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■彼女はいかにして立ち直ったか
おそらく倫子はお姉さんからボートに残されたコートとガラスのボートを渡される。
そして「庸介の遺書には、あなたのことをくれぐれも頼むと書いてあった」ことを聞かされる。
おそらく七瀬先生にも会うだろう。『ああ、あのとき、先生はとてもうれしそうな顔をしていたっけ』
七瀬先生からは彼の長野時代のことをたくさん聞くに違いない。

「あいつは希望に燃えて長野に来たんだよ。
まだ医者になりたての若造だったけど、熱意だけは誰にも負けないくらい強かった。
だから、多少身体の具合が悪くても無理をしてしまったんだろうな。
発見がもう少し早かったら、なんといおうと治療を受けさせたが、あいつはそれを潔しとしなかった。
自分の体で治験薬を試すなんてな。
やらせたくなかったんだが、あいつは一人で東京に出てきてしまった。
きっと私に迷惑をかけたくなかったんだろう。
まわりにたくさんの人がいれば、甘えも弱さも出てくるものだ。同情の目で見られたくもないだろう。
だから、あいつは誰にも言わず一人きりで病気と闘うことにしたんだろう。
わかっているけれど、つらいな。
東京でも人と距離を置いているような感じだったが、どうやら違ってたようだ。」
「私がそばにいたいと言ったんです。
最初は何を考えてる人だろうと思いました。本当にいろいろなことがあって。
でも、先生は患者さんのことをよくわかっていました。
本当に、自分のことより患者さんのことを考えているような人でした。
。。。わかっていたはずだったんです。先生が何かに苦しんでいるって。
だから私はそばにいたかったのに、いつのまにか先生の嘘の中に入ってしまった。
聞くのが怖くて、その嘘を信じてしまったんです。」

小橋からは彼の言葉を聞くだろう。

「君から笑顔が消えるのが一番怖いと言ってたよ。最後まで君の笑顔を見ていたかったんじゃないかな。
僕は、君が何も聞かされないのは悲しいことだと思ったんだ。君が後できっと後悔すると思ったからね。
でも、彼はこう言ったよ。
『彼女なら分かってくれる。そういう人だから僕は彼女を愛することができた』って。
君がいて、直江先生は救われたと思うよ。」

「つらい。悲しい。淋しい。どうして。なぜ。どうして私に何も言ってくれなかったの。
私ではだめだったの。私はあなたを救えなかったの。
先生が何か苦しんでいたことをわかっていたはずなのに、私は何もしてあげられなかった」

突然いなくなってしまった彼に対する思い。
倫子は自分の無力を悔いただろう。
何も知らされず相手が逝ってしまったら、誰だって自分の無力感を思い知らされる。
深い悲しみと後悔から倫子を救うのは、直江が残してくれた数々の言葉と生き様。

「決して饒舌に語る人ではなかったし、私にすべてを話してくれたわけでもない。
でも、あのやさしさも、あの微笑みも、あの温もりも、あの言葉も、すべて本物。
私に見せてくれたものはすべて真実だったと信じられる。
先生は私の笑顔が好きだって言ってくれた。私が笑顔でいられるように嘘をついた。
それは先生が私を信じてくれたから。だから
、私は大丈夫。」

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