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豊倉賢略歴
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2007 A-10,1: 豊倉 賢  「 C-PMTとtc-pmtについて 」

  C-PMTは1998年の秋だったと思うが、豊倉研究室の卒業生で構成していた豊倉退職記念事業の世話役が集まって、豊倉退職時の記念誌発行を企画・検討しているが、それについて豊倉の意向と記念誌のタイトルについて意見を求められたことがあった。その時、特別なことは考えていなかったので、余り卒業生に負担を掛けないように伝えた。一方、豊倉は、1962年に早稲田大学に奉職し、そこで提出して晶析理論とその工業装置・操作設計への適用に対する協力・支援を長年に亘って大勢の卒業生・国内外晶析分野の研究者や技術者より受けており、それに応えるためにこれらの方々と力を合わせて築き挙げた研究成果や晶析技術発展の経緯を纏めて、これから晶析分野の発展に活躍する人々の参考になるものを集約できたらと考えた。その時、豊倉が現職時代にオリジナルなアイデイアに基いて進めてきた研究活動を一言で表現出来る「C-PMT」を記念誌のタイトルにしてはと提案した。40年に亘って行われた早稲田大学の晶析研究とその成果を知っている人は、この言葉の意味を理解していたように思っていたが、豊倉が退職してから、他大学の先生や企業技術担当のトップの人々から、豊倉先生の提言された「C-PMT」を理解していない研究者や技術者がいると言われたことがあったので、そのことについて、ここで再び考え直してみる。

1) 「 C-PMT 」について:
  人は半世紀を越えて活動を続けると、その間の全ての活動を一貫して支えてきたその人特有の「考え方」は形成されるようである。それは、その人のすべての活動に対する指示・発信の起点になるもので、「哲学」あるいは「宗教」のようなものとして形成される。それを哲学と云うか、宗教と言うかはそれを信奉する人の活動の軸形成にどのように寄与しているか、また、長年月の間、大勢の人達や民族に受け入れられて毎日の生活の糧になって、そのグループのカラーの創生にどのように関与しているかによって異なる。この考え方は、人類の発展、人間社会の進歩発展に貢献するような活動を支える新しい思想を構築するものであり、また、既に確立されたように思われた思想の更なる発展に貢献するものであり、時としては哲学や宗教に置き換わるものであると考えられるが、その議論はここの記述の対象にしないことにする。

  人の活動で人間社会の発展に貢献するものは多種多様であり、その発展に貢献する考え方や哲学を特定分野の適用に限定することも出来る。そのように限定すると、その考え方を充分検討して内容を深めることは容易になる。そこで纏められた「考え方」がある特定分野の発展に貢献するようになると、それは対象に考えた特定分野の発展に寄与するだけでなく、それと余り関係のないように見える分野の発展にも広く貢献するようになる。人は間口の狭いものを対象にとことんその本質に届くように深いところまで研究して纏めた「自分の特有な考え方」を創生できると、それは、どのようなものにも適用出来るところがあり、オリジナルな提案や活動へと発展していく。しかし、そのようにして提案された活動は、時として人が生活するのに必要な糧を充分得ることは出来ないことがあり、長い一生の間にはその方向を何度か変える必要に迫られる人もいる。しかし、中には一生通して同じ分野で、自分の考え方を発展させながら活動を続けて、社会の発展に貢献する人もいるが、そのような人達も、実際には世の中の変動に関心を払いながら、その時々に応じて自分の活動について調整を行っている人が殆どである。

