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上川隆也さん演じる小橋の存在は、直江の運命を際立たせるために不可欠だ。直江と違う考え方を持つ医師を対比させておかなくては、直江のやっていることを正当化してしまうことになる。直江の考え方はあくまで彼が自分の信念に基づいていることだし、それが本来医者のなすべきことをすべて代弁していることにはならない。

小橋は原作では直江に比べて経験も浅い研修医であまり存在がはっきりしないが、ドラマでは直江よりも年上で「清廉潔白」という言葉がぴったりとくるハイクオリティ医師だ。「医師とはかくあるべき」というお手本のような医師である。診察してくれる医者が小橋であれば信頼してまかせられるだろう。
そういう医者だからこそ、直江のやり方には反発する。直江は患者以外は寄せ付けようとしないから、小橋も直江が何を考えているのか分からなかっただろう。
小橋が直江のやり方を考え直すというか認知するようになるのは、石倉に対して「がんばってください」と声をかけたとき、「言われなくても患者はがんばっている。直江先生は大丈夫ですよと言ってくれる。がんばってとは言わない。」と言われたときか。このときまで小橋はこんなこと考えもしなかったと思う。別に悪気があったわけではないのだ。
自分が何気なく言った言葉が患者に負担をかけていること、そして直江はそのことを知っていたということ。

石倉は直江を信頼している。小橋は、その信頼に応えるためにも直江の考え方は間違っている、医者とは本来こうあるべきだと思うが、一方でどうして直江はそういう処置をするのか、何を考えているのかということを疑問に思い、知りたがっていたようにも思う。

そして、直江のレントゲンを発見し、彼が侵されている病名を知ったとき、余命幾ばくもない彼だからこそだということを理解する。
もっとも。。。彼が直江の考え方を本当の意味で理解するのは彼がいなくなった後だろう。彼の病名を知ってからは「彼を助けたいが、どうすることもできない。自分は医者なのに無力だ」ということで打ちひしがれる。
彼を入院させたいが拒否され、北海道に行くと聞かされ憤り、自分のいうことは何一つ聞き入れてもらえないまま、彼の死を聞く。
小橋もかなり落ち込んだのではないだろうか。もしかしたら医者という仕事までいやになったかも?しれない。

でも、小橋を立ち直らせたのは直江である。自分の身をもってまとめた研究資料を、直江は小橋に遺した。当初、直江は七瀬先生に託すつもりだったと思う。七瀬先生はMMの専門医でもあり、それが一番有効な方法だ。しかし、直江は小橋に託した。
直江は小橋なら後をまかせられると信じた。その医者としての誠実さと、こんな自分を助けたいと本気で心配してくれるその心を信じた。
その期待を裏切ることなく、小橋はすかさずその意志を受け継ぎ、大学で研究を進め、いずれ行田病院で「血液内科」を創設することまで決心する。直江の信頼は間違っていなかったのだ。
小橋も、資料を託されたことによって、自分の思いは直江に通じたのだと信じられる。その強い「絆」こそが彼をこれからも医者としての信念を支えていくだろう。

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