休日の山歩き 15 雲取山と飛竜山 Kumotoriyama/Hiryuusan
[奥多摩・奥秩父] 雲取山(2017m)、飛竜山(2077m)
2009年5月2日(土)、3日(日)
雲取山山頂から飛竜山を望む 飛竜山付近の縦走路から雲取山を望む トップページ
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雲取山('08年)
雲取山・飛竜山
('09年)
奥秩父主脈縦走
('11年)

雲取山('11年)
雲取山('12年)
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東京から望む奥多摩の山並み 東京から望む
奥多摩の山並み
08/12/31

【初めてのテント携行山行は雲取山・飛竜山へ】
テント泊に対応した60Lのザックを購入した。初めて使う山行として、5月の連休に雲取山から飛竜山に縦走する計画を立てた。雲取山へは去年鴨沢から往復したので、今回は日原から大ダワ林道で攻めることにし、雲取山荘にチェックインした後に山頂往復もできるよう考えた。また、飛竜山は冬に東京から見渡せる山並みの中に雲取山と並んであり、それだけに親しみを感じる山だった。

【日原林道を歩く】
午前5時過ぎに自宅を出て、西武線経由で拝島からJR青梅線に乗った。青梅から先の車内は既に多くの登山者で賑わい、終点奥多摩駅に7時17分に着き、登山者がどっと降りた。7時25分発の東日原行きのバスは1台では乗りきらず一回り小さいバスで増発が出た。終点東日原バス停から8時に歩き始める。天気が良く、暑くなりそうだ。新緑が美しい。町並みを抜け、日原川に沿った長い林道歩きになる。男性2人組と前後して歩く。車やバイクも通行している。やがて天祖山への道が右上に分岐する場所に着くと、車止めゲートは開いている。その先も林道は整備された車道で、左下に日原川を見ながら続く。右手の斜面から清水がしたたり落ちる場所もあった。
富田新道が左下に分岐する場所には、数台の車が縦列駐車していた。そしてようやく、目指す大ダワ林道が同じく左下に分岐する場所に着くと、ここにも車数台とバイク1台が駐車している。早朝にここまで車で入れば、雲取山の日帰り往復も可能だろう。10時を少し回っており、2時間余りの歩きだった。菓子パンで腹ごしらえした。
今回のザックはテント、シュラフ、2日分の食料などを詰め込み16kg余りになっており、重さが肩に食い込む。そしてこの長い車道歩きで、早くも足の裏にマメができ痛み出した。ここ1〜2年、山歩きで足にマメができたことはなく、靴と相性がいいと思っていたのに、だ。

東日原 日原林道入口 大ダワ林道入口
東日原 日原林道入口 大ダワ林道入口(日原側を振り返る)

【大ダワ林道を登る】
さて、大ダワ林道は、車道から一旦下り、丸太の橋で長沢谷を渡り、尾根筋を右から左に乗り越え、以後は二軒小屋尾根の左斜面に付けられた道を、左下に大雲取谷を見下ろしながら登っていくことになる。熊除けのベルを鳴らしながら歩く。道は急登はなく概ね歩きやすいが、急斜面に取り付いた道だけに、狭い所や山から土が崩れてきている所もあり、重い荷で足がふらつかないよう注意が必要だ。足の裏のマメは山道のゆっくりした歩きになると痛まなくなった。周りの木々の様子は、高度を上げるにつれ広葉樹の新緑がより初々しいものになり、ピンク色のツツジも見られた。右手から合流してくる支沢も2度ほど渡った。
上から降りてくる単独登山者2〜3人と会った。そのうち1人は先ほどの登山口にバイクを止めてあった人で、上の方で撮影して戻って来たとのこと。この人によれば、林道(車道)は毎年整備されて良くなっており、ゲートが開く期間も長いようだ。