  豊倉研究室は、今日に至る半世紀の間晶析を軸に研究を行い、そこでオリジナルに提案した晶析理論を発展させた技術を駆使して、社会の要望に応える製品を生産し、社会の発展に貢献してきた。そこで対象にしたものは原則として固体結晶製品であったが、時としては単なる固体結晶のみでなく、結晶と云う範疇の特性を一部に持ったまま流体としても特性を持った製品の生産を考えてみたり、また非晶質物質の生産に対しても結晶特有の概念を適用してその整合性を考えながら独自な検討を行って来た。一方、特定物資の精製、生産分離や省エネルギー・環境対策技術から特殊材料の生産に対する分野の研究まで晶析に関係するものを対象にしているように検討して通常の方法では見出せない特性を検討するようになっている。晶析工学の重要性は、20世紀の初頭において化学工学の先駆的な指導者は認めていたが、多くの研究者・技術者からは生産技術の主流にはなれないマイナーな工学で、産業界の発展には余り貢献出来ない分野と考えられていた。しかし、20世紀後半の高度化学製品が重要視されるようになってくるにつれて、晶析分野に関心を持つ研究者や技術者な多くなってきた。最近では21世紀は間違いなく晶析技術の時代であり、その分野の発展に対する人間社会の期待は計り知れないものがある。20世紀末に、晶析工学の将来に対する期待が増大したことに対して、豊倉研究室の研究成果とそれを発展させて構築した生産技術開発の成果は貢献している。

  豊倉の退職記念として出版する書籍のタイトルは、20世紀に発展の著しかった、晶析工学(Crystallization・・“C”)と豊倉研究室で晶析工学を発展させた研究哲学(PMT・・・“P”Phenomena ->“M”Model ->“T”Theory ->“P”Process ->“M”Market ->“T”Technology ->“P”Production・・・Evaluation, Development,・・・ PMT・・・)を組み合わせたものである。ここで、Cは豊倉研究室の研究が晶析を対象にしたと言う意味で頭に付けた。PMTは豊倉研究室の研究哲学であり、その内容そのものについては誰しも思いつくことであり、その各ステップついても各方面で議論されている。しかし、豊倉研究室40年間の個々の研究は各ステップのであり、それを個々に纏めてその成果を出たところで、これまでに研究された多くの既往研究成果とも比較検討し、それらを総括して、次のステップ研究へと進めていった。その研究を40年前に始めた時にはこのような全容を思い浮かべることすら出来なかった。しかし、40年経つと何らかの形が見えてくるものだと感じている。

2) ホームページとtc-pmt
  豊倉が早稲田大学を退職した時、オリジナルな意見や考えを気兼ねなく自由に交換・討議できる環境を構築し、卒業生が個性ある活動をお互いに支え合って行えるように研究室のホームページを立ち上げました。その当時は、殆どの卒業生は現職の第一線で活躍しており、ホームページは “C-PMT”という名称にしようということで東京近郊の卒業生が集まって決めました。しかし、有力メンバーの中には海外での仕事が忙しかった人も多くいて、具体的な運営法を充分に詰めるところまでは進まなかった。そこで、暫くの間、豊倉が卒業生に言葉を掛けて兎に角活動を始めることにした。そこでは、卒業生を主体に行うホームページ“C-PMT”と区別して名称を tc-pmt として2004年3月に立ち上げました。

  tc-pmtのホームページは今年2月で丸3年を経過し、当初豊倉が考えていた試運転の期間を無事乗り越えることが出来ました。この間、寄稿頂いた多くの卒業生にお礼致します。その中に掲示された卒業生の近況や寄稿記事からは、卒業生が国内外で立派に活躍している様子が手に取るように分かり、時には学生時代に豊倉が講義や研究室で話した内容を思い出して日常の仕事と重ねて書いていたものもあり、それが世の中での活躍に役に立っていることなど読むと感無量でした。時には豊倉の教育・指導に対する通信簿を読むような気がして、自分の現職時代や学生時代を思い出して色々反省したり、また、さらに進めるには何をすべきかなど考えることもしばしばありました。また、研究室で学生や企業の技術者と研究した内容においては、報文などに書けなかった本当に貴重な事実などを将来の参考になるようにメモすることも出来て、このような活動の意義を感じることも出来ました。しかし、このようなホームページの世話も、その仕事に定年のない人が行うことはマンネリ化に注意しなければなりません。特に豊倉が自分の年を考えた時、当初目安にした丸3年を経過したのを機に卒業生中心に運営を切り替えようと考えていまして、今年の正月には日本化学工業の山崎さんらと相談を始めていました。そのことについては、今年1〜3月のホームページtc-pmtに豊倉は山崎さんらとたたき台的な意味の記事を寄稿しましたので、卒業生各位のお考えを伺えたらと思います。

