休日の山歩き 16 甲武信ヶ岳 Kobushigatake
[奥秩父]甲武信ヶ岳(2475m) 西沢渓谷から往復
2009年5月31日(日)
トップページ
前ページ
次ページ
ツツジ(左)とシャクナゲ
ヌク沢沿いの近丸新道で

【雨の合間に甲武信ヶ岳を目指す】
5月最後の週、低気圧が居座りぐずついた天気が続いたが、日曜日は関東南部の方が北部より雨の確率が低そう、山梨県は一時晴れ間も出そう、と天気予報を受け止め、シャクナゲの便りも聞こえそうな甲武信ヶ岳に日帰りしようと、前日の土曜日決めた。甲武信小屋のホームページによれば山は遅くまで雪に埋もれているらしいが、そろそろ大丈夫だろうと見込んだ。
日曜日、午前5時に車で自宅を出発、八王子ICから中央道に入った。空は何とかもっており、雲の切れ目さえ見える。が、ラジオの天気予報は、関東各地で昼頃から雨、所により雷雨、と報じている。勝沼ICで降り、塩山を経て雁坂トンネルに向かう走り易い道を通る。ガイドブックによれば広瀬湖の付近で前方に木賊山あたりが見えそうな様子だが、厚い雲に覆われ何も見えなかった。

西沢渓谷入口駐車場 西沢渓谷への道(帰路撮影) 甲武信ヶ岳登山口
森林軌道 シャクナゲとツツジ 戸渡尾根のシャクナゲの道

【西沢渓谷からヌク沢を経て、シャクナゲ咲く一帯へ】
午前7時、西沢渓谷入口の広い駐車場に車を止めた。初めての場所なので行きつ戻りつして、とてもトイレらしくない立派なトイレも確かめた後、笛吹川を左下に見ながら西沢渓谷に向かう車道を歩き始める(標高1110m)。甲武信ヶ岳登山口には立派な立て看板型の標識があり、急登で登山道に入る。尾根の左斜面を行く道で、左下にヌク沢の水音が聞こえ、程なく、森林軌道のレールが地面から見え隠れするようになる。(下山時にあった説明によれば、この軌道は、山梨県が戦後、昭和46年まで、珪石を搬出するために使っていたものだそうだ。)道は一旦右を高巻くが平坦になり再び軌道と出合い、堰堤の手前でヌク沢を左へ渡り、急な尾根道を登る。ここらまで、オレンジやピンクのツツジが時々目を楽しませてくれる。やがて放射状のシャクナゲの葉が増え、薄いピンク色の花も咲き出すと、最後の急登で、戸渡尾根の上、徳ちゃん新道と合流する1869mピークに着いた。歩き始めから2時間余り、休憩した。ここで、同じ方向から追い付いてきた男女2人の登山者があり、甲武信ヶ岳に日帰りとのこと。以後、この2人と相前後して歩くことになった。

【雨の中、戸渡尾根から主脈縦走路を経て山頂を目指す】
戸渡尾根を歩き始めると、シャクナゲはまだ満開手前なのだろうが、いよいよ花の数を増し、濃淡のピンクの花が中心から放射状に賑やかに咲いている。シャクナゲのトンネルをくぐる所もあった。この頃、雨が降り出し、雨着を着た。針葉樹林帯の急坂を経て、岩場の開けた場所になったが、展望がない。道に固い残雪が現れると程なく主脈縦走路に出て、左に急坂を登り、木立に囲まれた木賊(とくさ)山山頂(2469m)に出た。まっすぐ下る途中に木立が開けた場所があり、ガイドブックによれば前方に甲武信ヶ岳の勇姿が望めるはずだが、ここも視界がない。再び木立に入り下ると、併走する巻き道の方から、姿は見えないが賑やかな団体のが聞こえてきた。下りきると霧の中から甲武信小屋が現れたが、静けさの中で、ホームページで拝見しているとおりの小屋の主人が泊まり客の受入れをしていた。

