本作は、初形から、1サイクルで2筋左に移動する趣向と推測できます。
4枚の香は、「またぎ捨て」と呼ばれる趣向でよく見られる配置。
桂があれば、25桂から33桂成として玉を2筋移動させることができます。
その桂はというと、12に落ちているではありませんか。
さっそく取りましょう。
12金、同玉、13歩、同玉、
これで25桂から33桂成ができますが、受方は25桂にいったん12玉と逃げて手数を稼ぎます。
25桂、12玉、13歩、23玉、33桂成、同玉、
13歩に22玉でも同じように進められますが、すぐに32金とする早詰があるので23玉が正解です。
10手かけて2筋移動に成功しました。
まだ3組の舞台が残っているので、しばらく楽しみましょう。
32金、同玉、33歩、同玉、 45桂、32玉、33歩、43玉、53桂成、同玉、
52金、同玉、53歩、同玉、 65桂、52玉、53歩、63玉、73桂成、同玉、
72金、同玉、73歩、同玉、 85桂、72玉、73歩、83玉、93桂成、同玉、
92桂はないので、84銀以下収束します。
84銀、92玉、83銀成、91玉、81歩成、同玉、82成銀 まで47手
さっきの73歩のとき82玉としたり、84銀のとき82玉と歩を取ってしまうと、歩成が不要で2手短くなってしまうのでご注意。
実際45手の解もありましたが、趣向は鑑賞できていると思われるので正解扱いとしました。
作者 「10手サイクルのまたぎ送りですが、やや類型的な手順かも知れません。」
やよいさんの桂またぎ捨て趣向はくるくる展示室No.313でも登場していましたが、
本作の方がわかりやすく、よりくるくる向けかもしれませんね。
それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。
- 山下誠さん:
- 桂馬を補充しながら規則正しく左辺に追いこんでいく。 このリズム感が楽しい。
- 占魚亭さん:
- 心地よい金引き〜桂成りのサイクル。 玉の軌跡に面白味がありますね。
収束を工夫すれば軌跡曲詰にもなったかな。
- S.Kimuraさん:
- この詰将棋のように,桂馬で遮られた香車の利きを玉がくぐっていくくるくるが何度かありましたが,それらに体系的な違いなどはあるのでしょうか.
基本的な構造は同じですね。
玉の逃げ方や桂の入手方法、香が配置されているか途中で打つかなどで、いろいろなバリエーションが作れます。
私も新人の頃創作して、大学院の解答者増に貢献したことがあります(長編詰将棋 No.57)。
- 蛇塚の坂本さん:
- 金と桂の見事な連係消去が気持ち良い。
- 長谷繁蔵さん:
- 金で良かったネ。 と金だとヒントが書き難い所。 トオルチャン。
と金でも成立しますが、金の方が成駒なしになってきれいかも。
- 小山邦明さん:
- きれいに駒が捌けていく繰り返し手順は気持ちが良い。
- 鎌倉にしんさん:
- 8枚の歩と桂馬を使って繰り返す趣向がエンジン機関のようで面白いです
- ハマGさん:
- 10手クルクルが心地よい
- ぬさん:
- 2段目の歩の意味がわかりません。全手順解答する場合に8(38)手目に取るかで迷いそうです。
22歩は13手目24桂とする余詰の防止、82歩はないと73歩に71玉で詰みません。
- Pathfinderさん:
- 毎回桂馬の成捨てが入るのが気持ち良いです。
- 池田俊哉さん:
- 桂を使った香筋またぎは良くある趣向だが、二歩を使って送っていくのは面白い。
|