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豊倉賢略歴
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2006C-5,2 河合正樹 1981年大学院修士課程修了  (工学修士)

 
   河合さんが研究室に在籍した当時は、豊倉研究室の2核発生現象に関する独創的な研究に対して世界から安定した評価が与えられようになった頃でした。1980年にドイツ・アーヘン大学に招かれた時、Offermann博士が研究室で活躍しており、J.Ulrichが大学院博士課程で博士候補生として博士号取得のスタンバイをしていて、ドクター取得後の武者修行先と考えられる世界の晶析関連研究室の研究活動を調査していた。豊倉が大学を訪問した時、UlrichはKarpinskiが日本で研究した論文や、その他海外で発表していた豊倉研究室の論文を集めていて種々の質問をしてきた。その様子はOffermannとUlrichに豊倉が面接試験をされているようであった。その討議の中で、当時研究室で河合さんを中心になって行っていた、モデル晶析装置内で起こる2次核発生の研究につぃて、その着想からその時点までに得られている研究成果の概要と、これら一連の研究の将来展望を伝えたところ、Ulrichは早稲田大学の晶析研究に強い関心を示し、アーヘン大学の方で留学費の工面をするからUlrichの留学を日本の豊倉研究室で引き受けないかとの話になった。

  この話からも分かるように、河合さんが活躍した頃の研究室は、その時に特有な空気があり、活気にあふれていた。豊倉が朝9時からの講義に合わせて、その30分くらい前に研究室に着くと、河合さんは何時でも実験開始の準備を行っていて、既に装置内温度を所定値に上げて何時でもテストを開始できるようにしていた。また、河合さんは冷静に物事を判断するタイプの学生で、仲間や後輩の面倒もよく見ていた。河合さんは自分の研究を行いながら、後輩学生の研究実験のアドバイスを行っていた。卒業してからも時間のある時はよく研究室に顔を出しては学生の世話をしていたようであった。豊倉は70年代の終わり頃学部長室のスタッフとして学部教務の仕事に追われ、それが終わる頃から化学工学協会で庶務担当理事を務めるなどして、学内外の仕事も多くなっていたが、河合さんは研究室の学生と力を合わせて順調に研究活動を続けていた。この時の河合さんは皆の動きを見ながら状況に応じて、適切で建設的な意見を出していたようであった。今回の河合さんの記事を読んで、「河合さんは物事をよく観察し、それについて慎重に考えて仲間と意見の交換をしながら活動していた学生時代の姿」を思い出している。また、この河合さんの記事の中には、豊倉が行っているのと同じようなことも書いてあり、いろいろ考えさせられている  (06年9月、豊倉記)

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(河合 正樹)

略歴
1975年 都立西高卒業、早稲田大学理工学部応用科学化入学
1981年 早稲田大学理工学研究科( 化学工学 )修了、東亜燃料工業(現東燃ゼネラル石油)入社〜和歌山工場技術部
1981-1988年 潤滑油精製プラントのコンタクトエンジニア(化工屋)
1989-1994年 新事業開発部診断薬事業グループ(厚生省対応担当)
1994-1995年 和歌山工場潤滑油精製プラントのプロジェクトエンジニア(化工屋)
1996-1997年 本社技術部
1998-1999年 本社監査部
1999-2004年 エクソンモービル出向(調達部門の中で、支払事務管理 を担当)
2005-2006年 和歌山工場の石油関連以外の全プラントのコンタクトエンジニア(化工屋)


「 雑感25年 」 

  気が付けば東燃ゼネラル石油で四半世紀(人生の半)を過ごしています。この間技術屋から事務屋から色々なシゴトをさせてもらって、変な幅の広さを持ち合わせるようになってしまっております。と、いうことでこの25年間の雑感を、、、2つ3つ書き連ねてみました。

1.数字の見方について
 その1. 技術屋と事務屋
  技術屋の数値の見方は皆様よくご存知と考えます。さて、一方事務屋(特に経理屋)はどうか、、、と言うと、ちょっと違う様ですね。

