休日の山歩き 33 鋸山 Nokogiriyama
[房総] 鋸山(329m)
2011年1月23日(日)
保田の町並みを望む トップページ
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  東京湾を望む展望台から
  鋸南町保田の町並みを望む

【鋸山と水仙の里へ】
南房総・鋸南町周辺は、1月に可憐な水仙が咲き乱れることで有名で、内房線の保田駅や安房勝山駅を起点にして水仙の咲く里を歩くいくつかのコースが紹介されている。また、有料道路やロープウェイで観光できる鋸山には、浜金谷駅や保田駅と結んで歩くハイキングコースがあり、近年新しい登山コースも整備されたという。
そこで、内房線保田駅を出発して林道を登り、鋸山の稜線に東側からアプローチし(裏鋸)、三角点のある山頂や石切場跡を歩いた後、観光地である日本寺を経由して保田駅に戻るコースを計画した。さらに、保田駅から南の江月水仙ロードにも足を伸ばすことを計画した。

【内房線保田駅を拠点に】
関東平野は雨も降らず晴の乾燥した日が続き1月下旬になったが、日曜日朝、天気はやはり良さそうだ。午前7時台、木更津から内房線・館山方面の朝2番電車に乗る。車窓から富士山もよく見える。車内にはハイキング姿の乗客がちらほらいるが、下車する駅はそれぞれ違うようだ。8時23分、保田駅で下車。水仙ロード目当ての人達で既に少し賑わっている。一方、駅前には、まだ新しい案内板で「関東ふれあいの道−東京湾を望む道」と題して、保田駅から鋸山を経て浜金谷駅に至るコースが紹介されているが、これこそ私がここから歩こうとしているコースだ(ガイドブックによれば、平成18年3月に整備された8.4kmのコースだ)。

鋸山を望む 案内図
保田駅前から鋸山を望む。稜線上の地点を同定してみたが合っているだろうか。 保田駅前の案内図

【林道を歩く】
線路に沿って北に向かって歩き始め、ガードをくぐり、さらに右折して東に向かう。既に、線路脇や道路沿いの空地に可憐な水仙が咲いており、農地には水仙のほか黄色い菜の花も群生している。やがて民家もなくなり、富津館山道路の下をくぐり、鋸南町の水道施設や貯水池を見て進む。道は林道金谷元名線になり、小型車しか通れない車止めがあり、舗装も終わる。右側の広大な採石場を樹間に見ながら登るうち傾斜も急になり、よくぞ道を造ったと思う深い切り通しを経て、道は最高点に達し、安房(鋸南町)と上総(富津市)を分ける峠になった。保田駅から1時間10分、ここが林道口で、鋸山の稜線の入口だ。ここまで出会ったのは、車2〜3台と歩行者1人だけ、至って交通量の少ない林道だ。

道標 林道 林道
民家の塀に付けられた道標 林道 小型車しか通れない車止め 林道口 保田側を振り返る

【裏鋸の尾根道】
尾根に入ると、明瞭な道が西に向かって続き、急坂には階段が、平坦な場所にはベンチも整備されている。南側に東京湾が望める場所もある。小さなアップダウンを繰り返し、前方の樹間に三角形のピークも見える。階段の急登を登ったピークはまだ山頂ではなく、木に囲まれ展望がないが、金谷方面に沢コースという道が分岐しているようだ。その先でまた樹間にピークが見える。

尾根道 尾根道 鋸山山頂(三角点峰)
尾根の南側 杉林を背景に
して枝振りの良い常緑広葉樹
尾根道 急登には階段がある。
人の気配のない道
鋸山山頂 三角点がある。
北側に山並みと東京湾の展望がある

【鋸山山頂−三角点のある山頂と東京湾を望む展望台】
次に階段を登ったピークが鋸山山頂で、329.5mの1等三角点峰だ。ここまでは人の気配がなかったが、山頂は10人近い人で手狭になっており、ここより西側は歩く人が多いようだ。この山頂からは北側の山並みや東京湾の展望があり、東京湾観音や工業地帯の煙突も見える。山頂を後にして西に進むと千葉テレビの電波塔があり、右側に階段を下って登る巻き道も付いている。
階段の急登があり、次に狭いコルに着く。北は石切場方面に下降しているが、まず西に一登りで「東京湾を望む展望台」に行く。三方向に東京湾が広がり、右手(北)に館山道と浜金谷の町並みを見下ろし、その先に対岸の三浦半島がある。かすかに富士山が見えたと思ったが、やがて確認できなくなった。一方、左手(南)には鋸南町保田の町並み(このページ冒頭の写真)、さらに左に山並みが続くが、その中で富山の双耳峰が目立っている。そして正面は尾根続きの隣の山頂で、ロープウェイの白い建物や観光客で賑わう岩の展望台が目と鼻の先だ。午前11時になり、展望を楽しみながら休憩した。

