詰将棋研究室は、超長編作品や裸玉・双裸玉の完全性をコンピュータで検証したり、詰将棋をいろいろ研究するコーナーです。研究展示室ではそれにちなんで300手以上の超長編作品や裸玉・双裸玉を出題しています。
裸玉は発掘が進んで、新作の創作はかなり難しい状況にありますが、双裸玉は裸玉に比べて組み合わせ数が70倍以上もあるのに発表数は裸玉の約1/3。
まだまだおもしろい作品が眠っていると思われます。
そこで、今後の双裸玉作品の創作を期待して双裸玉リストを作成しました。
それにさっそく応えていただいたのが野曽原直之さん。
- 作者 「双裸玉リスト作成ということで投稿してみます。
攻方56王は15手目13龍に12角合の逆王手で逃れるための配置。
なお、裸玉リストの62玉-飛飛金(象戯綱目、小原大介作)と手順はほぼ同じです。」
象戯綱目第四巻第6番の小原大介作は「詰将棋400年」でも紹介されている有名な作品。
途中裸玉で、初形は右図のように飛角図式です。
51角成、同玉、62角成、同玉で裸玉に。
以下、64飛、63歩合、61飛、同玉、63飛成、62歩合、52金、71玉、62金、82玉、72金、92玉、93歩、91玉、61龍まで19手歩余り。
象戯綱目は宝永4年(1707年)刊。
図巧98番の裸玉を創作した伊藤看寿はまだ生まれていないこの時期に、象形の飛角図式から途中裸玉という先進的な作品が民間棋客の手で創作されていたことにはおどろかされます。
この作品は駒余りですが、それを復活させたのが野曽原直之さんの本作。
56玉の配置により、上記手順の72金、92玉のところで91玉とすることが可能になり(93龍は92角合の逆王手)、92歩、同玉で一歩消費して見事に駒余りを解消しています。
42金、同玉、44飛、43歩合、41飛、同玉、43飛成、42歩合、
52金、31玉、42金、22玉、32金、11玉、12歩、同玉、
13歩、11玉、41龍 まで19手
初形対称なので、62金・・・61龍まで19手でももちろん正解です。
初形対称の双裸玉、持駒も含めた対子図式という美しい作品で現代に甦ったことで、小原大介さんも喜んでいるのではないでしょうか。
それでは皆さんの感想を(解答到着順)。
- 山下誠さん:
- 双裸玉図から飛車のサンドイッチで攻める。9一玉と逃げられて陥穽にやっと気付く。
- 占魚亭さん:
- 玉座の王を雪隠で討ち取る。
一間竜の形に持ち込むのは分かったものの、その方策に悩みました。
- 蛇塚の坂本さん:
- 初手4二金が意表。収束で1三龍なら1二角の逆転サヨナラが面白い落とし穴
- 小山邦明さん:
- 「左右同型、中央に手有り」の囲碁格言は通用しなかった。
56玉配置が、12角合を用意して収束がきれいにきまった印象。
- S.Kimuraさん:
- 研究展は長手数問題が多くて苦手ですが,この問題は,4手まで進めば何とか解けそうな形になったので,助かりました.
ところで,双裸玉は,アートではなくて,研究展示室の区分に入るということでしょうか.
詰将棋研究室で全作品のリストを作っている関係で、裸玉と双裸玉は研究展示室で扱います。
- 松本浩一さん:
- 柿木先生に力を御借しました。
小生が偶然見付けた事のある双裸玉と詰が同じで少々吃驚しました。
玉座から雪隠の綺麗な作品です。
攻方王の存在意義が詰将棋として成立させるが為と云うのも面白い所です。
スマホ詰パラ発表の途中双裸玉で、64玉|51玉|飛飛金。
途中双裸玉も双玉煙の収束などかなりあるようなので、別途リストを作成する予定です。
- Pathfinderさん:
- 初手の発見に苦労しました。15手目13龍とすると12角合というわけですね。
- 池田俊哉さん:
- 二枚飛の挟みに持ち込むのは分かるが、まっすぐ上では一歩足りなくなる。
斜めに持ち上げるのがポイント。結局56王は余詰消しなのか作意限定なのか意味は良く分からなかったが...
56玉がないと14手目12(92)玉が最善となり、駒余りになります。
- キリギリスさん:
- 玉を二段目に誘う点が実戦とは随分違うと感じました。
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