フィードバック

 パフォーマンスの一環として使用する程度のものであろう。スピーカーキャビネットの直近にピックアップを向けてハウリングに近いノイズを出す方法(1981年ツアー時のCatch The Rainbowではフィー、フィー、フイーといったエコーとかみ合わせての方法が当時の定番だった)、アンプの近くによりフィードバックがかかる場合(マーシャル側のボリュームが上がってると、アンプから離れていてもフィードバックが掛かる場合もあるらしく、押さえるためにアンプボリュームを下げて調節している様子がMachine Head Live 1972 Fools のフェイドイン奏法時に見られる)、24carat PurpleのBlack Nightのようにサスティン気味にそのままフレージングすることもある。
 
 ロングサスティーン時は大抵1オクターブ以上音が高くなり、軽くヴィブラート若しくはトレモロアームをかけ、鍵盤のストリングスサウンドがバックでコードを奏で、ブラックモアはフィードバックのままペダルポイントし続けたりする。
 
            

 フルボリュームになっていると、ギターとアンプの位置によってはフィードバックではなく、単純なノイズハウリングが発生するのも当然の帰結で、思わず立ち位置を変えるブラックモア映像が残っていた。↓Wring That Neckの独奏中、スタッカートの切れ目に「ピー!、ピー!、・・」とハウリングが起きていることに気がつき、たまらず演奏しつつ移動。移動後フレーズの切れ目はクリアなことから、この場所移動はハウリングを嫌っての立ち位置変更であると判明した。よく若輩なアマチュアロックバンドが狭い練習スタジオ空間などで気にもせず出し続けてるあのノイズだ。

  
  

 ノスタルジックに行われた2016年以降のRithie Blackmore's Rainbowの公演においてもBlackmore's Nightの公演においても、Feed Backを得られる出力のアンプではなく、流行の歪まくったサウンドとも相反するソフトな音量にて昨今は勝負しているようだ。

ラン奏法
   
 リピート奏法とも言われているが、同じフレーズを素早く連発して繰り返す奏法だ。第2・3期Deep Purple のころはヴェリースペシャルワンパターン(VSOP)と酷評されるほどお気に入りだった。(もっともそのワンパターンこそが聴けば一発で誰が弾いてるかが判る個性の象徴となるわけで、当時スーパーロックギタリストと呼ばれたカリスマギタリストたちは名前がそのままバンド名になったり、グループのリーダーであったりしたわけであり、いわゆる単なるミュージシャンとは一線を画す、正にアーティストたる所以だったわけである・・・・)
 Live In JapanのHightway StarSmoke On The Water、Child In Time 、Strange Kind Of Woman・・・・・・ 正に使いまくってる。
  
  
 
 ※ 上図のラン奏法について検証したところ小指の使用を確認できたことから、Burnのスタジオソロ中の10F〜12F(3・4弦)で実施しているリピートフレーズも同様の方法で弾いていると結論付けるのが妥当であろう。
 
 70年代において一番使用頻度の高そうなのが、人差し指を固定しておき中指・小指でプリング利用した3音パターンあたりか。2期PurpleのWring That NeckやChild In TimeあたりのLiveアドリブ←(参照)では凄まじく速く、長く(とにかく長時間に及び、指は悲鳴をあげ速さを維持できない)はっきり言って後年のRB自身も当時のように速く弾くのは無理ではなかろうかと思う・・・・
 ポジションを移動させていくとはいえ、指使いとピッキングパターンは単純かつ明らかなのに、引っかかる感じを含ませた速さと長時間続けるしつこさの再現ができず、体力勝負の反射神経を要する難所、運動系の鬼門Playだ。1974California JamのYou Fool No One独演部でも、これでもかと連発している。3期になると速さは変わらずとも複雑さが薄れ、少し楽なパターンが多くなるけれど・・・・・ そして、RainbowのSixteenth Century GreensleevesGates Of BabylonMidtown Tunnel Visionあたりになるとかなり速度的にも遅く、時間も短縮的な指にやさしいフレーズに留まっており、模倣者としては心底ほっとする。現在のアコギプレイにも時々人・中・小指3音パターンの短時間のリピートフレーズが聴けることがあるけれども、70年代前半のような地獄の反射神経を必要とはしない。

  

 80年代以降、現在までのストラトによるラン奏法は、1弦にて薬指からプリングして人差し指プリングして開放、なんてパターンのラン(Death Alley Driverなど・・)が指癖になっている程度でしつこさは影を潜めている。



         


