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豊倉賢略歴
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2010 A-7,1: 豊倉 賢  「  tc-pmt; 2010A6-1,1を受けてこれからを考える 」

1)はじめに:
  昨年末から今年前半に掛け、城塚先生をよくご存知の先生方や早稲田大学化学工学研究室で先生のご指導を受けた研究室卒業生等と連絡を取って、「4月17日城塚正先生を偲ぶ会」を開催した。その様子はtc-pmt 2010A6-1,1に掲載したので、それを読んだ人は多いことと推察している。 偲ぶ会の席上、先輩の本田尚士先生からご提案あった 「城塚正先生の教導を偲ぶ事により感謝と哀悼の気持を現し、同時に御指導頂いた研究課題により早稲田大学化学工学研究発展の歴史を綴る事を目的とした 城塚正先生追悼録」の出版について、一部の卒業生は集まって具体化の相談を始めている。その相談が進むにつれて、連絡の付く卒業生には相談があると思うが、特にお考えや提案等がありましたら、現在検討を進めている卒業生にそれらのことを伝えますので、豊倉まで連絡下さい。

  豊倉研究室のホームページ ”tc-pmt” を始めたのは2004年4月、豊倉が早稲田大学を退職して5年を経過した頃のことで、豊倉研究室の卒業生と連絡を取りながら社会の発展に貢献する活動に役立てばと思った。この活動は今年の春で既に6年を経過し、このHPも定着して卒業生のそれに対する思いも何となく描けるようになった。昨年11月、城塚先生ご逝去の知らせを受けて、今年1月より先生を偲ぶ会を開催した4月までの4ヶ月間継続して城塚先生を偲ぶ特集記事を掲載した。その記事は、連絡等の関係で、先生のご指導を受けた一部の卒業生による執筆であったが、豊倉がその記事を読んで、先生からご指導いただいた時の事がいろいろ思い出され、これからもこれら記事を気楽に寄稿できるように続けなければと思った。また、この記事を読んだ卒業生も、学生時代に学んだことや卒業後、時に応じて城塚正先生から受けた御教訓に基づいて行った活動は、仕事を順調に進めるのに役立ち、化学産業の発展等に貢献したことなどを思い出したことと思っている。それを読んだ後輩は自分が学生時代に学んだことや卒業して現実の社会生活を始めた時に経験したことなどから、何かを身に付け、それをさらに発展させて現実の世の中を生き抜くために平素から心掛けておかねばならない先生のご指導やご示唆を考えてることと想像している。

  4月17日の城塚正先生を偲ぶ会には、日本各地から100名を越える卒業生が参加し、豊倉も限られた時間内に一部の人としか話をすることは出来なかった。その中には、35年前に一緒に過ごした研究室時代を語り、それを思い出しながら、これからの人生を期待と夢を持って送るためには、人間何歳になっても未知な新しいことへの挑戦意欲を持ち続けなければならないと意気投合し、それはtc-pmtで続けようと云って分かれた。しかし、大半の卒業生とは、すれ違いの挨拶しか出来ず、これからは今まで以上にtc-pmtを有効に利用することが必要であると感じた。

2)これからの tc-pmtで特に配慮して充実を図る記事 ;
  大学の研究室に配属されて研究した時代は、自分と同じ分野で活躍している研究者や技術者に認められるような活動し、その研究成果は、関連する分野で活躍している世界の研究者らと討議を重ねて永続的に発展させ、人類社会の発展に貢献する使命があると考える。この使命を果たすには、研究者は不断の努力を重ねて研究するのは当然であるが、時には気心を良く知り合った研究者・技術者らと協力して研究活動をすることも必要である。これらの研究活動は、現職の専門分野で活躍している第一線の研究者に期待するところは大きいが、時として、既に退職してても現職時代にオリジナルな研究成果を上げた経験豊富な研究者や技術者の意見に耳を傾け、またその人が行っている研究の進め方や研究成果と対比しながら研究を進めることも重要である。このように現職を離れ、公平な立場で議論できる人と討議する機会を持つことは、活動に対する視野を広げることができ、その研究成果の波及範囲を拡大する上で有効であり、若い研究者には忘れ難い経験となる。

  研究者や技術者は、研究が進むにつれて、経験したことのない新しい課題を研究するようになる。その研究が進むと。これまで考えられなかった方向に進み、これまで発表されてた成果と全く異なった結論に到達することがある。このような成果は、これまで研究されてきた成果を包含した、より適用範囲の広い有用な理論として高い評価を受けることもあるが、その独創性が高いと評価され難いこともある。しかし、そのような研究成果は、新しい理論体系の確立や抜本的に新しい技術の開発に極めて重要なことであり、この研究成果は、独創的な研究成果に関心のある先進的な研究者や技術者に伝わるようにすることは重要なことである。豊倉が晶析研究を始めて10数年経った頃には、日本国内にも積極的に新しい研究成果を評価して言葉を掛け、勇気を付けて下さった先生方に良くお目に掛かることがあった。これからの日本を考えた時、研究機関の枠を越えた若い研究者の研究活動を正しく評価することは重要であり、研究室のHPのように専門色の濃いtc-pmtは、そのような発信を効果的に出来ると思っている。また、豊倉が初めてヨーロッパの国際会議に参加した時、たまたま知り合った英国の先生に紹介されたオランダ・Delft大学の研究室では、まだ誰も研究してないと思っていた実験とよく似た装置を組み立てて研究してたことに驚いたことがあった。この時、世界は広く、世の中には自分と同じようなことを考える人はいるものだと思い、研究は常に謙虚な態度で熟慮して進めなければ思った。このような記事はこれからも掲載するようにしようと考えている。

