解説・全短評
なし4類型(左図)はコンパクトな割に誘い手が多い良い類型です。 前に、その双玉版(中央)を作ったことがありました。
これを改良して更に誘い手を増やしたのが、ドキドキ展示室No.44で出題した問題(右図)です。

大道棋30は、この改良版類型の第2弾です。
誘い手は、初手から53桂不成、53馬、54馬、55馬、73馬、86馬の6通り、更に72金、同玉、73歩成、61玉として、ここから53桂不成、53馬、54馬、55馬、74馬、86馬の6通り。
この12通りの誘い手は、すべて詰みません。 あれ、詰んだけど、と思った方は、棋譜ファイルで受け手をご確認ください。
これらの誘い手の山に惑わされずに、72金、同玉、73歩成、61玉、62歩と打てれば、あとは難しくありませんが、ちょっと見えにくい順なので、読み切れるかどうか。 本作は客寄せ問題なので簡単ですが、誘い手の中にはかなり続く筋もいくつかあり、今後難解作がでてくる可能性もありそうな類型です。
それでは解答者のみなさんの感想を。 解答到着順です。
- 永島勝利さん:
- 収束がちょっと面白い。
- 森美憲さん:
- 7手目82とから53馬が見えにくい。
- 原田雄二さん:
- 4手目71玉でも15手詰ですね。すなわち、
72金、同玉、73歩成、71玉、72歩、61玉、53桂生、同飛、
71歩成、同玉、53馬、81玉、83飛、92玉、82飛成 まで15手詰。
4手目71玉は72歩、61玉、53馬以下早い。この順は変化別詰ですね。
- 小山邦明さん:
- 最初の金を捨てて「と金」を作りながら歩を入手する手順は実戦派の人が、ヨセのスピードを上げるために指したくなりそうな手に思えました。
- 山下誠さん:
- 5手目、銀を欲張ると逆王手の桂跳ねが来る。危ない、危ない。
- 千葉等さん:
- 4手目7一玉を先に考え大苦労。
6一玉と判明したらその後はスムーズ。
- 岡崎行晃さん:
- やさしい選題作をありがとう!
小生には、この程度が「ちょうど」です。
- 三宅周治さん:
- 左にと金、右に香車のカベを作って馬で桂をとって詰める手順は、さわやかでした。
- 前田知弘さん:
- 返し技の多い類型ですが、経験済なので、違うところに注目して・・・
- 新井要太郎さん:
- 誘い手が多く大変だったが、初手72金を発見してからはスイスイと詰め上りました。
- 町田喜良さん:
- 玉方の逃げ方に味がある。
4手目少し考えた。好作です。
- 大下進さん:
- 手順に歩、飛が入手できて、きれいに詰み上がる。
とても良い作品と思いました。
残念ながら4手目71玉の変別解でした。61玉の順も書いてあれば正解だったんですが。
- 藤川薫さん:
- 桂馬をわたしたら大変に。
- 鈴木彊さん:
- 53桂不成の筋は危険ですね。逆王手の64桂打がありました。
鈴木さんからは、大道棋29の類型の元祖作品の作者、阿部一二さんについて、貴重な情報をいただきました。 ありがとうございます。
- 鈴木彊さん:
- 類型元祖の阿部一二作・・・と阿部一二氏の名がありましたが、昔昭和29年、30年頃仙台市にお住いで私共の東北青棋会員に阿部一二氏という年配のおじさんらしき方が居られました。
当時棋力は2級ほどで、私(高2、3)と平手で戦ったことがありました。
会の途中で詰将棋を示して皆に詰ませておられたものです。
見ためは易しそうで受け方に工夫があるもので、今でいう大道棋ポイのものだったと記憶しております。
阿部さん宅で例会が開かれたこともありました。
なつかしい名前だったので、思い出すままに記しました。
当時青棋会には八巻広丞氏という詰将棋を将世に発表していた方もおられました。
稲葉元孝さんも会員でした。
私も1度だけ”詰棋界”に投稿して採用されたことがありました。
その後は詰将棋は作っておりません。
- 竹中健一さん:
- この形は紛れがたくさんあって苦労しますね!
- 加賀孝志さん:
- 空き王手の紛れにはまってしまつて、手数の割に難解
- 原科佐登己さん:
- 5三馬に誘われてばかりで時間を要しました。
- 佐藤司さん:
- 易しい割にはワナだらけ、何とかクリアしたつもりです。
- 詰山解道さん:
- 馬を動かせないなら、と考えてやっと初手にたどり着きました。
- 占魚亭さん:
- 5三馬には6四桂、5三桂不成だと同飛同馬6四桂打の逆王手で痺れる。
逆王手を食らわないよう気をつけて、5三馬が決め手になるよう迫る。
- 高田明浩さん:
- 変化は、様々あるが、作意の一直線さに、少々驚きがありました。
- 市原誠さん:
- 銀取りを、グッとガマン!!
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