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 記録に挑戦! 第32回
最近の記録作(1)
加 藤  徹 
詰将棋パラダイス2007年9月号より
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 神戸で開催された今年の全国大会は台風と重なったにもかかわらず、百名近い参加で盛況でした。

 全国大会のホームページでは、当日の速報写真集を掲載しましたが、大会後2週間のアクセスが1万を超え、注目を集めています。大会で行われたミニ詰将棋解答選手権の問題にも挑戦できますので、ぜひご覧ください。

http://toybox.tea-nifty.com/taikai/

 最近、おもちゃ箱でのいくつかの記録作募集もあり、記録の更新ラッシュが続いています。

 その中で、今回は、三百手を超える記録作を連発しているスーパー新人、山崎健さんの作品を紹介しましょう。

 いずれも長手数で手順は紹介できませんので、詳細な手順と解説は、おもちゃ箱記録に挑戦!でごらんください(記録展示室のNo.101416)。

http://www.ne.jp/asahi/tetsu/toybox/
山崎健 成駒なし 455手 成駒なし 455手 山崎健「表参道」
  おもちゃ箱 2007年1月

 盤面成駒なしの長手数記録作品。これまでの記録(今村修さんの「天月舞」335手)を一挙に120手も更新。

 反転型龍追いで、置き駒消去と香捨合2回だけで長手数を実現した。

 古典的な手順だが、初手から最終手まで龍追いで統一し難しい要素もない本局は、超長編くるくるという感じで、むしろ現代的な感じがする。

 捨合の時期、位置(33香・34香)で変同になるキズあり。

 作者は更に507手に改良した作品を示したが、2手変長があるため、こちらは参考記録として登録した。

注)現在は、中村宜幹・芝勇輝「アンバーグリス」 605手 が記録。
山崎健 全応手玉移動 331手 全応手玉移動 331手 山崎健「馬×(馬+α)」
  おもちゃ箱 2007年3月

 全応手玉移動、これまでの長手数記録は大崎壮太郎さんの龍追い327手。

 本局は馬ノコで4手更新だが、ただの馬ノコではない。

 作者「「馬×馬」と「橋本孝治さん普通詰将棋作品集第8番225手詰」を組み合わせて作ってみました。」

 構造は伊藤正さんの「馬×馬」と同様で、馬ノコで93香を取りに行くと応手が変わり、もう1枚の馬ノコを一つ進めることができる。

 その93香を取りに行く馬ノコが普通の馬ノコではなく、1サイクル10手の金移動を伴う馬ノコで、ここが橋本さんの作品の趣向。

 両作品とも巨匠の名作であり、これを組み合わせようというのは、それ自体が非凡な発想。 それを実際に無理のない構図で、しかも記録作として実現した作図力は、とても新人とは思えない。

 これからの活躍に期待したい。

注)現在は、摩利支天「traveling II」 517手 が記録。
山崎健 移動合 31回 移動合 31回 山崎健「雪月花」
  おもちゃ箱 2007年6月

作者「「明日香」のプロットを使い、縦型の「I'll be back」を作ってみました。」

 「明日香」703手は1筋で玉を上下に移動させながら「桃花源」のように一手馬ノコを行う、添川公司さんの傑作。

  「I'll be back」311手は金ベルトで左右に移動させながら、複数の筋で龍ノコを行う河原泰之さんの作品(残念ながら早詰あり)。

 「馬×(馬+α)」で二つの大作を融合、発展させた作者だが、本局でもまた二つの大作を見事に融合し、309手の新たな作品を創出した。

 本局は、「明日香」型の1筋の上下移動を使用して「I'll be back」の龍の動きを横型で実現したものだ。

 龍ノコ連取りで87銀97銀を取るのだが、47金が龍筋を邪魔しているのでそのつど龍ノコで6筋に移動し、66龍、46金と金を動かさなければならない。

 移動合31回は「明日香」の28回を超えて移動合回数の記録を更新、更に31回中24回は1枚の金で、1枚の金の応手回数の記録も更新した(これまでの記録は17回)。
 山崎さんは、最近も馬屋原剛さんとの合作で初形対称301手の作品を発表するなど、大活躍。この作品もいずれ紹介しますので、お楽しみに。

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