10手目で 「54馬 34馬 13玉」 の形になり、
ここから馬ノコが始まります。
34−35−45−46−56−57−67−68ー78
と34馬が馬ノコで78まで行くと、13玉では79銀が取られて早いので、33玉と逃げる一手。
34馬、42玉、52馬、33玉で、
今度は54の馬が馬ノコを始めます。
55馬、32玉、65馬、23玉、
一つ動くと23玉に逃げられるので、馬ノコを続けるためには、再度
34馬・・・78馬と、こちらの馬ノコが必要。
つまり馬ノコで一つ動くごとに馬ノコが1回入るという、
これが「馬×馬」の意味でした。
本作「馬×(馬+α)」も、基本的な構造は「馬×馬」と同じですが、
片方の馬ノコを金移動を含む10手サイクルの馬ノコにした、更に複雑なプロットです。
それでは手順を進めてみましょう。
33角成、35玉、34馬、36玉、54角成、47玉、
まずは馬が2枚できました。ここから馬ノコが始まります。
『56馬、58玉、68金、48玉、66馬、47玉、57金、48玉、67金、47玉、
65馬、58玉、68金、48玉、75馬、47玉、57金、48玉、67金、47玉、
74馬、58玉、68金、48玉、84馬、47玉、57金、48玉、67金、47玉、
83馬、46玉、56馬、35玉、34馬、46玉 』
83馬まで行くと、58玉では93香が取られるので、やむを得ず46玉と変化します。
これで待望のもう一つの馬ノコが始まります。
64馬、36玉、63馬、47玉、
「馬×馬」と同様、こちらの馬が一つ動くと馬筋から外れてしまうので、
また先ほどの手順 『56馬・・・34馬、46玉、』
を繰り返さなければなりません。
『56馬・・・34馬、46玉、』 73馬、36玉、72馬、47玉、
『56馬・・・34馬、46玉、』 82馬、36玉、81馬、47玉、
『56馬・・・34馬、46玉、』 91馬、36玉、81馬、47玉、
(91歩奪取)
『56馬・・・34馬、46玉、』 82馬、36玉、72馬、47玉、
『56馬・・・34馬、46玉、』 73馬、36玉、63馬、47玉、
『56馬・・・34馬、46玉、』 64馬、36玉、54馬、47玉、
馬ノコの目的は91歩の奪取。6手目から280手かけて、91の歩が持駒になりました。
56馬、58玉、68金、48玉、66馬、47玉、57金、48玉、67金、47玉、
65馬、58玉、68金、48玉、75馬、47玉、57金、48玉、67金、47玉、
74馬、58玉、68金、48玉、84馬、47玉、57金、48玉、67金、47玉、
83馬、46玉、56馬、35玉、
44馬!、24玉、
もう一度馬ノコを繰り返してから収束に入ります。
44馬!がするどい妙手。
この手のため54馬まで戻る必要があったわけです。
同玉なら、48香、47角合、同香、同飛成、34馬、55玉、56金、同龍、64角まで同手数駒余り。
34馬、15玉、16歩、同玉、17歩、27玉、28香、36玉、45馬
まで331手
プロットの複雑化で「馬×馬」より大幅に長手数になり、全応手玉移動の長手数記録を更新しました。
- 作者:
- 「馬×馬」と「橋本孝治さん普通詰将棋作品集第8番225手詰」を組み合わせて作ってみました。
作者のことばにあるように、金移動をからめた馬ノコは橋本孝治さんに前例があります。
しかし、両作品とも巨匠の名作であり、これを組み合わせようというのは、それ自体が非凡な発想。
それを実際に無理のない構図で、しかも記録作として実現した作図力は、とても新人とは思えません。
これからの活躍にも期待したいですね。
それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。
- 中澤照夫さん:
- 香を取りに行く馬鋸は金の動きが入って複雑で、まさに馬+α。
結局香は取れず、91の歩を取りに行く馬の方が実は狙い。
40手目と320手目の局面の違いは持ち駒の歩が1枚増えただけだが、これで収束が可能になる。
よく練られた二重馬鋸で「くるくる」ではなく「大学院」のレベルの作品と思います。
- 真Tさん:
- これはすごい。感動しました。
- 鈴木康夫さん:
- タイトルから91歩を取りに行く馬鋸と93香を取りに行く馬鋸を掛け合わせるのだと予想しましたが、
玉が35-24-15と逃げ出すのを防ぐことができず白旗です。
柿木将棋6.17でも不詰との御神託を賜りましたので、解答発表が楽しみです。
惜しい。 狙いは予想通りでした。
馬ノコ系はソフトは苦手なので、二重に組み合わせた本作を解けないのは仕方ないところかも。
- ドうえもんさん:
- 金の動きと絡めた馬ノコ自体は前例がありますが、それにさらに馬ノコを掛けあわせるのはすごいです。
さらに初形に成駒が無いので印象が良くて好作だと思います。
- たくぼんさん:
- 詰まない・・・時間切れ・・・_| ̄|○
やはり、300手超えともなると、1か月ではつらいでしょうか。
力試しとか、締切りも長くとって特別出題にすべきだったかな。
- S.Kimuraさん:
- 自力では解けず,柿木将棋に解いて貰ったので感想だけを書きます.
金が三角に動きながら馬ノコが動き,更にもう一枚の方も馬ノコするのは凄いの一言です.
歩がもう1枚あれば玉に1筋に逃がしても詰むのですね.
これらの仕組みを自力で発見するのはとても無理でした.
柿木将棋でも解けるのですね。 バージョンの違い? それともメモリの違い?
展示室は柿木解答もOK(感想は自分で)なので、正解扱いとします。
- 隅の老人Bさん:
- W趣向いや3つかな?に気が付けば、変化も少なく楽しく追える。
「おもちゃ箱」に発表は嬉しいが、多分、解答者は少ないでしょう。
TETSUさんには申し訳ないが、これだけの大作は、パラ誌の大学院に投稿すべきと、思います。
実は大学院担当の大崎さんにも打診したのですが、大学院は在庫が豊富とのことでボツと(; ;)
既存作品の発展形なので、大学院には向かないのかもしれません。
デパートとか近代将棋に投稿という選択肢はありそうですね。
- 隅の老人Bさん:
- 長編の解答を書くのは、大仕事。
そこで趣向作では、いつもどこで「」で括るか考える。
今回は1サイクルが36手、電卓を片手に手数勘定。
表示と手数が合って、「うん、正解」。
それにしても、いろいろな記録がありますね。
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