3)tc-pmtと“C-PMT”とを併用したHPの運営
  今年3月以降、研究室のHPは本来の姿に移行する時期と考えて豊倉は心の準備をしていた。これまでのtc-pmtを“C-PMT”にすることは、研究室HPを本来の姿に正すことである。しかし、現段階では卒業生の中心は定職を持つ現職の人達であり、そのために移行にはある程度の期間が必要で、長年研究室OB会の世話をしていただいている、日本化学工業会長の棚橋さんの下で働いている山崎さんに、OBの意見を纏めて軌道に乗せて頂く世話をお願いしている。一方、豊倉が進めている tc-pmt HPについては、当分の間、現行の運営を継続し、“C-PMT”の進捗に応じてtc-pmt を縮小したらと考えている。それで、将来のtc-pmtの姿としては、晶析工学に関する記述においては、既往論文では、内容を充分記述し難いものもあるので、それにに対して、関連する既往文献の整理と併せて、その分野の理論や技術・実験や式の誘導手順、モデルの設定とそれらの一連の研究成果を適用した、理論・設計手法の使用法など、将来晶析理論や技術の発展・展開に役立たせ易いように纏めて記述する。その他の一般的な記事については、まだ“C-PMT”に直接掲載し難いものに対して、便法的に掲載するようにする。特に晶析理論・技術等について、豊倉がこれから記述する内容項目については1〜2ヶ月のうちにtc-pmtに整理して掲載することを考えている。卒業生の寄稿記事については、“C-PMT”が軌道に乗った段階で、原則として、この研究室ホームページに寄稿するようにする。しかし、それまでの暫定期間においては、これまで通りtc-pmtに掲載するようにする。

その他の寄稿についても当面はこれまで通りtc-pmtに寄稿頂くようにする。なお寄稿記事の執筆概要を参考までに以下に掲載する。

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「 tc-pmt(豊倉研究室HP)寄稿記事の執筆概要 」

  研究室ホームページ(tc-PMT)は、今年3月より研究室卒業生のみでなく、研究室の活動を知っている人達で、これまでのホームページに掲載されてる記事に関心を持つ人にも本HPに執筆を依頼することになりました。その主な掲載対象記事は、豊倉と学会や企業の晶析研究・技術に関する活動を一緒に行ってきたに方々がそれらを纏めたものです。今までに掲載された記事は、既にご覧いただいたことと思いますが、これまでに掲載された記事とバランスのとれた新しい記事が増えることを期待してます。しかし、これまで卒業生に執筆頂いた内容と比較して、場合によってはその枠を越えた内容でも、将来の技術開発、社会の発展に貢献すると期待されるものであれば結構です。また、これから執筆いただく記事の分類や番号は、従来とは多少変更して、新しい分類法:・・・分類A, 分類B, 分類C(分類C の内容は執筆者の近況を中心に書いたものが対象で、それはこれまでのものと同じですが、卒業生が書いたものでも研究とか技術に直接関連するものは分類B、その他社会、教育、経済、政治等分類B&Cには入らないものは分類Aにします。)・・・に従って分類します。また、従来の記事掲載月は、卒業生は偶数月に掲載するようにしてきましたが、これからは、執筆者による掲載月の決め方は止めることにして、原則として月中の15日までにメールの送信にて寄稿されたもので、通常の処理で翌月1日までに掲載できるように準備可能な記事を対象に記事番号(番号は「掲載年(分類)?(掲載月)、(掲載順)」とします。)を付けて寄稿を受理し、翌月の1日掲載とします。従いまして今年11月掲載の記事番号は次のように致します。

 2007、A,(or B, or C)? 11、1・2・・(掲載順)

なお、寄稿・執筆に対して不明なことがありましたら、豊倉に問い合わせ下さい。メールアドレスはtc-pmt@tech.email.ne.jpです。

4)むすび
  豊倉研究室のホームページはこれまでと多少変更しますが、これまで通りよろしくお願いします。

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