ハンマリングオン プリングオフ トリル

 ブラックモアはピッキングで押しまくるより、ハンマリングオンやプリングオフを多用して押弦だけで弾く(レガート奏法)特徴をもつギタリストである。小指のプリングオフ・ハンマリングオンも余裕で弾き去っている。以下は中・小指のハンマ&プリングでPossum Goes To Prague、BNのSelf Portraitソロ中、Christmas Eveのギターソロあたりにも登場する指癖である。

 
      

  だだし、次のような4フレットパターンでは、小指を避けて薬指と中指のトリルを行うことが多いようだ。


  
 
 10代の頃は自虐的なほど小指信奉者だったため、無理して薬指・小指でも演ったもんだが当然映像で確認できるようになってからは、上記のパターンに矯正(楽になった)したのは言うまでもない。
 ところが・・・・!2005.10月に発売されたDVD-Castl&Dreamsにまたもや認識を変えなければならない超ドアップフィンガリング映像が収録されていた。Past Time With Good Companyの定番オブリをGmポジションでヒネリを交えて下降させてくるフレーズなんだけど、薬指・小指のハンマ・プリングをブラックモアは徐に実施しているではないか。小指信奉者時代に散々実施していたので、幸い指はまだこの動きを憶えており、なんなく弾くことは出来たが、長年敢えて中・薬で実施していたのをまた意識して戻さなければならない。
 
         
  
  同様のフレーズをAmポジションにてLiveアドリブ中(Shadow Of The Moon)にも一発実施してるのを下の画像通り確認した。
             

 想像の域を出ない話で申し訳ないが、恐らくアコースティックはストラトのようにチョーキングを実施することがないため、純粋に4フレットの区割りを人・中・薬・小に与えているのではないだろうか。実際アコギプレイはストラトより小指の出番は多いように感ずる。つまりストラトではチョーキングに備え、敢えて小指使用場所に薬指を持ってきて、小指を避ける傾向(ブラックモアは小指チョークは事実上ほとんど使用しない。ただし、皆無ではない。小指チョーク←参照)にあったのかもしれない。
 
 2016年1月1日。管理人にとって、まったく寝耳に水、丸っきり予想していなかった指使いが出現したのでご報告させていただく。1989年頃のスタジオsoloを映像どおりに指使いまで完コピ練習している過程で発見したものである。既存の指癖として軽く確認して弾き流すはずが、急遽元日早々自画録りするに至るほどの衝撃を受けたスモコンEnding soloをコピーしてみたので参照されたい。
 Gマイナースケール(ポジションは5〜8フレのアイオニアン型位置)をプリング、ハンマで駆下り上がる素早いフレーズでスケール的には4フレット幅に4本の指をそれぞれ当てがうことで問題ないわけだが、下降の出発4弦部分の7フレA音(通常薬指担当)-8フレB♭音(小指担当)はプリングで駆け下りることから、直前のスタッカートから半音階にも関わらず、A音を薬指→中指に担当替えした変則的なポジショニングを行っている。上昇時は4弦7フレA音は薬指に戻っていることから、小指-薬指のプリングオフを回避すべく思わず(圧倒的にやりずらい訳ではないんだが・・・正しく思わず?それとも指癖?いずれにしろ、管理人の辞書にはない法則だったため、擬似フレーズに留意する必要あり)運指したものと推測する。如何に常識、規則性に捉われていたかを心底省みざるを得ない事例であるとともに、やっぱりRBも連続する小指・薬指のシーケンスは嫌なんだ!と想像させられた事案である。
           
      


 少し視点を変えよう。視覚的な見地から生粋のマニアへのお勧め技巧として積極的に取り入れたいRBの特徴的なフレーズに、まったくピッキングなしのフィンガリングのみフレーズを推奨したい。1985年のパリ公演のStrange Kind Of Woman後半のソロでは、ローからミドルボジション付近で速弾きレガートフィンガリングをしながら右手はピッキングせず、前述したスイッチ奏法を行ったりしているし、1995DUSSELDORF、Hall Of The Mountain King のエンディングではピッキングせず、右手はブラブラさせたりアクションをしたまま、左手のみのフィンガリングでフレーズを20ノート以上レガートにて弾き去っている。(実に見た目がかっこよい。)
 