  まず、事務屋さんたちには有効数字何桁という概念がありません。
例えば1000mの配管がある。圧力損失を計算するのであれば有効数字は3桁くらいで十分でしょう。ということで1m程度間違っていてもこれは誤差範囲です。じゃあお金はどうか、、、、1000億円のお金がある。有効数字が3桁なら、1億円は誤差範囲でしょう、、、、。でもホントですか?、、、1億万円と言えば従業員10-20人分の年収に相当する額でしょう?、、、、到底無視してはいけない額ですね、、、。こう言う世界ですから、有効数字の桁数という概念はない、、、、。

  それから、技術屋から見たらマイナスや少数や平方根はごく自然なものとして扱えます。ところが、どうでしょう。1円玉と言うお金は世の中にありますが、0.5円玉とか、-10円玉とか、√3円玉いうものは、現実に存在しないわけです。

  マイナスのお金は、例えば借金ですね。これは確かにマイナス100円の所持金と言う表現で良いと考えがちですが、経理屋から見れば、「ホントは他人の財布に本来あるべき100円玉」考えるわけです。 もうお分かりと存じますが、彼らは常に、自分の財布と他人の財布を併記して考えているわけで、これが簿記(借方と貸方)の基本のわけです。

  事務屋さんたちから見た技術屋の数字の考え方と言うのはかなり違うような気がします。考えてみれば、複素数を当たり前に使っている電気屋さんたちのは、化工屋の私たちからは信じられんのと同じですか、、、、、。 別にどっちが悪いとか良いとか言っているわけではないですが、話でもする時には少し気をつけていると面白いかもしれません。

 その2. ギジュツ屋にとっての数字 / アナログ世代vsデジタル世代
  今はプラントの運転制御はデジタル計装、オフィスでやる技術検討でもPC を使ったりするのがごく普通になっています。このことは技術屋さんの間でもオヤジエンジニアと若手エンジニアの世代ギャップが見えてくるように思います。

  私が会社に入って技術屋を始めた時代は、計算尺がやっと滅亡し、電卓が主流となった時代でして、メインフレームコンピューターで逐次段計算なんかはしましたが、簡単な設計計算は電卓でした。また、プラントの制御にはデジタル計装が入っていたことは確かですが、まだまだアナログの計装設備がたくさんありました。

  アナログと言うのは、つまり目盛板の上を針が動くヤツが代表的に考えられるでしょう。そうすると、目盛と目盛の間に針があるとき、おのずと読みに限界が出る。例えば温度計で1目盛が1℃だとしたら、読める精度は0.05〜0.1℃がせいぜいですね。計器の精度、それに基づく有効数字の考え方と言うのはこうしたところから出てくるものだと考えたものです。

  ところが、これがデジタル計装やエクセルのデータ収集ツール・計算結果では何桁でも出てる。こうなると、元の計器の精度は?なんてことを考えにくくなるようです。別に若手がアホだといっているわけではないですが、データを小数点以下何桁も出して平気な顔してるのは、なんともいえない感じです。 機械の進歩が人の目を曇らせている、の典型例かな??? みたいな、、、。

2. 神戸の診断薬メーカーさんのこと…(関西ゆえか、業界ゆえか、、、何かがチガウ)
  役所・規制に対する考え方は業界によって、あるいは関西と関東の間で違うものなのでしょうか? 私が新事業開発部にいた時、肝炎の検査試薬の開発・製品化の際に神戸の有力診断薬メーカーさんに色々教えてもらったことがありました。こちらは石油会社ですし、先方は診断用試薬のプロですから、それはもう色々とよく知っていらっしゃるし、大変勉強になりました。

  さて診断用試薬というのは医薬品のジャンルになりますので、厚生省(今の厚生労働省)に申請しなくてはならん。そこでこの申請書も一緒に作りながら色々教わろうと考えていました。そこで気付いたことに(というより驚いたことに)、彼らはやたらに役所に対し構えているんです。嫌っているようにすら見えます。厚生省がヒヤリングなどの時、内容説明の時にただ申請書を読んでるだけ、、、、みたいなところがあります。自分の言葉で、如何にすれば相手にわかってもらえるか言葉をえらんでしゃべる、と言うことを敢えてしないわけです。あたかも申請書に書いてあること以外は何も明かしたくない、自分の言葉を使うのを止めてまでも、役所には情報を渡したくない、、、みたいな感じがしました。