浜金谷の町並みを望む 東京湾を望む
東京湾を望む展望台から北側を望む。
浜金谷の町並みとトンネルから出た館山道
三角点のある山頂から北側を望む。
中央右に東京湾観音、その奧に煙突群
東京湾を望む展望台 東京湾を望む展望台の下のコル 階段
東京湾を望む展望台
三方に東京湾が望める
コル 左に登ると東京湾を望む展望台
正面は石切場跡に急下降する階段
三角点のある山頂から電波塔を経て
西に進むと、階段の急登がある

【石切場跡の道】
コルに戻り、石に刻まれた階段を急下降し、平坦な道になると、道の左側に石切場跡が複数あり、右に車力道への分岐がある。説明によると、この石切場跡を結ぶ道は、車力道とともに、最近歩行コースとして整備された道で、今まで山頂から見下ろすのが売りだった鋸山の、新名所になったとのこと。最も大きな石切場跡に入ってみると、広場を囲んで石の壁が垂直に立ち上がり、江戸時代から昭和57年まで石切りが行われたとの説明があり、錆びた石切りの機械もある。また、観光客で賑わう地獄のぞきを真下から見上げる。道に戻ってさらに進むと、観月台への分岐を経て、日本寺の北口に達し、拝観料600円を払って日本寺の区域に入る。

石切場跡 石切場跡 石切場跡
石切場跡 石切場跡 階段を左折 石切場跡を見上げる
石切場跡

最も大きい石切場跡
石切場跡

石切場跡(左の写真)
で石に刻まれた文字 
地獄のぞきを見上げる
地獄のぞき(左の岩)を見上げる

【日本寺と鋸山展望台】
観光客の多い日本寺の区域で、まず石に刻まれた百尺観音を見る。次に階段を登って鋸山の西側の山頂に上がり、地獄のぞきから先ほどの北口を見下ろし、岩の展望台で360度の展望を楽しむ。東側の「東京湾を望む展望台」のある山頂とはわずか200m程の距離だが、この間に木が茂っており、一般の人が直接歩ける道がないのだ。
山頂を後にし、千五百羅漢の多数の小さな石仏を見ながら緩く坂を下り、高さ31mの日本一の大仏を見て休憩した。観光客で賑わう区域に別れを告げ、静かな心字池などを見て、日本寺の表参道口を出る。
裏鋸の静かな尾根と、石切場跡の異様な岩壁は、観光地化された鋸山の意外な側面だった。

鋸山山頂(西側)を望む 鋸山山頂(東側)を望む 鋸山山頂(東側)を望む
東京湾を望む展望台から西側に
ロープウェイ山頂駅と日本寺の山頂を望む
日本寺の山頂から東側に
東京湾を望む展望台のある山頂を望む
左を拡大
東京湾を望む展望台に人が見える
鋸山山頂(地獄のぞき) 鋸山山頂(岩の展望台) 千五百羅漢
日本寺の鋸山山頂 地獄のぞき 日本寺の鋸山山頂 岩の展望台 千五百羅漢の石仏
百尺観音 大仏 千五百羅漢
百尺観音 大仏 色々な表情の石仏

【水仙ロード】
保田駅に戻ると、午後2時になっていた。ここから水仙の里に足を伸ばすことにし、多くの歩行者で賑わう江月水仙ロードに入った。沿道の農地に群生する見事な水仙を見ながら、川沿いの道を緩く登り、コースの頂上まで約1時間で達し、同じ道を戻った。

保田駅 水仙ロード 水仙
保田駅
 
水仙ロード 水仙
【行程】
(内房線)木更津7:39発⇒保田8:23着

保田駅8:28→8:50館山道下→林道→9:38鋸山登山道の林道口→10:05ピーク→10:20鋸山山頂・1等三角点10:27→10:30電波塔→10:45コル→10:47東京湾を望む展望台11:17→コル→石切場跡の道→11:40石切場跡11:55→12:09日本寺北口・百尺観音→12:20鋸山展望台・地獄のぞき12:31→千五百羅漢道→13:03大仏13:18→13:31日本寺表参道口→13:42保田駅方向左折→14:02保田駅→14:18水仙ロード入口→14:25館山道下→14:46水仙広場→14:58水仙ロード頂上15:02→15:52保田駅
(歩行時間 鋸山5時間34分、水仙ロード1時間50分)

(内房線)保田16:38発⇒木更津17:21着

富山山頂から鋸山を遠望する(2010/11/3) 【参考資料】 千葉県の山(山と渓谷社2010年)

2011/2/3整理、2/6修正

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