戸渡尾根の針葉樹林帯 主脈縦走路まであとわずか 戸渡尾根と主脈縦走路の合流点
木賊山 甲武信小屋 甲武信ヶ岳山頂

【静かな甲武信ヶ岳山頂】
小屋の手前右から一登りで甲武信ヶ岳山頂(2475m)に達した。立派な山頂標識があり、展望がない。朝から山梨県の道を登り、縦走路で埼玉県と接し、この山頂で長野県とも接したことになる。12時を少し回っており、歩き始めから5時間弱。雨の中ではあるが弁当を食べた。30分ほど過ごしたが、毛木平から登ってきて今日は甲武信小屋に泊まるという男女4人の団体と、先程来の日帰りの男女だけで、静かな山頂だ。

【下山路】
再び甲武信小屋に立ち寄った後、午後1時少し前に下山にかかり、木賊山の北側を巻く道を選ぶと、専ら雪道だった。縦走路に出会い、残雪の道を一登りで戸渡尾根への下降点に着いた。しばらくは往路と同じ道をたどり、雨が降ったり止んだりする中、尾根をどんどん下る。
途中、道を間違えやすい場所があった。場所は針葉樹林帯をだいぶ下った所だ。下りながら、右手遠くにロープがあるのに気づいたが、先行する男女2人の後から左寄りに降りると、靴跡はあるものの地面がふかふかして何かおかしいと感じたので、上の方に戻った。正しい道は右の方に降りていた。先行する2人はそのまま下の方で左から右へと木をかき分けて出てきた。大事にならなくてよかった。そう言えば、先ほど登りの時も、全く同じ場所かどうか定かではないが、3人ほどの下山者が右手から登り返して来るのにちょうど出くわしていた。

木賊山巻き道と主脈縦走路の東側合流点 1869m峰 左・従来の道、右・徳ちゃん新道 徳ちゃん新道

【徳ちゃん新道を経て西沢渓谷へ】
分岐点から徳ちゃん新道を選び、引き続き戸渡尾根をどんどん下る。尾根を外れ左に急降下しその先で次の尾根に移る。ぬかるんで滑り易い所もある。下りきった登山口には、休業中の山荘と田部重治文学碑があった。車道を歩き、登りで入った登山口を過ぎ、駐車場に戻った。車はまばらになっていた。午後4時を回っており、下山に要した時間は3時間半だった。
雨の中を強行した登山ゆえ展望はなかったが、咲き始めのシャクナゲに心を和まされ、標高差1300mを歩ききったという達成感はあった。
帰路の中央道は、都県境のトンネルまで渋滞があったが、約3時間半で自宅に着いた。

【行程】
都内5:00発⇒中央道(八王子IC〜勝沼IC)⇒西沢渓谷駐車場7:05着

7:15駐車場→7:24西沢渓谷入口→7:41近丸新道入口→8:19ヌク沢渡る→9:33戸渡尾根1869m峰9:39→11:04岩の開けた場所→11:26主脈縦走路→11:34木賊山→11:47甲武信小屋11:52→12:08甲武信岳山頂12:40→12:52甲武信小屋12:57→巻き道→13:12主脈縦走路→13:17戸渡尾根下降点→13:29岩の開けた場所→14:27 1869m峰→徳ちゃん新道→15:41徳ちゃん新道入口15:45→15:52近丸新道入口→16:10西沢渓谷入口→16:11駐車場

西沢渓谷駐車場16:33発⇒中央道(勝沼IC〜渋滞90分〜八王子IC)⇒都内19:58着

(所要時間)
8時間46分(登り4時間44分、山頂32分、下り3時間30分)

(標高差)
西沢渓谷入口1110m←→甲武信岳山頂2475m=±1365m

【参考資料】
山と高原地図「雲取山・両神山」(2009年版)、山梨県の山(山と渓谷社2006年)、関東の山あるき100選(昭文社1998年)
戸渡尾根のシャクナゲ

2009/6/7整理 7/30修正

トップページ 前ページ 次ページ
  直線上に配置