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2010 S-4,4: 特集( 城塚正先生を偲ぶ ) -4,4
           「 城塚 正先生を偲ぶ 」
        矢後 夏之助;1975年早稲田大学大学院博士課程前期修了 工学修士

  「城塚先生を偲ぶ」という事で豊倉先生から寄稿を依頼されて、城塚先生に関わる思い出を頭の中から引っ張りだす努力を、2週間ほど続けました。私が応用化学科に在学していたのは30年以上も前ですから、記憶がもうろうとしており、記憶の糸を辿るのに悪戦苦闘しました。私が豊倉研に入った時、城塚研は酒井研を挟んだ一軒隣でした。その時は配属の学生は居ないようで(居たらご免なさい)城塚研はいつも静かで、先生をお見かけしたのは3年間で数度でした。理由はよくわかりませんが、私が研究室に来る時間が遅かったからかもしれません。いずれにしても、私にとってあまりお会いする機会のない雲の上の人であったのは確かです。それでは、学部の授業を受けた事があるかというと、その記憶もありません。先生が、あまり授業を持っておられず、しかもその少ない授業を私が避けて通っていたのかもしれません。授業での記憶もなく、研究室での記憶もないのですが、唯一の記憶が短時間ですが存在しました。それは、3年生になる時に(2年生の終わりかもしれませんが)化学工学をとるかその他の化学の分野をとるか選択をするために(化学工学は、少なくとも人数的には少数派でしたから、こういう言い方は、化学工学を選択しなかった皆さんには失礼かもしれませんが)、説明会がありました。その時、化学工学を代表して化学工学分野の説明をされたのが城塚先生でした。

  私は、成績的に非主流のため、化学工学を選択しようと思っていたのですが(すいません。成績の良い方で化学工学を選択した方が多くいたというのも事実です。化学工学でも成績の悪い者はあくまでも非主流でありました)化学工学とはどのような学問か良くわかりませんでした。そこで、「化学工学とはなんですか?」という非常に浅はかな質問をしてしまいました。それに対して、城塚先生は少し困った顔をして「それは簡単には説明できない。勉強してみればわかる」と言った様な返事をされたと記憶しています。今から考えると、よくこのような恥ずかしい質問をしたと思いますが、先生も怒らずに(あきれたとは思いますが)答えてくれました。言ってみれば、「人生とは何ですか」という弟子の質問に「人生はやってみなければわからない」と答える師の風情でした。私は、卒業後、化学工学とは無縁の世界に居ましたが、単位操作の効率向上を求めると共に、全体プロセスの最適化を追求するという化学工学の手法は、会社の業務プロセスの全体最適をはかる手法と同じではないかと感じています。また、そろそろ「人生とはなにか?」について考える歳になりました。考えるたびに、城塚先生への質問の場面を思い出して恥ずかしい思いになる事でしょう。                                

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