-12-1
1,050
55.3
24.7
54.0
●斎藤 ○土居 ●土居 ●土居 △萩原 ○花田 ○金子 ○金子 ●土居
二期
●金子
木見金治郎 一期
3-12
600
40.0
22.0
香●神田 △萩原 ●萩原 ●金 ●花田 ●花田 ●花田 △坂口 ●坂口
0-7-2
240
26.7
12.8
34.8
二期
大崎熊雄 一期
0-8
160
20.0
11.0
●木村 ●木村 ●木村 ●木村
0-4
80
20.0
9.0
20.0
二期
(注)大崎八段は途中病気のため棄権休場した。