『ブランコをこぐ』とは,物理的にはどういうことを指すのでしょうか?
人がブランコの板の上に立っていくら力を入れてみても,人とブランコからなる全体の系で考えると,その力は所詮『内力』でしかない筈。海に浮かぶボートに乗ってボートを前後にゆすっているようなものです。
なのに,ブランコの振れは大きくなっていく・・・。そのエネルギーの供給源は何か・・・?
このような観点から考察する問題が,過去に横国大などで出題されています。
『ブランコをこぐ』とは,人が立ったりしゃがんだりすることによって,人の重心の高さを変えることなのです。この場合,ブランコがどの位置に来た時に立ち上がればいいのか,或いはしゃがめばいいのか,立ったりしゃがんだりするときのブランコの位置が極めて重要なポイントとなります。
正解は,ブランコの速度が最も早くなる最下点にブランコが来た時,なるべく素早く立ち上がる,これがブランコを効果的に『こぐ』秘訣です。逆に,ブランコが最高点に来た時に立ち上げることを繰り返すと,ブランコは急速に減速していきます。
ブランコは回転していますので,重力のほかに回転に伴う遠心力が働き,最下点では遠心力が最大となります。この遠心力に逆らって立ち上がることによって人はより多くの仕事をし,ブランコを『こいで』いるのです。エネルギーの供給源は,もちろんブランコに乗っているその人自身なのです。
ブランコについて,エネルギー面からの考察は『横国入試問題』解説を参照ください。さらに微分式などを使ったもう少し詳しい解説は,詳解欄の『こぐ』の数式を参照ください。