大道詰将棋(大道棋)とは、昭和のころ、路上や縁日で大道棋屋さんが出題していた詰将棋。 お客が詰めることができたら賞品(タバコなど)がもらえますが、詰めるのに失敗すると研究料を取られます。
手を出してもらうために、大道棋は一見簡単に詰みそうな誘い手が用意されています。 また、似たような配置の(でも手順は異なる)問題がたくさんあるのも大道棋の特徴。
この作品群を類型といい、持駒が香歩の香歩問題、持駒が銀の銀問題などが有名です。
本作は、なし4の類型の改良版で、誘い手の数がもっとも多い大道棋を目指したもの。 一見詰みそうな順が次のようにたくさんあります。
- 63桂不成、同飛、同馬、74合、81飛(金、馬)または72飛まで
- 52馬、75飛、83桂、72玉、63桂成(馬)まで
- 63馬、75飛、81金(馬)まで
- 64馬、75飛、82金(馬)まで
- 65馬、73(74)歩合、81飛、72玉、82飛成まで
- 83馬、75飛、82金(馬)まで
- 82金、同玉、83歩成、71玉、63桂不成、同飛、同馬、73(74)歩合、72と(馬)または81飛まで
- 82金、同玉、83歩成、71玉、63馬、73(74)歩合、72と(馬)まで
- 82金、同玉、83歩成、71玉、64馬、75飛、82と(馬)まで
- 82金、同玉、83歩成、71玉、65馬、73(74)歩合、72飛、81玉、82飛成(と)まで
- 82金、同玉、83歩成、71玉、84馬、75飛、93馬、81玉、82馬(と)まで
ところが、これらはすべて失敗、研究料を奉納するハメになります。 なぜ詰まないのか、考えてみてください。 わからない方は棋譜ファイルをご参照ください。
詰工房や解答選手権の打ち上げで出題してみたところ、解答強豪が続々奉納。 チャンピオン戦でも、こういう大道棋を1題ぐらい混ぜるとおもしろそうです。
さて、正解は・・・
63桂不成、同飛、81金、同玉、63馬、92玉、83歩成、同玉、
72馬、93玉、83飛、94玉、82(73)飛成 まで13手
または 92玉、82飛、93玉(91玉は81馬(飛成))、83馬(飛成) まで13手
香の空王手をせずに飛車を召上げる81金が好手でした。 81金を読んでも、63馬、92玉に72飛と打って、「うーん、桂合以外は詰むんだけどなあ」と悩んでいた方も。
こういう惜しい順があると、83歩成のようななんでもない手が見えなくなってしまうものなんですね。
72馬に93玉、92玉、どちらも13手で正解です。 大道棋屋としては94飛と打ってくれることを期待して93玉と逃げるところ。
それではみなさんの感想を。解答到着順です。
- 蛇塚の坂本さん:
- 3手目角で王手か香で王手かがミソですね。収束玉の逃げ方で13手が多数あってどれが正解良く解りませんでした。
同手数の手順はどれでも正解です。
- 山下誠さん:
- 毒饅頭が周りにたくさん。どれを食っても中合の妙手。
- 小山邦明さん:
- 一番気をつけなくてはいけない手は74桂ハネの逆王手ですね。
桂跳ねは読んでいても、63桂、同飛、同馬、74桂打とされて奉納した方も。
- Pathfinderさん:
- 香車の空き王手…ではなかった。
- 小林巧さん:
- 簡単と思わせて、スッポリと嵌める。
74桂の逆王手にだけ気をつけてね??という天の声が聞こえた
- 占魚亭さん:
- 初手65馬には74桂、3手目同馬だと74桂打の逆王手で逃れるので、飛車を取るタイミングが重要。
- やまかんさん:
- 紛れや逃れ筋など豊富にあって面白いですね。
- 金少桂さん:
- 最初一目で6手目まですんなり進めたのに7手目72飛に嵌って、これがほとんど詰むのに82桂合だけ詰まず結局初手の紛れの大海に漕ぎ出してしまった。気づけば83歩成なんて難しい手でもないのに、ぐぬぬ・・・。
- 池田俊哉さん:
- 会合の席上で見せていただいた折に、63桂同飛同馬74桂打でハマって初手63桂を捨てたために泥沼に入ったのを思い出します。
飛を質にして81金なんて、ホント当たり前の手なのに、大道棋はコワい...
- S.Kimuraさん:
- 初手が分からず,馬で空き王手したり,82金から83歩成としたりしましたが,結局わからず,柿木将棋に最初の数手を教えてもらって解きました.
飛車を取ってしまえば良かったのですね.
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