長沢谷を渡る 大ダワ林道 大ダワ
長沢谷を渡る 大ダワ林道 大ダワ

【雲取山荘から昼過ぎの雲取山頂上へ】
やがて長沢背稜の稜線上の大ダワに出た。午後1時になり、登山口からコースタイムの2時間半とほぼ同じだけ掛かった。ここを左折して雲取山荘を目指すが、道は2とおりあり、右側の男坂となっている方を選ぶ。雲取ヒュッテの廃屋を経て、去年立ち寄ってから1年ぶりの雲取山荘に着いた。幕営代300円を払い、30分程度でテント設営完了。昼食もまだ摂ってないが、菓子パンで軽く腹ごしらえし、雲取山頂を目指す。重いザックから解放され、水筒など必要なものだけをサブザックに詰めての登りだが、それでも足取りが重い。緑色のロープで仕切られたこの登り道は最近まで雪が残っていたせいか、ぬかるんだ所がある。午後2時半、1年ぶりの雲取山山頂に着く。多くの人で賑わっている。大学のサークルと思われるグループもいる。すでに空気は霞んできており、周りの山並みも山肌がぼやけている。その中でよく注意すると、富士山も周りの山よりひときわ高く微かに見えている。
山頂の気分を楽しんだ後、鎌仙人と田部重治のレリーフに立ち寄りながら、山荘に戻った。山荘前のテーブルで多くの人が夕食前の一時を過ごしていた。

雲取山荘の賑わい 合成 雲取山荘テント場
雲取山荘の賑わい 雲取山荘テント場

【テント泊】
このテント場は雲取山荘の下の尾根道に沿って細長く作られており、下の段に3〜4人用の大きいテントが1列に、上の段に1〜2人用の小さいテントが2列に張られている感じだ。私のテントは、3張りほど入れそうな平面に先客が1張りあったので、その対角線の位置に張ったが、最終的にもう2張り入ってきてびっしり4張りになった。今日は山荘もテント場も大入りのようだ。
ここで遅い昼食というか早い夕食というか、にする。アルファ米の五目ご飯に、缶詰、味噌汁、山荘で買ったビールなど。食後に芋焼酎の水割りだ。食事以外はすることもなく、汗をかいた服を着替え、6時18分頃日没を見、7時過ぎには就寝した。既に近隣のテントからは爆睡の様子が聞こえたが、自分がどんな寝方をしたのかは分からない。私の寝袋は平地用で低温に強くないので、上着を着込んでいても少し寒かった。体をくの字に曲げてしのいだ。

【早朝の雲取山頂上へ】
2日目は午前4時に起床し5時に出発する予定を立てたが、周りのテントの一部で随分早く起き出す様子があった。ふと、前夜のラジオで東京の日の出が午前4時40分台と言っていたのを思い出し、雲取山でご来光を仰ごうと思い立ち、3時5分に起床した。朝食はラーメンとコーヒー。荷物をザックに詰め、テントの撤収もヘッドランプの明かりを頼りに行い、4時20分頃テント場を後にしたが、同じ区画の4張りのうち私が3番目だった。山荘の前にも既に早起きの登山者が出ており、トイレにも列ができているので、山頂の避難小屋にもトイレがあるのを思い出して、ここでは水だけを補給して、4時25分にヘッドランプを点けながら山荘を出発。前日と違い重い荷を背負っての登りだが、十分休んだせいか、余り苦にならない。鎌仙人のレリーフに下からも入口があるのに気づきそちらへ回ると、早速暗くて道が分からなくなったが、レリーフの岩の形を目標にして無事通過できた。

【山頂での展望その他】
山頂に着くと、白々と夜が明けつつあり、既に多くの人が出ている。富士山は、お決まりの埼玉県の標識の右にかなりはっきり見えるし、南アルプスの白峰も、飛竜山で左右に分断されながらよく見える。これから歩くことになる飛竜山までの稜線も追ってみた(このページ冒頭の左の写真)。5時過ぎに東の方の雲間からご来光が覗いた。
避難小屋のある方へ移動すると、富士山は遮るものもない正面に見えて、こちらもなかなか良い。石尾根の広い道も良く見下ろせる。ここで、避難小屋のトイレを使わせてもらった。トイレの中に「糞尿以外のものを落とすな。ティシュー等の紙は持ち帰れ」という趣旨の注意書きがあり、そのとおりにした。ただし、トイレの中は狭く、持ち帰るべきものを置くような棚もなく、やりにくい。