 このプリングとハマリングを連続させるのがトリルだが、彼は一貫してこのトリルをアドリブ中に定期的に盛り込んでくる。ヒネリといわれる一発で終わるものから正しく連続させるものまで完全に指癖と化しており、様々な楽曲に登場しリッチー節の大きな特徴のひとつをなしている。
 Blackmore's Night  Wish You Were Here のストラトフレーズはトリル使用しまくりのソロだ。またバッキングプレイ中やアドリブ終了時にもよく聴けるが、これは効果音というよりは、ステージアクションをするため右手を上げていたり、ソロ終了の合図を他のメンバーに指示したりしていて、ピッキングできないときに指癖として出てくるものであろう。Wring That Neckライブの最後に演るトリルは数分にも及び、いまだに指がひきつりあの速さを維持できない。
  
 

   

  

 通常トリルは人・薬で実施することが多く、中2フレットに及ぶパターンについても同様に人・薬にて大半は行っているわけだが、Blackmore's NightのDVD-Paris MoonではSoldire Of Fortuneの独演前奏にて人・小のトリル(下の左画像参照)が確認できた。人・小の一発ヒネリは頻繁に使用するポジションであるけども、1秒強ほどとはいえトリルしている映像は稀有なケースに属すると思われる。人類の小指の運動神経は他の指より劣っているのが通常で、ブラックモアにしても薬指使用時と比較すると速度的にはかなり遅いトリルである。
 もう一つブラックモア定番ポジションの1弦2・3フレット・トリルの指使いを見分してみる。ローコード時に使用することが多く、その大半はDコードに絡めたものが多いことは、プレイ法則コードの項でも見分済だ。この場合中指はDコードにより1弦2フレを押弦済のため、ベース音に4弦開放D音や6弦2フレF♯を鳴らしつつ、中・薬、あるいは人・中のトリルを行うことが非常に多い。これらの定番から逸脱した指使いを新しく発見した。ローポジションのGコードを6弦側から1弦方向へアルペジりつつ、当該トリルを実施する場合は、ナント人・薬にてトリルしているではないか。Gコードですでに押弦済の1弦3フレの薬指をそのまま使って、2・3Fトリルを人・薬にて実施するという非常に経済的な方法を取っている。ブラックモア流がすべてやり易いわけでではなく、無理に矯正することも多々ある中、これはやり易い!矯正というより、運動能力が逆にアップしました。(どんなに弾きづらかろうとブラックモア流に合わせるのが奏法マニアの真髄だ。)
 トリルについては人-開放、薬-開放、人-中、人-薬、中-薬あたりのパターンが今のところ頻繁に使用しているのを確認できているけれど、管理人にとって一番運動能力が劣るのが実は中・薬のDコード定番時のパターンなのである。短時間で指は悲鳴を上げる。ブラックモアは実に軽やかに実施しており、BNのアコギ独演コピー時に同フレーズが出てくると難義したものだ。少なくともGコードパターンの際は半音トリルを人・薬で行うことで負担減を図ることができるので、今後重宝することとなろう。
 
 人-小トリル→     
 
 最後に究極トリルを紹介して本項を締めくくろう。Paris MoonのFires At Midnight独演ソロをなぞりコピーしていて中・小指の短時間トリルを確認した。Cメージャーコードを4弦から1度-長3度-5度と駆け上がり1弦上で8度・9度・長10度と同一弦で更に上昇させ、駆け降りる前に9度と長10度を一発ヒネルことがアコギのメジャーフレーズの定番のところ、一発ヒネリ部分を2回繰り返すトリルを実施している。Higway Starトレモロソロでもお馴染みの中1フレ間隔同一弦3音パターンの場合、圧倒的に人・中・小指とフィンガリングすることから、同メジャーコードフレーズも1弦部分では同じ運指をすることとなる。映像のない耳コピだけだとトリルに備えて9度の薬指をスラーさせて人-薬でトリルしていたことだろう。本DVDは映像遊びが少なく、RBのフィンガリングが堪能できる最高の教科書だ!人-小、中-小トリルについては、 個人的に実施することに苦手意識はないんだけど、RBは多分「やらない」と思いこみ封印していた。残りは・・・既述済の一発ヒネリが確認できている薬-小だが、トリルだけは勘弁してほしいものだ。

    

 という願いも虚しく現実は厳しい!1997年BNデビュー直後の映像に実質上、薬-小トリルとなるフィンガリングが確認できた。I Think It’s Going Rain TodayにおけるD及びAコードへsus4音を入れ込むのに長3度と4度のトリルを一部で実施。この際、他のすべての指はコードポジションを堅持しており、薬指も押弦したままであることから、中-小トリルの動作と相まり、指神経上は薬-小のトリルを実施している状態となる。トリルの速度低下はやむを得ないところだが、違和感なく実施しているのを垣間見て、まだまだRB奏法の奥義に到達できない自分を叱咤し、ひとつひとつ淡々と乗り越えていくしかない。