豊倉先生のご師匠の城塚先生は、小生には雲の上の先生でした。
学部、大学院で反応工学やシステム工学をご教授頂きました。凛としたカリスナ的なご風格のある方で、先生のご講義の時は、教室には、先生のお声以外は寂として声無しで、何かピリッと襟を正さずにはおかないような緊張感が漂っていた印象があります。あんな先生になれたらと、目標と言うより、あこがれの大先生であられました。
論文指導会の時の質疑と記憶していますが、温度測定に関しての安易な学生の発表に、ご叱責にも近い指導をされたのを良く覚えています。工学の研究をすると言うことが如何に厳しく、難しいものだと言う実感と、それに対する意欲が湧き上がったのを昨日のように覚えております。今でも、ベーシックで難しい温度測定の議論になると、そのことを思い出し、先生のご指導内容を仲間に話しております。
博士号を戴きました晩冬の夕刻、霙交じりの雪の中、小田急線沿線のご自宅にお礼に伺った時のことも忘れられません。「お目出度う」とお言葉を戴いて、なにか、本当に学位を頂いたんだなーという実感が湧き、帰路の寒い雪の中で、気持ちが湯やかで、とても嬉しかったことを、今でもありありと覚えております。
ただただ、ご冥福を衷心からお祈りするばかりです。合掌