本作は野中さんのドキ展No.43からの発想。54銀、55桂が86馬から62角の筋を連想させるのに、ドキ展No.43では62角が打てない配置なので、ちょっともったいない感じがして作ってみました。
54銀の利きで65歩が省かれていることを除けば、本作もほぼ普通の金問題。まずは定跡部分を進めてから考えましょう。
96金、84玉、87香、86飛合、85金、同飛、同香、同玉、 86飛、75玉、56飛、84玉、89香、85角合、同香、同玉、
86馬から62角が有望そうといっても、大道棋ですから意外な筋があるかも。やはり類型辞典の金問題に解説されている順を調べていきましょう。
a 86馬、84玉、57角 ・・・ 54飛といけないのでダメ。
b 86馬、84玉、62角 ・・・ この筋で攻める場合、飛が成りこめるように、56飛のところは46飛と開いておきましょう。 73香合に73でばらして43飛成と行けば、64馬の筋もあるし、いかにも詰みそう。
しかし、82玉、64馬、93玉、85桂、84玉、73龍、95玉と逃げられて意外に詰みません(43飛成に84玉は難解ですが詰みます)。
73香合に同銀、同桂、85香、93玉、83香成、同玉、73角成、同玉、43飛成と攻める筋もあります。今度は83歩がなくなっているので93玉とは逃げらません。
さあ詰んだか、と思って手を出すと、大道棋屋さん、涼しい顔をして83香成に同桂。 ありゃ桂が利いていたのかあ。
c 96馬、75玉、97角 ・・・ 以下84玉、86飛、75玉、85馬、64玉、56飛、54玉で失敗。 実は55桂がなければこの筋で詰み。55桂は詰方にとってジャマ駒なのです。
d 86飛、75玉、53角 ・・・ 64歩合ぐらいでダメ。
e 86飛、75玉、84角 ・・・ 以下64玉、56飛に54玉と銀を取られて逃れ。
f 86飛、75玉、66角 ・・・ 以下64玉、83飛成、54玉、43龍、65玉で逃れ。
g 86飛、75玉、87飛 ・・・ 66玉、88馬、56玉、23角、46玉、45角成まで? いや、87飛に76玉と逃げて、86馬、66玉、77馬となれば、飛の横利きが止まるので逃れます。
あれ、また全部失敗。 どうなってるの。 正解は金問題では初めての詰筋。 類型辞典に載っていないのは当然ですね。
96馬、75玉、57角、66歩合、
96馬から57角が新手筋。 65歩がないことで可能になりました。
64玉は63桂成の一発なので、当然66歩と捨て合をします。 同角、76玉となれば、入玉は防げず失敗かと思うところですが、これが詰むというから大道棋はコワい。
同角、76玉、93角成、77玉、66馬、68玉、57馬、77玉、 78歩、88玉、86飛、99玉、66馬、98玉、88馬 まで35手
93角成で馬が作れるのがポイントでした。思い切って指してしまえば、あとは意外に一本道。 駒余りもなく、きれいに詰みます。
それではみなさんの感想を。解答到着順です。
- 金少桂さん:
- この問題と次のNo.49は一晩以上かかりました。おかげでまだ5月なのに汗だく。
攻方54銀と55桂が下段の方に利いてるので上段に追いだすのはなかなか盲点だった。
何も駒がないところに入玉させるのは、抵抗感がありますね。
- 山下誠さん:
- 今度の角は自陣から。馬に変わって大活躍。
- 小山邦明さん:
- 63桂成を見せる55桂配置がうまく、収束も駒が余らずきれいにまとまっていると思いました。
- 蛇塚の坂本さん:
- 玉が下段に逃げ出して詰まないと思いながら追っかけ回して無理やり詰ましたと言う感じでした。
- 占魚亭さん:
- 馬2枚を上手に活用。
- 池田俊哉さん:
- 57角から93に馬を作るのが手づまりを打開する継続手段。後は大駒三枚で包囲網。
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