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2010 S-4,2: 特集( 城塚正先生を偲ぶ ) -4,2
           「 城塚先生を偲ぶ 」
        岡本 和男;1963年早稲田大学理工学部応用科学科卒業、工学士

  私が化学工学に興味を覚えたのは、たまに西新井から王子までのバスに乗り、都電で早稲田に出ることがあり、途中のバスの中から王子の日産化学工場脇を通る時に見える化学装置群の一つひとつは一体どうやって設計して造られているのだろうと、不思議に思った時でした。一年生のまだ幼い学生が大きなステンレスの装置を前にして、どんな理屈で装置の設計がなされるのか、深い興味を抱いた訳です。それを進めるのが化学工学だと知ったのは、城塚先生の授業でした。難解な原書を1回に10頁も飛ばす速さになかなかついて行けませんでしたが、マッカベチーレの階段作図は美しいと見とれていました。成績は良くなくても、卒論研究室は城塚研しかないと決め、希望がかない、それまで航空部のグライダー合宿に日を過ごしていた身をすっぱり止めて実験室通いに変えました。

  豊倉さんのご指導の下、「脈動流下の結晶成長速度」のテーマで6年先輩の福原洋一さんが使った脈動流発生装置を使用させて戴きました。福原さんとは後に同じ会社の研究所に勤め、はじめてその奇縁を知りました。卒論研究の最終まとめはさしたる成果となりませんでしたが多くを学び、企業に入ってすぐm-キシレンのHF・BF3抽出やp-キシレンの脈動晶出の研究に従事する中で、改めて化工の勉強をし、設計の面白さを知った次第です。

  城塚研の夏休みの旅行ではじめてタバコの味を覚え、実験の途中で火をつけた後のマッチの燃えカスをみかん箱のゴミ箱に捨て、実験後に捨てた濾紙に火が付き、あわてて水道の水をかけてゴミ箱を窓の外に干しておいたのを見つかり、大目玉を頂きました。しかし、先生は余りきつく叱らなかったように記憶しています。以来、火には本当に神経質になっています。また、先生は就職先の面倒を見てくださり、「君はヒューマンリレーションの関係に向いている」と言われ、当時はよく分からないまま紹介下さった会社に入りました。結局、研究所からパイロット運転を経て工場勤務をし、ずっと企画開発や製造畑を歩み、退職後今は全く化学や企業に縁のない「自治体史」(郷土史)にのめりこみ、市民団体の事務局長を務めるにおよんで、会の運営を楽しんでいます。60才代が若い部類の市民団体では会の継続が大事で、どんな人にも長所があると信じる寛容さが必要です。今更ながら、先生の人を見る目の確かさに感じ入っているところです。                          

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