雲取山頂上 雲取山頂上 雲取山頂上
雲取山山頂(東京都の標識) 雲取山山頂 雲取山山頂(埼玉県の標識)と富士山
雲取山頂上から石尾根を望む 雲取山頂上から富士山を望む 三条ダルミ
雲取山避難小屋付近から石尾根を望む 雲取山避難小屋付近から富士山を望む 三条ダルミ(中央が縦走路、左が三条の湯

【飛竜山を目指し奥秩父主脈縦走路へ】
名残は尽きないが、午前5時55分に雲取山を後にし、飛竜山に向け歩き始める。急な道を下ると程なく三条ダルミで、広々しておりここからも富士山の眺めがよい。ここにテントを張っている人もいた。三条ダルミから先の縦走路はまだ新緑も出そろわず見通しの良い落葉樹林の下に小笹が茂る歩き易い道が続き、開けた狼平を過ぎ、その先やや急な登りになった。この登りの途中で休んでいる男性がいて、昨夜は奥多摩小屋に泊まり、今日は飛竜山までで下山するか、さらに縦走するか思案中とのこと。以後この人と抜きつ抜かれつして歩くことになる。地図には三ッ山だけが表示されているが、ここにはいくつもの峰が連なっており、縦走路はほぼ峰々の南側を巻いて付いている。歩きにくいことはなく、立派な木の橋もあったが、倒木が多かった。前方に次々に現れる峰を、それと気づかず撮った写真が、後から確かめると飛竜山を捉えていた(下右の写真)。
飛竜山の山頂への登り方に関して、西側の飛竜権現から登る他に、地図(2009年版)では東側の縦走路からも破線で近道が引かれている。どちらを取ろうかと考えているうちに北天ノタルに着いたので、休んでいると、反対方向から男性がやってきて、昨日西沢渓谷のあたりから入り、将監峠の小屋が混雑していたと話した。この人に飛竜山山頂に東側から登る道があるのか聞いたら、飛竜権現に荷物を置いて登る、山頂は展望が悪い、少し先に展望の良い岩がある、とのことだった。有益な情報だと思いながら歩くと(このページ冒頭右の写真はこの付近から雲取山を振り返ったもの)、結局東側からの入口には気づかず飛竜権現に着いた。

縦走路 縦走路から飛竜山を望む 合成
縦走路 縦走路(北天ノタル手前)から飛竜山を望む(左は前飛竜)

【飛竜権現から飛竜山山頂と禿岩展望台へ】
飛竜権現の名前の元である小さな祠がある。ここに先ほどの(奥多摩小屋に泊まった)男性1人だけが先着しており、山頂は以前登ったから今回はパスとのこと。ザックを置き、水筒だけを手にぶら下げて山頂を目指す。深い緑に囲まれた道には、ずっとシャクナゲの常緑の葉が茂っており、もうすぐ開花したら圧巻だろうと思った。途中、数人の人が降りてきたが、全員ザックを背負ったままだったのでちょっと驚いた。飛竜山山頂に着くと、やはり木立に囲まれて展望は良くないが、樹間から富士山も見える。男性が3人休んでいて、東側の入口をたまたま見つけて急登を登ってきたとのことだった。縦走する登山者からは省略される不遇な山頂だが、雲取山より60mも高く、今回の山歩きルートの最高峰だ。なお、地図には2077mの山頂のほか2069mの三角点が書かれているが、山頂で休んでいた男性は、東側から登ってくる途中に三角点が転がっていた、というようなことを言っていた。
飛竜権現に戻ると、先ほどの男性は既にいなかったが、その代わり多くの登山者が行き交ったり休んだりするようになった。奥秩父主脈縦走路はここから西にさらに伸びており、飛竜山を単なる通過点と考えて東西に行き来する縦走の登山者が結構多いようだが、私の奥多摩の地図はここが西の端で、あとは丹波に降りるだけだ。テントでの朝食から既に6時間も経っているので、菓子パンで簡単な昼食にした。
禿岩の展望台は、縦走路を将監峠の方向に少し行って左に分かれた所にあった。山また山しか見えない素晴らしい展望で、南の富士山から南アルプス、西の奥秩父主脈縦走路の連なりなど、一望だ。ここでも数人が休んでいた。

