(S)ケーブルによって音は変わる
ギターケーブルにより音に違いが出るかどうかを、回路シミュレーションで確認してみました。
(S)結果の早わかりまとめ
最初に回路シミュレーション結果から分かる結論をまとめておきます。 詳細を確認したい場合はさらに読み進んでください。
  • ケーブルにより音は変わる。
  • ケーブルの静電容量(pF)が音に影響するので、ケーブル選択の目安にする。
  • ケーブルの静電容量(pF) が大きいほど、ピークの周波数(共振周波数)が 低くなり、ピーク値が大きくなる。
  • 今よりも高音域が欲しい場合には、静電容量が小さいケーブルを試す。 逆に中音域が欲しい場合には、静電容量が大きいケーブルを試す。
  • ケーブルの長さが2倍になると、静電容量も2倍になる。よって長さが違うケーブルを用意して、 それぞれを試してみる手もある。
(S)シミュレーション条件
等価回路(S)
ストラトキャスターのシングルコイルピックアップを想定した回路定数を設定しています。
等価回路(S)の説明
GT_circuit
シミュレーション条件(S)
トーン回路条件: ポット 500k-Ohm, コンデンサ 0.022uF
ボリュームポット 250k-Ohm
スムーズテーパー、ハイパスコンデンサ 回路無
ケーブルの長さ3m想定、3種類の静電容量 300pF / 500pF / 1000pF

シミュレーション対象は、{ エレキギター、ケーブル、アンプの入力抵抗 }で、ギターをケーブルで アンプに直結した状態を想定しています。
(S)シミュレーション結果(周波数特性)
ボリュームポット全開状態: 縦軸 0 dB 付近の特性
ボリュームポット絞った状態: 縦軸 -8 dB 付近の特性

ケーブルの特性は確実に音に影響します。しかもその影響は小さくありません。
音を変えたい場合には、まずケーブルを交換してみるのが早道です。
ケーブルの静電容量(pF)が選択するときの目安になります。

周波数特性グラフを見てみましょう。
ケーブルの静電容量(pF) が大きいほど、ピークの周波数(共振周波数)が 低くなり、ピーク値が大きくなる傾向が見られます。 このピーク値の形と共振周波数で、ギターの音の印象が変わります。
例えば 500Hz-3kHz にピークがあればJAZZギターのような中音域寄りの音になり、 4kHz-6kHzにピークがあればクリーンな中高音域寄りの音になります。

ギターに使うケーブルの場合、静電容量が小さいほど良い、 ということではありません。
使用しているギターとの組み合わせ(相性)と求めている音から、 ケーブルを選ぶことが大切です。

今よりも高音域が欲しい場合には、静電容量が小さいケーブルを試す。
逆に中音域が欲しい場合には、静電容量が大きいケーブルを試すのが良いでしょう。

静電容量の大きさはケーブルの長さに比例するので(長さが2倍になれば、静電容量も2倍)、 長さが違うケーブルを用意して、それぞれを試してみる手もあります。

ケーブルの静電容量は、メーカーのWebサイトで公開されていると思います (ぜひ公開して欲しいです)
(H)シミュレーション:ケーブルの周波数特性 にも具体例があります。

またボリュームポット絞った状態ではトーンが甘く聞える傾向があります。 上下のグラフのうち、下側はボリュームポット絞った状態の特性です。 ピーク部分の山が平らになり、これによってトーンが甘くなっているのが分かります。

S_Vol_250K_Cable