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2006C-6,7 中川創太 1994年大学院修士課程修了 (工学修士)
略歴 | |||
1994年3月 | 早稲田大学大学院理工学研究科 修士課程修了 | ||
1994年4月 | (株)荏原製作所 入社 | ||
1994年7月 | (株)荏原総合研究所 水処理研究室 | ||
1996年7月 | 同上 分解反応技術研究室 | ||
1997年4月 | 同上 水機能研究室 | ||
1999年4月 | 同上 環境プロセス開発室 | ||
2001年1月 | (株)荏原製作所エンジニアリング事業本部 水環境プロセス開発室 | ||
2003年2月 | 同上 精密・電子事業本部FU事業推進センター 主任 | ||
2005年4月 | 同上 精密・電子事業カンパニー FU事業推進室 主任 | ||
2006年3月 | 博士(工学) | ||
2006年4月 | 同上 精密・電子事業カンパニー FU技術第一グループ 副参事 |
「 論文博士という道を選んで 」
今年の3月4日に早稲田大学より博士(工学)の学位を授かりました。大学院修士課程を修了してから学位を授かるまでの間、豊倉先生と平沢先生には大変お世話になりました。
思い起こせば、この日から約11年前、入社1年目に与えられたテーマ「生物難分解性物質の物理化学的処理方法の研究」についてまとめた年度末研究報告書、これに対する上司の評価で「博士論文みたいだな」という一言があったのが、事の発端でした。今から考えれば、厚みだけで内容は相当稚拙なのですが、当時の私には、ああではないか?こうではないか?と想像逞しく考察した力作でした。ここにタイミング良くこの一言を頂いたことで、この研究テーマについてまとまった成果を上げて学位を取る と心に決めました。(ちなみにこのときの内容は、博士論文には殆ど反映されていませんが。)
学位を取るには、博士課程後期と同様の社会人コースに入る課程博士の道と 課程外の論文博士の道の2つがあります。論文博士の方が険しいことは明らかではありますが、職場の諸先輩方は殆ど論文博士。「みんな10年くらいはかかっているかな」とサラッと言います。私も、どうせそのようなリスクがあるのなら早く始める方がいいし、論文博士として学位を取らなければ、諸先輩方に肩を並べたことにならない とばかりに、論博の道を選びました。
入社後早い時期に取り組んだことは、まず、20代の若いパワーを注ぎ込めた点で俄然有利でした。集中力・パワーなど今の比ではありません。また、諸先輩、上司から率直な意見・応援を頂けたことも吉と出ました。 自分が若いこともあり、諸先輩・上司からは「論旨がおかしい」、「英語がおかしい」など、修正すべき部分をズバッと突いていただけました。正直ベースですので、強い調子で叱られても納得がいき、結局は近道となりました。自分も成長します。諸先輩・上司の存在は、精神的な支えとしてもとても大きく、研究がうまくいかないときも、論文がリジェクトされたときも、応援・励ましをいただきました。自分も、周囲の応援を裏切らないようにと、精神的にギリギリの時も踏みとどまれました。
結果として、業務として本テーマを研究した約7年間で挙げた社外発表・研究業績は、論文3件(うち1件は研究ノート)の他、学会発表18件(国内14、海外4)、業界誌への投稿・寄稿6件、セミナー講師5件、特許の出願は57件 など。実装置の納入にも繋がりました。このうち論博の審査で研究業績として認められるものは、論文の数だけですが、論博をとるという目標がもたらしてくれましたこれらの様々な経験は、貴重な財産となりました。
業務に対する姿勢においても、発表のネタ探しをしなければならないということで、「自分で計画を考えて提案すること」、「自分で気付くこと」、「自分で次の展開まで考えること」などと、能動的かつ高い意識で物事に取り組む必要性を改めて確認することができました。
以上、述べましたように、目的そのものは学位を取るということなのですが、この過程で様々な経験をさせていただくことができ、自分自身も知らぬ間に成長していました。業務に対する基本姿勢もここで培われました。
論文の本数を増やすためにその後数年間を費やし、結果的に、諸先輩方とほぼ同じ10年余かかりました。しかし、学位は博士論文という成果物のみならず、様々な経験を積んで成長した証として得られるものでもあり、学位に値する成長には約10年余という時間が必要だったのだとも、今にして強く感じます。
私にとって、論文博士という道を選んだことは正解であったと確信しています。
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