■ある日の昼下がり・・・少年と紳士の・・・ワンシーン
紳士: 「君はよくここに来ているね。」
少年: 「はい。 僕はここから見る風景が好きなんです。」
紳士: 「そうだね。色々な顔があるけど、ここからが一番良い。」
少年: 「おじさんも、よくここに来てますね。」
紳士: 「ああ・・一番の顔をシャッターに収めようと思ってね。
でも、中々良い顔を見せてはくれないよ。」
少年: 「・・・・・」
紳士: 「君は何かスポーツはやっているの?」
少年: 「野球をしています。」
紳士: 「そう、じゃ、プロ野球の選手・・というのが当面の目標だね」
少年: 「はい。でもどうかな。僕には好きな事が沢山あるから・・」
紳士: 「・・・じゃ・・他には・・?」
少年: 「ボートに乗ったり、音楽も好きだし・・勉強も結構好きかな」
紳士: 「良いね。好きな事が沢山あるのは・・」
少年: 「ええ・・」
紳士: 「ボートか・・ボートに一人で乗って、あお向けに寝転ぶと
川も空も・・近くにあるって感じられる。」
少年: 「えー・・でも・・寂しくなったりしませんか?
川と空の間に、自分一人しか居ないなんて・・」
紳士: 「何かを考えたい時、又、何も考えたくない時には良いんだよ。
君も、もう少し大人になったら、判るかな。」
少年: 「じゃ・・僕も・・もう少し大人になって、
そんな心境の時が来たら、やってみます。」
紳士: 「あぁ・・・そうだね。
今日は、いつもより・・良い顔が撮れた気がするな。
君と話せて、気分が良かったからかもしれない・・」
少年: 「もし良かったら、今度・・僕にも見せてくれませんか?」
紳士: 「いいよ。 じゃ・・
もし良い写真が撮れていたら、 次に会う時に、
大きく引き伸ばして、君にプレゼントする事にしよう。」
少年: 「本当ですか? そしたら僕、ずっと大切にします。」
紳士: 「それじゃ・・今度だね。 君の名前は?」
少年: 「庸介といいます。 直江・・直江庸介です・・」
■雪深いある街で・・・青年と紳士の・・・ワンシーン
某氏: 「どうだね。長野に行ってみる気はないか?」
青年: 「長野・・・・ですか?」
某氏: 「そう・・そこに優秀な医師がおられる。
きっと・・君の素晴らしい指導者になってくれると思うが・・」
青年: 「判りました。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
紳士: 「はぁ・・はぁ・・よいしょ・・」
青年: 「・・・・・」
紳士: 「?・・・すまんな・・・手伝ってもらえるのか・・?」
青年: 「はい。雪かきは得意ですから・・・」
紳士: 「はぁ〜〜やっと終わったな。
今頃のこの辺の雪は・・どうも厄介だ。」
青年: 「・・・・・はい。」
紳士: 「え〜〜。 ・・ところで・・君は?」
青年: 「あ・・○○医師の紹介で、本日よりお世話になりま・・・」
紳士: 「おお・・君か・・
未来の優秀な医師を、お前に頼むと言われておったが・・」
青年: 「優秀かどうかは・・判りませんが・・
直江庸介といいます。 宜しくご指導・・お願い致します。」
紳士: 「直江・・?・・直江庸介・・?・・君は・・もしかして・・」
青年: 「はい?・・・・・・」
紳士: 「そうか・・
医者を目指しておったのか・・立派な青年になったものだな。」
青年: 「・・・・・あなたは?・・・あぁ・・あの時の・・・」
紳士: 「てっきり・・プロ野球選手の候補生になっとるか と思ったぞ・・」
青年: 「はぁ・・いえ・・大学でも、ボート部に入ってましたから・・」
紳士: 「そうか・・・・。で・・あの写真はどうした?」
青年: 「はい。 あの時は、本当に有難うございました。
大切に持っています。 いつでも見れるところに置いて。」
