次ヘ
次ヘ
詰将棋おもちゃ箱ドキドキストリート
ドキドキ展示室 No.43 野中謙一さん
ドキドキストリート
ドキドキストリート

棋譜ファイル(柿木将棋kif形式)

出題時のコメント:

収束7手はいろいろあり 50手台


ドキドキ展示室No.43 野中謙一

本作も金問題。 54銀、53桂という強力な援軍がついています。 最初の16手は定跡手順。

  96金、84玉、87香、86飛合、85金、同飛、同香、同玉、
  86飛、75玉、56飛、84玉、87香、85角合、同香、同玉、

今回もここから類型辞典の金問題の解説にある7つの攻め方を考えてみましょう。

a 86馬、84玉、57角 ・・・ 54飛ができないので失敗
b 86馬、84玉、62角 ・・・ 62銀のため62角が打てない
c 96馬、75玉、97角 ・・・ 64に逃げられても54銀55桂があるので手は続きそう
  ただし、53角が打てないので、96馬に84玉の逃げもあって、86飛、75玉、85馬、64玉でダメか
d 86飛、75玉、42角 (または53角) ・・・ 62銀があるのでダメ
e 86飛、75玉、84角 ・・・ これも64に逃げられても手は続きそう
f 86飛、75玉、66角 ・・・ 同上
g 86飛、75玉、87飛 ・・・ 54銀があるので66玉、88馬、56玉、23角、46玉、45角成まで?

ということで、86飛が良さそうですが、54銀が強力な配置なので、e、f、gと有望そうな筋がいろいろあって悩みます。
とりあえずすぐ詰みそうなのはgの86飛、75玉、87飛。 しかし、66玉、88馬に77桂合とか捨合されると、大駒3枚の攻めとはいえ広すぎて捕まえるのは難しそうです。
次にeの86飛、75玉、84角の筋。 同歩は56飛、85玉、86馬までなので64玉とかわします。 ここで飛の空王手ですが、54銀、55桂が2枚とも浮いているので、どちらかを取られて厳しそう。
ならば、55桂にヒモを付けるfの86飛、75玉、66角の方が有望でしょうか。 これも同歩なら83飛成、76玉、87龍までなので、64玉と逃げます。 次に83飛成とすれば、54玉なら43龍までなので合駒の一手。 む。 これは筋に入ったと思った方、はい。 正解です。

  86飛、75玉、66角、64玉、83飛成、75香合、

75の合は、飛金桂なら取って打って簡単。 銀合か香合のときは、同馬と取っても、同歩、63桂成、54玉、74龍、45玉と逃げだされて、「お客さん、惜しかったね」。 ここは、74龍!が、54銀を取らせない強手です。

  74龍、同玉、75馬、83玉、

こうなれば、右側への脱出阻止に成功。 75の合が銀だった場合は、以下、84馬、82玉、83歩、71玉、62馬、同玉、63桂成、51玉、33角成、42飛合、同馬以下47手。 香合の方が長く、こちらが正解です。

  85香、72玉、63桂成、同銀、81銀不成、61玉、62歩、同玉、
  44角、51玉、43桂、61玉、62歩、71玉、82香成、同玉、
  92歩成、83玉、93と、73玉、55角、64桂合、

64の合は飛銀桂香いずれでも7手で詰み、非限定です。 また、どの合の場合もここからはいろいろな詰め方があり、どの順でも正解です。 作意は次の通り。

  63銀成、同玉、64馬、62玉、74桂、61玉、62銀 まで55手

作者 「狙いは、19手目の▲66角と23手目の▲74龍です。49手目の▲63銀成の所、▲72銀成以下の余詰があります。(此方を作意にできれば良いのですが・・・)」

66角はある手ですが、そのあと75合をさせないため84飛から83飛成と行くのが普通で、 直接83飛成は少ない。 そして、74龍は本作が初めての新手で、以下の攻防もおもしろい改作でした。

54銀配置は、元祖金問題の57角の筋を防いでいて、かついろいろと有望な筋ができる良い配置だと思います。 単に元祖金問題に54銀を置いただけでも、b筋(43手)c筋(29手)e筋(25手)が成立し、少し駒を追加すればあれこれ問題ができそうです。 また、54銀配置なら65歩を省略することもでき、これも新しい筋ができそう。 既存の金問題では54銀配置は本作を含めても3題しかないようなので、みなさんも54銀配置の金問題の改作を考えてみてはいかがでしょうか。

それではみなさんの感想を。解答到着順です。

山下誠さん:
飛車回りから6六角が新鮮。7五銀合の変化も結構楽しめる。
小山邦明さん:
19手目の歩頭の角打が玉の退路防止と55桂の守りの両方を考えた妙手。その後も変化が多くて解くのに苦労しました。
占魚亭さん:
No.42同様、綺麗な捌き。歩頭に打つ66角にガツンとした手応え。
隅の老人Bさん:
「お客さん、チョイ、チョイ、チョイで詰みますよ」
観戦、帰宅、一人で研究。「55手詰、どこがチョイ、チョイ」
池田俊哉さん:
66角はある筋ではあるが、やはり妙手。その後も63桂成から81銀生がやりづらく、かなりの難解作

ドキドキ展示室No.43 解答:6名 正解5名

  池田俊哉さん  小山邦明さん  隅の老人Bさん  占魚亭さん  山下誠さん

当選者は、展示室で発表しています。