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豊倉賢略歴
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2009 A-5,2: 豊倉 賢  「 51年目の晶析研究 」

1) はじめに;
 2009年3月は、豊倉が晶析研究を始めて丸50年が経過し大きな 節目の時期で、研究室で一緒に晶析研究を行った卒業生を思い出すと、50年に亘って引き継がれた晶析研究活動についての特別な思い出が沢山脳裏に浮かんでくる。この一年は、9月にオランダのMaastrichtでEFCE- WPC主催のISICが、また、3月には化学工学会の年会が横浜国立大学で開催された。後者の年会では同時に開催された材料・界面部会・晶析技術委員会にも出席した。また3月中旬には、日本の晶析研究グループを積極的に応援下さったUCLのJ.W.Mullin 先生がお亡くなりになりました。そして、4月の新年度では、晶析技術分科会代表に大阪市立大学の大嶋先生が就任され、またEFCE-WPCのInternational ChairpersonにフランスToulouse大学CNRSのB.Biscans教授が就任した。12年前、井伊ノ谷先生のお声掛かりで日本粉体工業技術協会に設置された晶析分科会は、本年5月14日に、平成21年度第1回晶析分科会ーBASF社見学講演会を、ACHEMA2009期間中に開催される「国際粉体技術フォーラム2009」と連携して企画された。これら最近の世界晶析研究グルプーの活動と合わせて豊倉の51年目の晶析研究を考えてみようと思う。

2) Mullin先生の御逝去を悼み、謹んでご冥福申し上げます。
  Mullin 先生について研究室卒業生は皆よく知っていることと思うが、先生は豊倉研究室の研究活動ことは云うまでもなく、日本の晶析研究者・技術者の研究活動に高い関心をもっていただきました。1972年、初めてヨーロッパで開催された世界規模の晶析国際会議に参加した日本の晶析グループメンバーをヨーロッパの有力研究者、技術者に紹介する労を取っていただき、世界の晶析研究者・技術者の仲間に加わることが出来た。1980年、豊倉が早稲田大学在外研究員としてヨーロッパに派遣された時には、UCLの一部屋を豊倉の居室として用意いただき、日本とヨーロッパとの研究・技術交流に関する準備作業の便宜も図って下さいました。1981年にBudapestで開催されたISIC8thで豊倉研究室の内山さんが発表した研究報告に高い関心を示され、博士号取得後是非UCLに留学するようにと招聘下さったこともありました。また、1986年、東京で開催された第3回世界化学工学会議には、ご夫婦で参加いただき、同時に関西や四国の日本企業も訪問され、日本企業の海外進出のご支援も頂きました。このようなことを思い出すと、日本の晶析研究、技術の発展に対する先生のご支援は図り知れないものがありました。この機会に先生のご教訓を思い起こし、日本の晶析グループのメンバーや研究室卒業生と力を合わせて晶析研究、技術の発展に一層の精進をして、先生から受けたご厚情に報いられるようにしなければと気持ちを新たにしてます。

3) EFCE-WPCの国際議長の交代に際して;
  豊倉は、Prof.J.Ulrichが国際議長として主催した2回のISIC16th.17thに参加して、彼が日本に留学した経験を種々の活動に生かしていることを誇りに思いました。特に、彼は日本および中国・韓国などアジアの国々との交流も活発に行っていまして、日本の将来を担う人達の参考になることも多いと思いました。Ulrich の後任議長になったProf.B.Biscansは、1989年8月、原納先生の退官記念に開催した大阪市立大学の国際晶析会議にご主人同伴で参加され論文は発表された才媛で、1996年Toulouseで開催されたISIC13thでは、フランスのWPC代表を長年務めた前任者Prof.Laguerie急逝直後の1995年にフランスの代表を引き継いでこの国際会議を無事成功させた。その時は、何時もにこにこしていたフランス美人の何処にその活力があるのかと思った。昨年のISIC17では、初日のKeynote Lectureで、理解しやすい話を見事に済まして、彼女の立派な成長を感じました。豊倉は2日目の懇親会終了後Maastrichitを離れたので、彼女がUlrichの後任議長に就任したのを知ったのは日本に帰国してからでしたが、WPCの初代女性議長の就任に大きな期待を抱いいる。

4) むすび・・・・51年目の研究活動を考える;
  この一年、想像もしなかったことが急に起こったような気がする。しかし、後から伺うとMullin先生も最近は少し体調を崩されたこともあったようでした。山崎さんの晶析分科会もMyerson教授やUlrich教授らと協議してきた「これからの工業晶析についての当面の答え」としての新規企画に5月14日BASF開催の分科会が見える。また、WPCは女性議長就任を決めるなど、この40年を通して世界の晶析グループは着実に動いている。化学工学の晶析技術委員会は新代表を迎えて、時代を先取りする活動を開始するように伺っている。日本発の晶析研究の衣換えも期待している。未来は過去の延長ではないが、これまでの成果を踏まえて脱皮・発展を繰り返して新しく構築されるものである。これからの将来を担う人達の参考になるよう、「将来ビジョンを考えながら50年の経験を整理して、ホームページtc-pmtに資料を残すこと」を考えている。

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