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豊倉賢略歴
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2007 A-1,2: 「 tc-pmt 4年目のスタートに当たって 」

1)はじめに
  4年前、一部の卒業生と「豊倉研究室卒業生が世の中の発展に貢献する個性ある活動を続ける環境構築のために研究室ホームページ(C-PMT)」を立ち上げる相談をした。その時はこのホームページについて、皆それぞれ思いがあってなかなか意見がまとまらなかったので、取りあえず討議されたことを参考にして、豊倉がHPをスタートすることにした。将来、卒業生がコンセンサスを得て立ち上げる研究室HPと多少区別して、名称は頭にtをつけて「tc-PMT」とした。当初はどうなることか全く分からなかったが、とにかく3年続けたら何か見えて来るであろうと気軽に思っていた。しかし、実際スタートしてみるとその運営は結構大変であったが、卒業生の積極的な協力があって無事何とか3年間の実績を積み上げることが出来た。この間に掲載された記事の整理・総括を、1981年に学部を卒業し、‘86年に大学院博士課程後期を修了して日本化学工業で活躍している山崎さんに依頼し、今年2月のHP(2007C-1,1山崎康夫)に掲載した。この数年間、豊倉も大勢の卒業生からHPについて直接意見を聞く機会を持つことが出来た。その結果と、山崎さんが纏めた記事から、HPの将来に期待して新たな提案を持っている卒業生が多いことも分かった。そこで、まずHPについて3年間に経験したことを記述してみる。。

2)3年間のHPを振り返って?・・早稲田大学での晶析研究に関連して:
  豊倉の現職時代に行った活動を振り返ってみると、大学院学生時代に学んだことが教育・研究活動のすべてのベースになっていた。その内容を一々書くことは出来ないが、今でも記憶にある重要なことを記述する。豊倉が、大学院入学した頃、国立大学を卒業して国立大学工学部に所属していた若手研究者から、「大学教育は、学問の本質を理解するために必要な理論の組み立て方、その基礎となる基礎理論とその展開法を理解させることであって、実際に産業界で問題になっていることへの応用はどちらかと云えば、二の次である。」と聞いたことがあった。それに対して、早稲田大学入学後に一部の先生から伺った早稲田大学応用化学科の教育は、どちらかといえば実学重視であって、それを理解するための基礎は充分教授していたが、大学で教える工学を産業界の生産技術にどのように繋げて行くかを丁寧に教育するように見えた。学部低学年で受けた講義の時間の中で、ある先生が「早稲田大学の卒業生は国立大学の卒業生と異なって就職して企業の工場現場に配属されても直ぐ仕事の内容をよく理解して役に立つと喜ばれている。」と話されていたことを覚えている。このどちらが大学教育として適切であるかは、受講する学生によって異なる。国立大学の若手研究者の話の中には、基礎を充分学習し、理解した国立大学の卒業生は企業に就職して何年か経つと他大学の卒業生に負けない技術者になっていると云う話もあって、大学ではどのような教育が適切であるかは、受講する学生の適性(能力と人生観)で判断することと思った。

  豊倉が大学院に在籍していた頃、城塚先生は学会活動を重視して活躍されており、専門学会(当時の化学工学協会等)で高い評価を受けておられたことを身近に拝見し、豊倉自身どのように研究を進めるべきかよく考えた。その頃豊倉は城塚先生から大学研究室での研究は、研究テーマの選択が重要であり、そこで決めたテーマに対して理に叶った方法で研究してオリジナリテイーのある成果をあげ、それを世に発表して評価を受けると同時に更に発展させて行くようご指導を受けた。その過程で先生は幅広いご意見を下さったが、豊倉はそのすべてを忠実に研究したわけでなく、豊倉の能力と立場を自分なりに考えてオリジナルな成果をあげられそうな課題を選んで、自分なりの方法で研究を進めた。その過程で豊倉が行ったことに、城塚先生から何時もご理解とご支援を頂いて発展させることが出来た。1968年米国からヨーロッパ経由で帰国したが、その後は欧米の研究者・技術者からも早稲田大学で行った晶析研究成果に対してそれなりの評価を受けるようになり、また日本国内の晶析関連研究者・技術者の協力も得られるようになった。さらに、広く化学工学分野で活躍されていた日本国内国立大学等で指導的立場におられた先生方からも目に懸けて頂き、早稲田大学の晶析研究成果は広く国内外の研究者・技術者の目に止まるようにお引き廻しいただいて、広く産業界の晶析技術の開発に適用されるようになった。これは、豊倉個人で出来たことでなく、一緒に早稲田大学で晶析研究した卒業生、学会・財団等で組織された研究会メンバー、プロジェクト研究での共同研究者、その他企業技術者等の理解と協力のお陰であった。この晶析研究成果やその晶析技術開発への適用について完成された理論や方法は学会誌やハンドブックなどの書物に掲載、引用されているが、それ以外にも研究途中で未発表のものもあった。このような未発表のものはそのままになっていて、豊倉は自分の記憶が確かな内に記事にしておこうと考え、これまで掲示した3年間のtc-PMTの分類A,Bにその一部を記事として掲載した。しかし、この3年間のtc-PMTの記事を振り返ってみると、まだ未発表のものは多く残っていて、また、ここでの記述の表現についてももっと工夫しなければならないことがあった。当初考えた3年間が経過した現在、初心に返って豊倉を全く知らないこれからの研究者・技術者が、初めて読んでも20世紀に早稲田大学理工学部で研究した晶析工学を容易に理解し、それを使って21世紀の新しい社会の構築に貢献出来るような記事に纏め上げねばと思っている。

