ドキ展No.50から始まった角香問題。
角香問題にはまた別の類型もあるので、こちらは創始者の金少桂さんにちなんで堺角香問題とも呼ばれています。
73の駒はと金が普通で、73玉の問題もありますが、本作は73銀。
これによって誘い手や受け手が微妙に変ってきます。
84香、92玉、83香成という入門者向きの誘い手が消えたのは残念ですが、
84香、92玉、82銀成、93玉、83香成、94玉、84成香までということで、84香の誘い手は73銀型でも有効です。
もちろん、大道棋屋さんは素直に逃げず中合するのですが、83歩合なら同香、92玉、82香成、93玉、94歩、同銀、84角まで。
そのため94から叩かれないように83桂合と抵抗します。
94歩と叩けなくても75角、94玉、84銀成までじゃないか、と手を出すと75角に84桂合の捨て合。
更に同銀成、82玉、42飛成と追撃しても72桂合と3連続桂合で、そのあとも手は続くものの、「お客さん、惜しかったね」と、あえなく奉納となります。
初手63角の捨て駒も中級者向けの良い誘い手。
同角なら84飛と回って簡単ですし、91玉や92玉と逃げても飛車が成れるので簡単・・・
と思って手を出すと72桂の捨て合がとんできます。
桂は84に利かせるためで、歩や香の合では84香、83桂合、72銀不成以下。 飛金銀など強い駒の合は同角成で簡単です。
それでも84香、92玉、82銀成、93玉、83香成、94玉のとき、
かまわず84成香、同桂に72角成、同角、84飛で詰むんじゃないかと思いきや72角が利いてきて逃れ。
84成香でなく54飛と角を取ってしまう手も有力ですが、 同歩と取らずに74銀の移動合で85への逃げ道を空けられて逃れ。
72桂合のとき84香でなく横から41飛成と攻めたらどうでしょうか。
71合は同龍、同玉、72銀成までなので92玉と逃げる一手。
続いて93香、同玉、91龍と迫っても、92飛合で82龍を防がれると際どく詰みません。
大道棋らしい受けが続出して、なかなか詰みませんね。
実は最後の攻めはいい線いっていたのです。
63角、72桂合、41飛成、92玉のあと93香でなく94香と離して合駒を稼ぐのが正解。
94香では同銀と取られてダメそうですが、それなら84桂、83玉、81龍以下で詰むのです。
63角、72桂合、41飛成、92玉、94香、93歩合、同香成、同玉、
93歩合のところ93桂合は、同香成、同玉、91龍、92飛合のとき、82銀、83玉、75桂で簡単。
歩を入手できたので、94歩の叩きが可能になります。
91龍、92飛合、94歩、同銀、92龍、同玉、
ここで気持ちよく84桂と跳ねれば、あとは流れで収束します。
84桂、83玉、82飛、73玉、72飛成、84玉、
74角成、93玉、92龍 まで23手桂余る
随所に巧妙な受けが光る、おもしろい73銀型の角香問題でした。
作者「堺角香問題、73銀型も面白いのではないかと開発してみました。
香4類型の誘い手(初手84香以下75角と打つ詰筋)や、
63角に対して84香92玉(83中合は73銀型が活きて72銀生以下で詰んでしまう)82銀成以下の手順に備えて、84に利かせる72桂合になる点。
以下それでも84香と打って94まで追って54飛と角を取る手には74銀移動捨合で逃れるところなどがこの形の主な狙いです。
創作の順番としては、実は、
従来の堺角香問題(73と金型)⇒73銀型(同時期に73王型も)⇒ドキ展No.106の85香84銀型
だったのですが、73銀型で纏まった手順の作がなかなかできず投稿順が前後してしまいました。」
ドキ展No.106も角香問題の変形で、85香84銀型なので、73銀成とも73銀不成とも行けるのがおもしろいところ。
73銀型もまだ発展の余地がありそうですね。
それでははみなさんの感想を。 解答到着順です。
- 山下誠さん:
- 9四香が急所で、どう対応しても手が続く。
- 松崎一郎さん:
- 飛の横ぎきを通したいが、63角はタダ捨てに見えたので意外だった。
- 占魚亭さん:
- 一間龍の形に持って行けば後は簡単。
序に誘い手が多くて解くのは大変だけど、角香問題は面白い。
- S.Kimuraさん:
- 合駒の選択に苦労しました.
- 蛇塚の坂本さん:
- 初手6三角が、意表で痛烈。
- 小林巧さん:
- 虫の良い初手63角と15手目の気持ちの良い跳ね出しだけで、解いて良かった!という幸せ感に満たされる。
- 小山邦明さん:
- 2手目は84に成駒までの王手を防ぐために桂と決定。
この形は、初手にいろいろな手があって、いつも悩まされます。
- inokosatoshiさん:
- 合駒の妙
- 池田俊哉さん:
- 初手84香は83桂合でダメ。
63角で簡単かと思うと84に効かす桂合が妙防、94香で稼いだ一歩が最後に生きている
- 嵐田保夫さん:
- 香から入るか角から入るかだが9四の地点を埋めておくのがポイント。
今回の中では一番大道棋らしい作品。
94香に93桂合として、91龍、同玉、93香、92飛合以下85角成まで21手解。
大道棋らしい順ですが、93歩合なら最短で23手かかるので、残念ながら不正解です。
この順でも1局できるかもしれませんね。
【2022年10月14日追記】
金少桂さん(作者) 「いくつか試作した73銀型の図の一つにまさにこういう手順の作品があり、
94香が捨駒でないためあまりにも簡単すぎてボツ寄りのストックでしたが、91龍捨て〜92飛合あたりのやり取りは面白く、
せっかくなのでもしよろしければ参考図としてご掲載いただきたく、投稿いたします。」
ということで、実際この筋でもできるようです。 あわせてごらんください。
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