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2005C-1,3  小野和宏 1978年大学院修士課程修了  (工学修士)


  小野さんはこのホームページが発足した昨年の4月に、Greenwood,SC,USAから寄稿して下さり、その記事は、2004C-1,5に掲載してあります。その時、豊倉は小野さんを卒業生に紹介しましたので、それらと合わせて小野さんに今回寄稿していただいた記事をご覧いただきたいと思います。小野さんはアメリカの富士フィルムからオランダの富士フイルムに移転されて半年余経過し、元気に活躍されておりまして再度寄稿をお願いしたところ、気持ちよくお引き受け頂きました。前回の記事の時には私は小野さんは頭の回転が速く、鋭敏な感覚の持ち主であることを紹介しました。今回の記事では独特な語りかけで「 オリジナリテイについて 」の小野さんの経験や考えを書いてくれまして、学生時代の元気な小野さんの姿を思い出ながら、海外で活躍している様子を楽しく想像しています。また、この記事の内容は私にとっても参考になるところが多く、私が卒業生にこのホームページに書いて頂きたいと考えていたひな型の一つです。大勢の卒業生にこの記事を親しく読んでもらい、是非、同窓の卒業生に近況等を伝えるため、このホームページに気楽にご自身の経験や考え等を書いていただけたらと思います。
( 豊倉記  2005,1 )

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(小野 和宏) 

「 オリジナリテイについて 」

78年 修士修了の小野です。 今回2度目の登場になります。
前回はアナロジーの話をしましたが、今回はオリジナリティに関して、私の勝手な感想を述べたいと思います。大先輩の秋谷さんが既に触れられているので、今更という気もしますが?豊倉研究室にて学んだ、人生に役に立つとても大切なものの一つで、ダブっても許されるかなと思っています。

 この一年皆さんの投稿を見ていて、やはり多くの仲間が晶析でない仕事に携わっておられます。ごたぶんに漏れず、私自身も写真乳剤の調製と原料有機物の精製を除けば、会社生活の多くを塗布、流延、乾燥の技術開発や、製造現場のトラブルシュート等に費やしています。会社組織にいますと、仲間と協同で仕事をする機会も多くなります。このような生活において、オリジナリティを追い求める事はとても大切な事だと思います。私の理解するオリジナリティはひょっとすると変な理解かも知れませんが、でも良いじゃないですか。だって”オリジナル”でしょ? 

 では具体的にどんな事で役に立ったか?
 TACの流延の速度を上げる研究をしていたとき、まず特許と社内研究の調査をしました。そこで過去にやられた内容がわかります。私がやったのは過去の研究に書いてあった事と逆さまの操作でした。当時はTAC溶液をステンレスの板の上に流して、ゆっくりと温風で乾かしたのち剥離させる方法があたりまえでした。当然乾燥温度をあげれば早く乾きます。ところが温度が高すぎるとTAC溶液(沸点が40℃程度)が沸騰して剥離できなくなります。そこで私は温度を下げました。こうするとまるでプリンのように固まり、容易に剥離が出来ます。おかげさまで生産性を数倍に引き上げる事が出来ました。

 オリジナリティ   要するに人の研究成果をいただき、逆さまをやれば良いんだ!

 最近は自分で実験する時間があまり取れません。どうしても人の実験成果や研究にたよるようになります。当然色々と議論する機会があるのですが、その席上でいつも別な視点を追いかけながら、話を聞いています。もともと良くわからない事(自分の目で現地現物を見ていないケースもあるわけで)を議論しなければならない事もありますから、一生懸命聞きながらも、頓珍漢な質問や意見を述べる事になります。変な質問やSugestionをするので Out of box thinker と言われてしまいます。でもこれが結構効果的で、いい成果につながる事が多いように思います。こちらが変な事を言うと、大勢の良識ある人たちがより良い結果を導き出してくれます。こんな楽な事は有りません。

 オリジナリティ  要するに常にPositiveな頓珍漢であれば良いんだ!  バラエティ番組だって、ボケる人がいないとちっとも面白くないでしょ。

 最近はコンピュータの進歩で熱と物質移動の問題を簡単に解くことができます。学生時代、拡散方程式が嫌い(わからなかったから)であった私でも、20年程前に流動の方程式を解かなければならなかった事がありました。当時としては大変な作業でうんざりした事を覚えています。解ける形に持ち込むだけでも、何ヶ月もかかりました。先日オランダの大学院卒業生に、熱と物質移動を伴う、自由表面流れの計算をさせたのですが、数日で答えを持ってきてくれました。彼と現象の討論をしたのですが、次のステップをどう進めるかになると、とたんに互角以上に持ち込む事ができました。 


 オリジナリティ  要するに、50代以上の生き残りの知恵なんだ! 若い皆さん 早めに準備されることをお勧めします。

 こう書いては来ましたが、私の気楽なオリジナリティでも、相当の集中と持続が必要でした。 習い性にしないと、当たりの確率が低くて使い物になりません。何時まで経っても先生の域には到達しないのでしょうが、多少程度は低くてもそこそこ役に立つ事請け合いです。人によりパーソナリティが異なるように、人間は一人一人がオリジナルです。生きているうちに、何時の間にか自分の生活圏の常識にしばられた考え方が身についてしまいます。自分なりのオリジナリティを自信を持って追い求めていきたいものです。


 オリジナリティ  要するに、しがらみの中で童心を持ちつづける事なんだ!  Be Free !

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