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2010 S-2,3: 特集( 城塚正先生を偲ぶ ) -2,3
           「 城塚 正先生を偲ぶ 」
        松本 要;1960年早稲田大学大学理工学部応用化学科卒業 工学士

  先生の突然の訃報に接して、驚き深い悲しみに浸っています。

  先生のお宅には、学生時代から妹もつれて良く遊びに伺っていて、結婚してからは、先生のお宅の近くの会社の社宅に住み、子供達を連れて一家で遊びに伺っていました。先生には本当に良くして頂いておりました。先生に師事することが出来たのは幸いでした。

  応用化学科合格を確認してすぐ神田の古本屋を周り、Perry Chemical Engineers’Handbook 3ed EditionとPauling General Chemistry を買った。当時、化学工学は最新の技術で、石油化学工業発展には不可欠であり、日本の発展には必要で、この分野を勉強しようと考えていた。二年生の時、先輩から、城塚先生が最新の化学工学を教えてくれる。教科書はTraybal Mass-Transfer Operation、Smith Chemical Engineering Kinetics およびMickley Sherwood and Reed Applied Mathematics in Chemical Engineering であると聞いてすぐ買い入れ、Chemical Engineering Kineticsの例題と問題を解いて城塚先生に提出し、先生の研究室で勉強させて下さいと申し出た。

  先生は「オリフィス板における液・液分散」について本田先生の御指導のもとで実験をさせて下さり、化学工学に掲載してくださいました。また卒業研究では「塩化アンモニウムの溶液からの晶析」のテーマを出して下さり、未知の問題がある分野の研究にかかわる取り組み方を教えて下さいました。しかもこの成果を化学工学に出して下さいました。また、先輩の角田さん、安達さんの指導のもと、下水道の水銀の回収、水銀の精製回収の実験を行い、装置の製作も行わせて下さいました。

  先生は、装置の設計製作をしたり、新しいプロセスを考え出す場合、重要なことは目的の装置に求められる特性を全て摘出し、その特性について要求される性能を可能な限り数値化して相互の矛盾相反する特性については、優先順位を明確にすること、この特性の要求水準を説明する証拠・理由を明確にすること、これを基に設計計算を行い、装置の仕様を決定する。この一連の作業の根拠、計算理論・方程式の出典を明確にすることが重要であると教えて頂きました。

    日本原子力事業に入社し、原子力発電所放射性廃棄物処理技術開発に関する共同研究で米国のゼネラルエレクトリック社(GE)に派遣されたとき、GE社では、Criteria, Requirement, Evidence and Specificationを重視していることを知りました。帰国後、原子力発電所放射性廃棄物処理設備改良研究と改造工事に従事しました。

  現在では、原子力発電所放射性廃液処理設備に流入する放射性物質の量は、環境放出で世界的に認められている量の数十分の一と極めて少量になりました。 柏崎刈羽原子力発電所の放射性廃液処理設備は、未曽有の大地震にも耐えて、 問題なく放射性廃液および外部から侵入した流入水も安全に処理することが出来ました。

  城塚先生の下での経験と勉強はこれらの改良研究開発に非常に役に立ちました。深く、深く城塚先生に感謝しております。

  謹んで城塚 正先生のご冥福を祈ります。                                    

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