ばね振り子 概 要

 

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概  要:

 単振動は最もポピュラーな運動の一つですが,現実には摩擦力や空気抵抗のような抵抗力がはたらき,実際の動きを詳しく見ると思いのほか複雑なもののようです。本シミュレーションでは,ばね振り子にこのような力がはたらいた場合どのような動きになるかを,ほぼ忠実に再現します。物体の質量や摩擦力の大きさなどいったパラメーターの値いろいろ変えて,確かめてみてください。



 『台Qの運動』状態によって,以下のようなことがシミュレートできます。

★自由運動: 物体Pと台Qがともに運動します。このように複数の物体が力を及ぼし合いながら運動する場合,個々の物体の運動は 重心の運動+重心に対する運動 として表すことができます。
 このとき物体と台は共にこの系の重心に対して左右逆向きに運動し,あたかも重心位置をばねの固定点とするような振動をします。つまり物体も台もこの系の重心に対して振動していることになり,これに重心そのものの運動を加えたものが物体,台の床に対する運動ということになります。
 ちなみに「抵抗力」がはたらかない場合,物体と台から成る系の運動量が保存され,この系の重心は等速度運動(もしくは静止)を続けます。
 詳しくは2物体のばね振り子で説明します。

★固定: ばねの一端が台に固定されたばね振り子の運動が見られます。
 ばね定数 $k$ のばねに結ばれた質量 $m$ の物体が単振動をするとき,その(固有)角振動数 $\omega$ は $\omega=\kon{\bun{k}{m}}$ で与えられます。またその周期 $T$ は, $T = 2\pi\kon{m/k}$ となります。

 単振動をする物体に摩擦力がはたらくと,物体の運動幅は徐々に小さくなり,最後には止まってしまいます。これは,動摩擦力は常に物体の運動と逆向きに作用するため,物体の運動の向きが左向か右向きかによって振動中心が半周期ごとに入れ替わり,その都度振動振幅が減少していくことが原因です。しかし振動周期は,摩擦がない時と同じです。ちょっと不思議ですね。
 詳しくは 摩擦を受ける場合で説明します。

 単振動をする物体に,速度に比例する抵抗力がはたらく場合(例えば空気抵抗など)も,物体は最終的には平衡点(つり合い点)で停止してしまいます。この間,振動しながら徐々に振動幅を落としていく場合と,振動することなく単調に平衡点に近づいていく場合とがあります(1度だけ平衡点を通過する場合もあります)。抵抗力が弱い(抵抗力の比例定数が小さい)と前者の場合になり,抵抗力が強いと後者の場合になります。これらの振動は減衰振動と呼ばれています。
 詳しくは 抵抗を受ける場合で説明します。

★強制振動: 振動体が外から周期的な力を受けて振動するとき,これを強制振動と言います。
 台を振動させたとき,台に対する物体Pの運動は,ばねの力のほかに,台の振動に伴う慣性力を受けたものとなります。台が単振動しているのであれば慣性力も周期的に変化しており,台上での物体Pは周期的に変化する外力を受けながら運動していることになります。
 このとき,台の振動の振動数と物体Pの固有振動数(固有角振動数 $\omega = \kon{k/m}$ )が一致していると,物体Pの振動振幅は限りなくどんどん増大していきます。これが共振という状態です。(本シミュレーションでは台の両端に壁があるのではね返されます。) 両者にわずかなずれがある場合は『うなり』のような現象が現れます。さらにこれに「抵抗」を付加してみて下さい。物体の振動周期は台の周期に揃い,物体の振動振幅も一定していきます。抵抗力によるエネルギー損失と台から供給されるエネルギーのつり合いが成立するからです。
 詳しくは 強制振動で説明します。

 
 
 



  単振動に続く。