  彼らは、私たちに話す時はそんな態度とらないんですよ。だからあれはきっと役所と言うところが、自分たちのしたいことを縛る厄介な存在だと見做しているからなんじゃないか?と思ったものです。

  もうひとつは、役所の側のものの言い方にもよるのかもしれません。
、、、と言うのは、、、、 私は弊社で製造する遺伝子組換え技術応用医薬品等の確認申請、と言うのを厚生省に出したことがあります。これはそれこそ弊社が何も知らない領域で、また先にお話した診断薬メーカーさんにもノウハウがない申請でして、一からたたき上げていった代物でした。何も持たないものですから、ろくな申請書が出来るわけはないのです。どうしたかと言うと、不出来でも何でも厚生省へ持っていって、読んでもらってヒヤリングを受けるんです。そうすると、相手は、、、、「ココのところ、こんな風に直しなさい。」と言わないんですね。そのかわりに「ココのところはこんな風に考えられるが、どうでしょう?」と言う感じで聞いてくる。これは、きっと直してくれ、、、っていっているんだと感じて、修正して次の回に持っていくと、満足そうな顔をしている。

  おそらく、彼らには民間企業に向かって命令する権限がないのではないでしょうか。だからもって回ったように言い方をする。ココを理解しないと役所と話する時に相手の真意が伝わってこないな、って言う感覚を受けました。製薬のプロの方々、、、、如何でしょうか?

3. エクソンと言う会社、、、、この会社で生きていくすべは、、、
  皆さんよくご存知とは思いますが、弊社廻りでは2000年を中心に大きな合併騒ぎがありました。 運良く,私はその騒ぎのさなかには、旧エッソ石油・旧ゼネラル石油・旧東燃の3社共同調達組織(JMSO)と呼ばれていましたが、、、に出向していて、それらの会社の人たちと「一足お先に合併」みたいな仕事をしていたので、なんということはなかったのですが、、、、会社は大変だったようです。 さて、一緒になって色々な企業風土の人たちと一緒に仕事をする機会に恵まれたわけです。そこで思ったのは、この会社(エクソンと言う会社)の人は2極分化している、、、、。

  ご想像のとおり、外資系と言うのは偉い人たちに、外国人の方が多くいるわけです。こういう中で、外国語の出来・不出来は別として、会社、そして偉いサンたちにどういう対処の仕方をするか、2通りに分かれます。

  ひとつは、彼ら(外国人の偉いサン達)に成果をアピールすることで、彼らに「アイツは出来るやつだ、」という印象を与えて、より高いポジションを得ていく人たち。(どんどん出世する人たち)この人たちの一群となるためには、まず、自己アピールがうまくなくてはならない。それに、かなり英語に堪能(TOIECなら800代後半から900以上?)でなくてはいけません。、、、その代わり往々にしてシゴトの本質を見極めていない(見極めるまで堪能である必要がない)、ということが良くあります。 もうひとつは、逆に仕事に精通する人たち、つまりホンモノのプロ、、、別にこういう人たちにとって英語は重要ではありません。なぜかと言えば、現場は、営業部門にしろ精製部門にしろ、日本人ばかりだからです。まあ、偉いサンが外国人ですから、少々は英語が話せたほうが良いが、TOIECが750もあれば全然問題ありません(因みに私は730で、チョット足らん)。この手の人たちは、せいぜい偉くなっても課長さんまでですが、会社はこの人たちをゼッタイに手放さない。なぜなら、アピール〜偉くなっていく人たちがシゴトを知らないからです。

  さて、このどちらでもない方々は、、、、まあ、仕事ばかりが人生ではないよ、、、。と言うことになりましょうか、、、、。

4. 〆の言葉??
  色々と書きたいことを書きまくっていたら、恐ろしく取りとめもないことになってしまいました。悪しからず。兼好法師が徒然草で、怪しゅうこそ物狂おしけれ、と書いた心境が分かる気がします。
以上                  

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