紳士: 「懐かしいな。 ここで・・君に会えるとは・・・な。
でも、私の指導は厳しいぞ・・臨床は命がかかっておる」
青年: 「はい。 覚悟を決めてやって参りました。これからの医療は、
どうあるべきか・・ 先生の元で、精一杯学ばせて頂きます。」
紳士: 「うむ・・鍛えがいがありそうな奴だ。 初心を忘れるなよ。」
青年: 「はい。 お願いします。」
■再生
☆☆: 「次の者・・入りなさい。そして生前の名を名乗りなさい。」
青年: 「・・・はい。・・直江庸介と・・いいました。」
☆☆: 「遣り残した事・・断ち切れぬ思い・・等がおありなら訴えなさい。」
青年: 「いえ・・私は・・」
☆☆: 「心の内を正直に申されよ。」
青年: 「遂げたかった志・・又、幾つもの思いは・・言葉には出来ません。
私は・・これまで多くの人を愛し、また多くの人の愛を受け、
生きて来れたのです。 ・・・そして・・・
最期には、掛け替えの無い『真実の愛』を知る事も出来ました。
その十分過ぎる『愛』を胸に、私は自ら旅立ちを決めた人間です。」
☆☆: 「そなたの気持ちは、よく判りました。
人は再び『生』を受ける・・・『輪廻転生』がこの世の真理です。
そなたも、その魂に・・いずれ肉体を得る事は叶うでしょう。」
青年: 「・・・・・・」
☆☆: 「しかし・・その『美貌』を消し去る事は、避け難い事実です。
天は、その事実を『罪』に値すると仰せです。今すぐ戻りなさい。」
青年: 「・・・?・・・」
☆☆: 「『ふ』の付く街の・・とある温かい家庭に、再び生まれ来るのです。
性格や・・才能は・・育つ過程や環境によって
異なるのが・・理です。 だたし・・その容貌は残しましょう。」
青年: 「・・・そんな事が・・・」
☆☆: 「そこで、
果たせなかった思い・・『感謝』・『愛』を、人々に報いるのです。」
青年: 「・・・しかし・・・」
☆☆: 「心配せずとも良いのです。 そなたは愛情一杯に迎えられる
事でしょう。 振りかえらず・・今来た道を戻りなさい!」
・・・・・数年後・・・・・
〜〜〜「とても愛らしい、玉の様な男のお子さんですよ」〜〜〜
母: 「また、男の子ですか・・今度は女の子・・と期待してたのに・・」
父: 「良いじゃないか。ほら、見てごらん。可愛い寝息を立てているよ。
それに・・目元がお母さんにそっくりだ。。」
母: 「・・・そうですね。 とても可愛いらしいこと。 悪いお母さんねー。
ごめんねー。」
父: 「この子は・・これから、どんな風に育って行ってくれるのかな。。」
母: 「そうだわ・・ねぇ・・心の広い子に育ってくれる様に、
また、広く沢山の人に愛される子になる様に・・・それと、
お父さんの『正』の字を取って・・『正広』と名付けましょ。。」
父: 「あ〜〜そうだ・・それが良いねー。ヒロちゃんか・・」
・・・・・再び、数年後・・・・・
「♪〜キャ・・・キャ〜〜ン(can’t)ストップ! S・M・A・P Smap!」
「きゃぁ〜〜〜〜。中居く〜〜〜ん。。」
「なか〜〜い☆ちゃんだよ! ぴゅ〜〜〜っ。。。 あははははぁ・・・」
・・・・・またまた、数年後・・・・・
マネ: 「素敵なドラマの話が来てるのよ。。
美しくて、寡黙で、儚い青年外科医の役。。」
青年: 「寡黙〜?なんだよ〜それ・・俺の分度器には無いじゃんか〜〜
無理だよ。無理! 断っちきちくりよ〜〜。。」
某D: 「君の分度器に・・無いはずはないんだよ。 さぁ・・瞼を閉じて。
胸に手を当てて。よ〜く考えてごらん。そして思い出してごらん。
君の中の『彼』を・・
君の中に・・遠く、深く、眠る失われた『彼』の記憶を・・・」
。。。。。ジ・エンド。。。。。
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