3)3年間のHPを振り返って?・・卒業生の寄稿その他:
  豊倉の早稲田大学在職中に豊倉研究室がオリジナルに提出した研究成果は2)でも記述したように国内外で広く然るべき評価を受けた。このことは研究室として誇り得ることであり、研究室に在籍してその成果の提出に貢献した卒業生もそのことを自覚し、それを誇りに思って経験を生かして活躍し、これからの社会発展に貢献して欲しいと期待している。実際既に実績を上げている卒業生もいることであるが、大学・大学院時代を豊倉研究室に在籍してこのような経験をした卒業生は社会の発展に貢献する活躍が出来ると確信している。そのような活動をするには、同門研究室の卒業生が社会に出てからも研究室時代同様、自分の周囲にいた人達や何らかの形で係わりのあった人達とお互いに協力・協調して活動することが有効であり、そのためには大学を卒業して異なる職場・分野で活躍していてもそこでの活動状況を同門研究室の卒業生に伝えあうことは必要である。それに研究室のHPを利用することは容易であり、またそれへの寄稿・掲載効果は大いに期待出来る。このような考えの下にHP立ち上げ当初から隔月の偶数月に卒業生の記事を掲載すべく寄稿を依頼することにしてきた。しかし、そのスタート当初の実績のない段階では忙しい卒業生に無作為に執筆を依頼しても容易に記事を集めることは難しいと考え、まず、HPの立ち上げを議論した段階で賛同した卒業生にHPへの寄稿を依頼した。その後は、卒業後も比較的頻繁に豊倉と連絡を取っていた卒業生に対象を拡げた。しかし、豊倉の身近な人に安易に依頼を続けると掲載記事の執筆者が偏り、「卒業生のHP」と言う趣旨が薄れる恐れがあるので、なるべく広く連絡を取り執筆を依頼した。それでも、「tc-PMT」の現状は「2007C2-1、1」に山崎さんが総括しているように一部に執筆者分布の偏りが多少あったが、これからは自然に解消していくと思っている。実際、卒業生に執筆を依頼する場合、当然のことながら本務の仕事が忙しい卒業生もいて依頼した希望月に寄稿されたものは2/3くらいのこともあり、その殆どが寄稿されるのはその2ヶ月先の次回になることもあった。

  豊倉は「tc-PMT」について卒業生の感想や意見は直接聞いているが、記事を執筆した人はその寄稿によって自分の仕事の整理や考えを纏めるのに役だったとか、また最近の卒業生からは参考になる先輩の意見を伺えたり、仲間の近況が分かって良かったという声が多い。また、卒業生の中には研究室時代の思い出を記述しており、それが卒業してからの活動に関連していて参考になったことなども書いており、豊倉はそれを読むと現職時代の講義や研究室の討議中で学生と話していた内容を思い出すと同時に、学生が大学生活で如何に真剣に考えて勉強し、研究を行っていたかを知ることが出来た。その反面豊倉の講義や研究活動に対する学生の採点簿を読むような気にもなって、大いに刺激を受けている。多くの卒業生からこのHPは意義あるのでこれからも続けて欲しいと言う意見やこれからの運営について具体的で建設的な提案も書かれており、それを読むと豊倉は今でも現職時同様学生と一緒に活動しているような気になることがしばしばある。

  前にも記述したように、学校の先生は先人が考えて纏め上げた学問を生徒や学生に教えて理解させ、成人した段階で社会の道理や世の中の秩序を弁えて健全な社会生活を送れるように教育する責務がある。大学・大学院における教育は、通常過程の学校における教育に加えて、先人が全く取り組んだことのない学問の開拓とその完成を学生と共同して行い、学生に新しい理論の構築法とそこで提出された理論の体系化、さらに完成した新しい学問体系の構築およびそれをこれまでに纏められた学問と融和させることによって提出される新しい社会秩序の構築研究とその成果を期待している人達への解説と利用への指導などを行う高度な責務がある。豊倉研究室では一連の研究を通してオリジナルな晶析工学を構築し、それによって新しい結晶製品生産技術の提出とその製品を利用した新しい社会秩序の構築に貢献して来た。この段階に進むと豊倉研究室の活動は単に早稲田大学豊倉研究室の卒業生のみでカバーすることは出来なくなっている。ホームページ「tc-PMT」は当初豊倉研究室の卒業生を対象に始めたが、分類A,Bに記述されてる内容には豊倉研究室で研究されたオリジナルな晶析理論がどのような環境で構築されたものか、また今までに発表されていない研究成果も記述しており、その分野に関心のある研究者や技術者がこのHPを読んでいる話を豊倉は直接聞いている。また、海外の研究者・技術者からは英語版は未だかと云うことを尋ねられることがある。そのような話を聞く度毎に現在豊倉研究室の卒業生に限定している寄稿者の枠を晶析に関心のある人にまで拡げる必要があるような段階になっていると思っている。