  この半年間を振り返ると、6年前に始めたHP、tc-pmtは人生のホームストレッチに差し掛かった豊倉にとって、50年続けてきた研究生活の資料を纏めるライブラリーに思えるようになっている。このtc-pmtは毎月新しい記事を掲載するHPとして立ち上げ、創刊記事にこのHPの趣旨を書き、その線に沿って進めてきた。その後、卒業生の協力を得て続けている間に、少しずつ姿を変えながら進んでいる。大学の研究室は、世界人類社会の健全な発展に貢献する学問を構築するところであり、それは各専門学部・専門学科が担当する学問分野に特有な・自立した哲学によって進めるものである。特に豊倉研究室が進めてきた研究活動は、戦後、恩師石川・城塚先生が始められた日本化学産業の復興に貢献する学問としての化学工学分野の晶析工学の確立に貢献することであった。具体的に城塚先生からお話しのあった晶析工学研究は、晶析装置設計理論を提出し、それを使って工業晶析装置を設計して化学工場で稼働させ、結晶製品を生産出来るようにすることであった。幸い、研究室に配属した学生の協力を得て、大学院博士課程に在学中にオリジナルな晶析装置設計理論を提出した。その数年後、化学工学協会で編集され、1968年に出版された改訂第三版化学工学便覧の章晶析に初めて設けられた晶析装置設計の項は、早稲田大学化学工学研究室で提出した晶析装置設計理論に基づいて記述された。

  豊倉は1968年第三回改訂出版化学工学便覧に晶析装置設計を執筆して以降40年間、改訂第六版化学工学改訂便覧までの晶析装置設計を執筆した。その間研究された内容は逐次追加し、内容の充実を図ったが、改訂便覧に対する増ページ数の割り当ては厳しく、必ずしも使用する技術者に親切なものとはならないようであった。その対応として機会のある毎に化学工学系雑誌等に晶析装置設計に必要な補充説明記事の寄稿を心掛けた。その後、改訂第七版化学工学便覧の監修委員を引き受けた時、改訂六版に対する化学工学会会員利用者の評価アンケートが調査され、その回答資料が監修委員に配付された時、晶析装置設計について、妥当な数の回答が寄せられ、晶析技術に関する記述は妥当との集計であった時、ホットした。その後日本国内では晶析装置設計を研究している研究者は少なくなっているが、新製品の開発は相変わらず続いており、それに対応する化学工学便覧の内容改編は必要である。豊倉グループは、今後もそれに対応する道義的責務を果たすべく、tc-pmtを利用して企業技術者の便を図ることを考えている。

3)ホームストレッチのtc-pmtで具体的に考える記述について;
  大学の研究室は、研究室スタッフと一緒に研究活動を行う研究室所属の学生および卒業生とから成り立っている。この研究室に所属するメンバーは必要に応じて協力して研究成果を発展させると同時に、時代の流れに即応した社会の要請に対応取れるようメンバー同士が協力することが大切である。豊倉研究室では所属した卒業生の活躍によって多くの研究成果を提出しており、それらを継承し、発展させることは貴重なオリジナルな研究成果の創出に重要である。豊倉研究室に豊倉が在職した40年間に纏めた主なものは ;

3・1)「晶析工学の進歩」:
  1992年3月化学工学会から「化学工学学会賞」を受賞した時の記念出版・・総頁665・・・・1980年代末までの主要論文集・・・・

3・2)「二十一世紀への贈り物・・C-PMT」:
  1999年3月早稲田大学退職時の記念出版・・豊倉がご指導を受けた大学の先生方・企業技術者をはじめ、早稲田大学在職時に親しくしていたヨーロッパの研究者・技術者および。卒業生を含む共に活動してきたおよそ100名の晶析分野研究者・技術者からの寄稿文集・・・研究活動の支援を受けた人脈・・・

3・3)「晶析工学40年の進歩と分離技術会」− 確認・疑問・解明;
  Need & Seed ; C−PMT& IKW − “ to REACH the GOAL “ ;・・1999年、豊倉の早稲田大学選択定年退職後、分離技術会より、業績賞を受賞し、40年間の晶析工学研究活動概要等、表に整理して纏めた。

4)むすび;
  工学研究は、その研究成果を生産技術に適用してその成果が確認されてはじめて、評価されるものと考えている。そこでは、長期間の研究活動は重要であり、将来を委ねる人々の参考になれば思い、tc-pmt2010A8-1,1よりこれらの記事を連載する。

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