次へ
次へ
詰将棋おもちゃ箱詰将棋研究室
研究展示室 No.5 山崎健さん 「井の中の龍」
詰将棋研究室
詰将棋研究室

棋譜ファイル(柿木将棋kif形式)

出題時のコメント:

超長編攻略のチャンス 350手台
詰将棋研究室では超長編、裸玉などいろいろ研究


研究展示室No.5 山崎健「井の中の龍」 詰将棋研究室は、超長編作品裸玉の完全性をコンピュータで検証したり、詰将棋をいろいろ研究するコーナーです。研究展示室ではそれにちなんで300手以上の超長編作品や裸玉を出題しています。

本作は、研究展示室No.2「アンフィスバエナ」研究展示室No.4「飛燕乱舞」に続いて研究展示室最多の3回目の登場、山崎健さんからガイダンス向けということでご投稿いただきました。

作者「実は私の処女作です。(当時、車井戸×龍追いは誰もつくっていない!と、作図を始めましたが、車井戸と龍追いではただの足算にしかならない、、、と気付くのに随分時間がかかりました) でも、表参道、アンフィスバエナはこの作品から生まれました。」

いきなり300手超えの作品で衝撃的なデビューを果たした山崎さんですが、それより前にこういう作品を作られていたんですね。 車井戸とは、「アンフィスバエナ」でも活用されていた金追いで上下させる手順のこと。 黒川一郎さんの「車井戸」(黒川一郎研究78将棋雑記)参照)にちなんでこう呼ばれています。

本作の初形を眺めると、左辺がいかにも車井戸風の配置、そして右側は14角を軸に龍追いらしい配置、きっと41歩、21歩、11歩、12桂を取るのだろうと想像できます。 とすれば、「井の中の蛙」ならぬ「井の中の龍」という名前にも納得です。 車井戸と龍追いがうまくつながるのか、手順を進めてみましょう。

  32飛成、24玉、23龍、35玉、25龍、46玉、36龍、57玉、47龍、68玉、
  48龍、67玉、68歩、76玉、

56香のため58龍とはいけませんが、受け方の持駒は桂歩だけなので48龍とすれば合駒がなく67玉の一手。 68歩、76玉とすれば、ここから車井戸手順につながります。

  『87金、85玉、86金、84玉、95金、75玉、85金、76玉、86金、77玉、
  87金、78玉、88金、79玉、

95金に73玉は82角成で金が取れるので簡単。 75玉で折り返します。 88金、79玉まで来たところで龍追いにスイッチ。

  『49龍、68玉、69龍、57玉、58龍、46玉、47龍、35玉、36龍、24玉、
  25龍、33玉、23龍、42玉
  32龍、51玉、41龍、62玉、
  『71龍、52玉、61龍、43玉、41龍、33玉、32龍、24玉、23龍、35玉、
  25龍、46玉、36龍、57玉、47龍、68玉、48龍、67玉、68歩、76玉、

まずは41歩を奪取しました。 68歩で1歩使っているので、持駒の歩の数は変わりません。

  『87金、・・・79玉、』 『49龍、・・・42玉、』 32龍、51玉、21龍、62玉、
  『71龍、・・・76玉、

続いて21歩を奪取。21龍のとき52玉として、41龍、62玉、71龍と2手長い解答も何人か。 52玉だと61龍で逆に2手短く詰むので、この順は変化別詰です(以下11龍のときなども同様)。 おもちゃ箱では作意も読んでいると判断できる変化別詰は正解扱いしているので、この順も正解としましたが、詰パラ等では不正解になることもあるのでご注意ください。

  『87金、・・・79玉、』 『49龍、・・・42玉、』 22龍、51玉、11龍、62玉、
  『71龍、・・・76玉、
  『87金、・・・79玉、』 『49龍、・・・42玉、』 12龍、51玉、21龍、62玉、
  71龍、・・・35玉、27桂同と、25龍、46玉、36龍、57玉、27龍、68玉、
  38龍、67玉、68歩、76玉、

11歩を取れば12桂も取ることができます。 その桂を27に捨てることで17のと金を奪取。

  『87金、・・・79玉、』 『49龍、・・・42玉、』 32龍、51玉、41龍、62玉、
  71龍、・・・46玉、16龍57玉、27龍、68玉、38龍、67玉、68歩、76玉、
  『87金、・・・79玉、』 『49龍、・・・42玉、』 32龍、51玉、41龍、62玉、
  71龍、・・・35玉、27桂、45玉、46歩、同玉、26龍、57玉、37龍、68玉、
  48龍、67玉、68歩、76玉、

最終目的は16龍で桂を奪って27桂と据えること。 これで玉は35には行けなくなりました。

  『87金、・・・79玉、』 49龍、68玉、69龍、57玉、58龍、46玉、47龍
  まで351手

龍追いと車井戸の融合で、繰り返しのキーは置き駒消去と16とのはがし。 シンプルな構成なので、超長編の入門によいかもしれませんね。 ちなみに私が初めて解けた超長編は、黒川一郎さんの「竹生島」でした。

それでは皆さんの感想を(解答到着順)。

長谷繁蔵さん:
歩が全てかと思った。手数数え350手台超えにならないか不安に
しまぎろうさん:
長手数の詰将棋ははじめてでしたがすっきり解けました。
たくぼんさん:
龍追い+車井戸(でしたっけ)趣向で楽しく回らせて頂きました。無駄なくうまいものですね
池田俊哉さん:
龍追い+井戸手順で長手数を実現。右上だけでなく右下にも剥がし駒を置いてさらに手数が伸びる、作者の構想が素晴らしい
きたさん:
桂をどこで使うかという問題なのだが、左での折衝が微妙。自分で解いた中では最長手数かな。
隅の老人Bさん:
竜追い+金のエレベ−タ−=新機軸、ということですね。
上手い上手い。でも長手順で草臥れた、これが本音です。
daiさん:
ホームページをみたら、たまたま回答締め切り最終日であり、久しぶり(数年ぶり?)に詰将棋を解こうという気になりました。
画面とにらめっこで何とか解いたような気がします。
途中からタイトルの意味が分かり、納得しました。
途中52玉、41竜の2手が入るかどうかに悩みました。もしかしたら間違えている??

初解答ありがとうございます。 1日で暗算で解いてしまうとはすごいですね。

S.Kimuraさん:
井戸の外は8筋と9筋?

研究展示室No.5 解答・感想:9名 全員正解(下記)

  池田俊哉さん  S.Kimuraさん  きたさん  しまぎろうさん  隅の老人Bさん
  daiさん  たくぼんさん  長谷繁蔵さん  凡骨生さん

当選者は、展示室で発表しています。