飛竜権現 飛竜山への登りのシャクナゲの葉 飛竜山頂上 サオラ峠
飛竜権現 シャクナゲの葉 飛竜山山頂 サオラ峠

【丹波バス停に下山】
10時30分に飛竜権現を立ち、丹波への下りにかかった。コースタイムどおりに歩けばちょうど14時15分のバスに間に合う勘定だ。前飛竜とおぼしきピークには標識もなく、展望も悪い。その下の露岩に分岐の道標があるが、分岐する尾根はロープで閉鎖されている。さらに下り、平坦な部分を経て登り返すと熊倉山のピーク。その先も葉のない広葉樹林の明るい尾根道が続いた。尾根上に境界石のような石がしきりとあったが、この尾根より東側が東京の水道の水源になっているというような意味だろうか。下るうちに樹林に新緑が多くなった。
サオラ峠(ただし現地の表示はサヲウラ峠)に着いたのが12時40分で、コースタイムより15分ほど遅れてきた。峠で休んでいた2人組の男性は丹波から登ってきて三条の湯に向かうとのことで、丹波への下りはコースタイム程もかからないと言ってくれたから、元気を出して下ることにした。ジグザグの急降下、樹林帯の直進の下り、向きを変えて植林帯の直進の下り、とひたすら下り続け、やがて民家が現れ、熊除けのゲートに「丹波バス停まで徒歩10分」の案内があり、一安心。水場で多摩川水系の沢水をもらい、車道を歩き、青梅街道沿いの丹波バス停に午後2時10分に着いた。タオルを水で濡らして汗を拭くのがやっとだった。多くの登山者がバスを待っていた。

【帰路に就く】
14時15分のバスはここが始発で、普通サイズのバスが2台出て、途中、鴨沢など各バス停で多くの登山者を拾い満員になり、奥多摩湖あたりでさらに増発しただろうか、1時間弱で奥多摩駅に着いた。ホリデー快速にちょうど接続し、こちらの方は座ることができず、中央線直通で帰宅した。
初めてのテント携行の山行は順調に行った。足のマメも大事に至らなかった。東京から近い2000m級の2山は充実したものだった。テントを背負った歩きでは、余り欲張った日程を組まず、ガイドブックが推奨する程度に止めるのがよい。テントを設営し身軽になったらバリエーションのあるコース取りも可能かもしれないと思った。

丹波バス停
丹波バス停

【行程】
(5/2土)
西武線⇒拝島6:05発(青梅線)⇒青梅⇒奥多摩7:17着=奥多摩駅7:25発(東日原行バス)⇒東日原7:47着

8:00東日原バス停→8:18小川谷橋・日原林道入口→8:44八丁橋→8:46天祖山登山口・ゲート→9:55富田新道入口→10:13大ダワ林道入口10:25→10:30長沢谷→10:41二軒小屋尾根の背→12:59大ダワ13:06→13:25雲取山荘(テント設営)14:10→14:30雲取山頂上15:05→15:30雲取山荘

(5/3日)
雲取山荘4:25→4:47雲取山頂上5:55→6:17三条ダルミ6:24→7:02狼平→7:50ピーク8:00→8:26北天ノタル8:35→9:12飛竜権現(登り15分で飛竜山頂上9:30〜9:40、数分で禿岩の展望台10:15〜10:25)10:30→10:59前飛竜11:04→11:11分岐→12:08熊倉山12:13→12:39サオラ峠12:45→14:10丹波バス停

丹波14:15発(奥多摩駅行バス)⇒奥多摩駅15:15着=奥多摩15:26発(ホリデー快速)⇒国分寺16:35着⇒西武線

(歩行時間)
1日目 7時間30分(幕営45分、雲取山頂上散策35分含む)
2日目 9時間45分(雲取山頂上散策1時間余含む)

(高低差)
東日原620m→雲取山2017m→飛竜山2077m→丹波620m=+1397m+60m−1457m

【参考資料】
山と高原地図「奥多摩」(2009年版)、東京都の山(山と渓谷社2008年)、関東の山あるき100選(昭文社1998年)

2009/5/10整理、5/11、5/21、8/26修正

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