私の白い影論
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私はどういう訳だか、物語の最初にくっついていた人たちが別れるのが嫌いだ。 だから本当なら「白い影」 の場合、最初から関係があった直江は三樹子が、倫子の出現によって別れることは嫌いのはずだ。しかし、私はそう思わなかった。

それは直江と三樹子が愛情で結ばれているのではないから。直江の態度から愛情は感じられないし、言い方は悪いが「言い寄ってくる女は拒まず適当にあしらう」感じが見てとれた。直江は迫ってくる死が怖くてヤケになり、女性に逃げたかったのだ。もう誰かを真剣に愛さないと決めている。
三樹子にしても、大人のドライな関係で納得していただろう。直江との関係に愛情は成立していないかもしれないが、『一番近くにいるのは私』だし、そういう関係に疑問は持たなかった。直江は何を考ているのか、遠い目をして何を見ているのか分からないことも多いが、とりあえずは今の関係で満足していた。

しかし、倫子の出現によって、三樹子は倫子に「嫉妬」する。
「あの子も孤独を紛らわすための一人なんでしょ」 と三樹子は直江に言った。あなたは私と同じように彼女を愛してなんかいないのよね、という確認である。
しかし、直江は三樹子を部屋に入れなくなる。直江もまた倫子を愛していることを三樹子も本能的に悟る。倫子に対して強がりを言ってあがいても無駄だった。

皮肉にも直江の秘密を最初に知るのは三樹子だった。愛する人が病に侵されている。そしてもはや助からないと分かると、彼女は自分の気持ちをどうすることもできず、混乱してしまう。彼の死を前にしては愛する人を失う恐怖に耐え切れない一人の女である。

そんな三樹子では直江を救えない。彼の死を乗り越えられるほど強くないのだ。

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