4)「tc-PMT」これからの展開について:
  研究室ホームページのこれからのことについて、先日山崎さんに依頼した記事“「tc-PMT」2007Cー1,1”の中にも掲載されているので、卒業生の皆さんもご覧になったことと思うが、研究室HPのこれまでの経緯は山崎さんに纏めて頂いた通りです。一方豊倉もそれなりに考えてることがあるので以下に記述する。

  豊倉は退職して10年近くなり、豊倉が独自に研究した理論や技術に対する豊倉の関与は現職時と随分異なって来ている。豊倉の研究で提出した工業化への手法は、現在も現職の人達によって利用されているが、それに関連した相談等は相変わらず受けており、意見も求められている。しかし、それに対してアドバイスや提案はしても、それがどうなるか豊倉がフォローして舵を取ることはほとんどしてないし、またすべきでないと思っている。しかし、理論や技術はオリジナルに提案した者でないと分からないことがあり、そのような事柄に関連したものについて提案者は、これからの人たちの参考になる意見を記録にしておくべき責務がある。それらを踏まえて本ホ?ムページのこれからの展開について記述する。

     人は社会の中で生きるものであり、高度に創作された種々の建造物や生活用品等に囲まれたすばらしい生活環境で活動している大勢の教養ある人達と共に生活している。その周囲の人達はそれぞれ特別な才能を持っており、各自独自な判断に基づいて行動している。人はその人々の中で他の人と異なる個性ある生活をしているが、その各人がそれぞれ自分で満足できるものを持ちたいと思っている。人が社会の中でこのような生活をすることは、他人に対しても自分と同じように、その人が自分に対して満足出来るものを持ちたいと云うことを認めなければならず、その人の意見も尊重しなければならないことになる。性格、能力、年齢等すべて異なる人々が皆満足する環境を作りそこで生活出来るようにするには、これまで人々が生活しながら作り上げてきた社会の中に定着している秩序を守ることが必要である。しかし、人間社会は流動的で、常に同じところに留まることは出来ないので、社会の混乱が起こらないように徐々に変える必要がある。しかし、その変える方向や速さをどのようにすべきかなど分かる人はいない。それにも拘わらず、それに対する対応を適切に考えて対処してないと人は想像出来ないような災害に遭遇し、大勢の人は計り知れない不幸に直面をすることがある。そのために、何を行うべきか真剣に考えて蓄えを準備する人もいるが、また全く異なる観点から違った人生観を構築し、別の思想体系を創造して自分自身が安住出来る世界を心の中に作ろうとする人もいる。何れにしても、人は自分の人生としてのゴールに到達する前にどのようなことに遭遇しようとも、心が乱れないような人間になりたいと思っている人もいる。兎に角、人は皆難しいことを抱えているもので、その難題に対して自分自身が満足出来るゴールに到達するように向かって確かな努力をする時が安らかな気持ちになるのでないか?

  ここでは対象を広げて最近考えてることの一つを抽象的に記述したが、その対象を、例えば化学工学系技術者と考えれば焦点を可成り絞ることが出来、多くの仲間と議論できるようになる。また、ゴールを可成り身近なところに描くこともできる。それを具体的に設定すれば、議論に参加する卒業生も多くなる。最近は、海外への技術移転に係わって海外で活躍している卒業生が多くなり、そこで経験したことについての記事もこの3年間の「tc-PMT」に数件掲載している。先日もある卒業生から、卒業生同士の討論記事が殆どないという意見も聞いていて、これからはそのような記事を掲載して、卒業生同士の意見の交換や討議が活発に出来たらと思っている。それを討議する対象の場を国内での活躍に絞ることなく、「 Universal Standard 」を意識して広い見地から進めたら意義あるものになると考えている。3年間の記事を思い出すと、現在複数の話題が取り上げれる可能性があり、今年度内に新しい企画がスタート出来たらと期待している。また、ホームページに掲載する記事の対象者を早稲田大学豊倉研究室の卒業生に限定することなく、晶析研究等を通して研究室の卒業生と親しくなっている人達も仲間に入ったらと考えている。卒業生各位の提案をお待ちします。

5)むすび
  このHPは、山崎さんの記事にあるようにこれからの「C−PMT」へ向かって形を徐々に変えながら進んで行くことを予想している。その過程では、このHPに対する卒業生の思いを充分反映させた「討議の場」になり、将来の人間社会の発展に貢献するビジョンの提出と活動の基点になることを期待している。具体的には、HPに掲載される対象記事も徐々に広がって行くであろうが、寄稿記事募集その他の作業手順は、これまでの方式をしばらくはそのまま踏襲しますので、卒業生の近況、建設的な提案等につぃての寄稿をお待ちしてます。以下に、今年4月の「tc-PMT」に掲載する記事の寄稿依頼を貼り付けます。

 以上   

07年4月掲載研究室ホームページ(tc-pmt )への寄稿依頼


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