【テロへの憂悶】 |
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とんでもない事件発生から、
テロに善悪もへったくれも無いですが、おそらく史上最低でしょう。 国防総省を狙ったことはさておき、まったく武器を持たない民間人の乗った民間機を武器にして、同じく戦意を持たない市民を、生活の場もろとも殺傷破壊した。 加害者にとって、限りなく不名誉な行為です。 このテロを非難するイスラム原理主義者もいましたが、至極もっともです。被害から見れば"戦争"規模ですが、加害者には軍や兵士としての誇りなどどこにも見当たらず、ひたすら凶悪な"犯罪"でしかありません。 (従って、"真珠湾"や"カミカゼ"と比較されるのは、どうにも遺憾です。……むしろ"ヒロシマ"に近い、陰惨さだ。)
一番悲しかったのは、パレスチナの子ども達が無邪気に快哉を叫ぶ姿でした。 どうか見た目の"華々しさ"や、自分の境遇に惑わされないでほしい。難しいことかもしれないけれど、"敵(相手)"を思いやる心をこそ、育んでほしい。 君たちこそ、いまだ成らぬ平和を、成し遂げていくべき仲間なのだから。 確かにアメリカは悪いところが多くあります。しかし、ハイジャックされた機内の人々や、WTCで働いていた人々の全てが、アラブに悪意があったなどと、誰が断言できるでしょうか。 ムスリムの方々も、このようなテロを迎合せず、悪意のぶつけ合いに興じることの無いよう心がけて欲しいです。 また、便乗テロを企んでも、字義どおりの価値すらありません。このような悪辣な所業に便乗することは、安易で、はしたない行為です。
8割を越える人が報復を望んでいるそうですが、『報復』とは、殲滅を意味するのでしょうか。 罪なき人々への報復までは、決して望んでいないだろう……と思いたかったのですが、68%の人が、現地の民間人を巻き込んでもかまわないと思っている、という世論調査が出ているのは、非常に残念です。 怒りも、十分わかるのです。しかし一番の報復は、これ以上事件に関連する犠牲者を、出さないことです。成敗すべきは殺人鬼だけです。 間違っても自らが殺人鬼になっては、いけません。 追記:米ゾグビー・インターナショナル社の世論調査によれば、当時「戦略核兵器使用も報復に有効な手段」と考えた米国民は54%、「まったく意味なし」は39%(2001/11/9読売新聞より)。また、国内の温和なムスリムへの嫌がらせは、知性の欠如をさらけ出していることにしかなりません。 自分をテロ犯と同列に貶める必要はありません。どうか、"高貴な鷲"の心で、この問題に当たってください。
なんで心優しいタイが、軍隊を派遣する意志を持ってるんだ? 一つだけ思い当たるのは――バーミヤン。 しかしどんな場合でも、イスラム教と仏教との間に、新しい遺恨を創造するのだけは、避けてほしいです。"十字軍"の歴史を、仏教徒だけは選ばないでほしいのです。 たとえ石仏が破壊されても、仏の教えが消えてなくなることは無いのですから。 また、現在パキスタンが焦点になっていますが、かなり心配です。イスラム至上主義が国是であるだけに、『弱腰だ!』という意見が世論の大勢になってしまいそうで……。 僕はこの国を旅行した際、一方の恩義を感じているのです。この国の人々が、あらぬ惨禍に巻き込まれぬよう、祈ります。 すべての人々が、 最後にもう一度、殺された全ての方のご冥福を、心よりお祈りいたします。 (2001/09/17)
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