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詰将棋おもちゃ箱ドキドキストリート

ドキドキ展示室 No.113 鳥本敦史さん

ドキドキストリート
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棋譜ファイル(柿木将棋kif形式)
出題時のコメント:
堺角香問題 30手台

ドキドキ展示室No.113 鳥本敦史

金少桂さんが創始した角香問題、ドキドキ展示室 No.50から始まり、73とでなく73玉の双玉版も出現するなど類型が続々登場して発展しています。 角香の類型はほかにもあるので、こちらの類型は、詰パラ2019年8月号で大道棋教室の鳥本敦史先生により「堺角香問題」と命名されました。

作者「随分開発されてきた堺角香問題ですが、まだシンプルな形が残っていました。 55角の離し角に64歩合がポイント。」

84香、63角、41龍と3方向からの攻めがあるため、攻め筋が多いのが特徴。 一番目につく84香には83中合の妙防が用意されています。 63角は同角と取ってくれれば84龍で簡単ですが、72合が妙防。 41龍には71桂合という83に利かせる合があります。 誘い手についてはドキ展出題作一覧からNo.50、53、57・・・など、過去作の解説をごらんください。

本作は63角、72歩合、84香、83銀合と入ります。 84香、83銀合、63角では71玉で奉納、手順前後は成立しません。

  63角72歩合、84香、83銀合

83銀合は72に利かせる意味で、83歩合では41龍、71合、同龍、同玉、72とまで。
この72と83の合を全部ばらしてしまうのが意表を突く攻め。

  72角成、同角、同と、同玉、83香成、同玉、84銀、82玉、

84銀に72玉は、73歩、62玉、64龍、63飛合、72歩成、同玉、63龍、同玉、73飛、62玉、54桂、同歩、53角以下。
82玉には42龍とはいって、ここからの攻防がすごい。

  42龍、72桂合55角64歩合

42龍に普通に歩合では、73角、81玉、51龍に71歩合が二歩でできないため、何合でも91角成、同玉、71龍でその合を取られて早い。
それを避けて72香合では64角、81玉、72龍と切って簡単。 ということで72桂合が最善です。
二歩禁利用の桂先桂歩の手筋ですね。

これに対し55角の遠打。 これは、81玉に72龍、同玉、73銀成と攻めて33角成を狙う意味で、大道棋屋さんも64歩中合で必死に抵抗。 それでも1歩入手できるので、同角、81玉に72龍と切って、今度は73角成の筋で収束します。

  同角、81玉、72龍、同玉、73角成、61玉、62歩、51玉、
  52歩、同玉、64桂、51玉、61歩成、同玉、72桂成、52玉、
  62成桂(馬) まで33手

最初は定番の受けで、72、83の順でばらしたあと、丁々発止の大道棋らしい緊迫した攻防が続くおもしろい問題でした。

それでははみなさんの感想を。 解答到着順です。

小林巧さん:
これは、10本位取られた挙句、放棄パターンでしわぁ。63角なんて...考えにも及ばない。
こんな時に「捨ててこそ云々」といった、人生達観訓が湧き上がってくる人は、そうそういない。
おまけに、「堺の...」なんてついてると、もう限りなく妖しい雰囲気ですわぁ?
山下誠さん:
5五角と打てれば比較的容易な手順だが、4六桂が残り不安。
小山邦明さん:
110と違い92角打ちはできないが91玉の逃げはできない。
ただ、角と香を打って合駒を取ってばらばらにする手順はやりにくかった。
16手目の64歩の中合は無駄合いの気がしたが、念のため調べてみると81玉では73銀成でないとダメで、角が33に成る手順と成り、手数も29手と短い事がわかった。
後半の罠は気付かない事が多いので、実戦では奉納だったと思います。
S.Kimuraさん:
55角の意味を理解するのに時間がかかりました.
金少桂さん:
72歩合のタイプで10手定跡は珍しい。
12手目82玉の方が手数は長そうだけど、72玉の方が詰ませるのに手こずった。
55角の遠打に64歩中合が入ったのはお見事。
何より、ほとんど原型の配置に46桂1枚加えただけで新作として成立しているのがすごい。
占魚亭さん:
13手目から第2ラウンド開始。
序で清算して銀を打つ筋を念頭に置いて解図に臨んでいても、踏み込むのには勇気がいりますね。
池田俊哉さん:
いきなり84香と行きたくなるがそれでは一歩不足となる
83ですべてバラすまでが第一幕、そこから42龍〜55角限定打から64歩中合から第二幕開始、最後まで緊張感ある手順

ドキドキ展示室No.113 解答:7名 全員正解(下記)

  池田俊哉さん  S.Kimuraさん  金少桂さん  小林巧さん
  小山邦明さん  占魚亭さん  山下誠さん

当選者は、展示室で発表しています。