これがおれの生き様だ!

■ 一日目

  朝飯 なし
  昼飯 なし
  晩飯 おから(無料) ご飯1合(30円) サラダ油10ml(1円)

  計 \31


おれの生活は基本的に朝飯、昼飯抜きである。
いや、「節約生活」を始めた当初は朝昼ともしっかりと取っており、食事は20円の袋ラーメンがメインだった。ところが次第に20円という大金の重みがじわじわと肩に圧し掛かり始めたので慌てて食パン中心の食生活に切り替えることとなる。
この時、頼りにしたのは6枚入り100円の食パンだった。当然、ジャムやマーガリンなどの贅沢品を塗ることは許されない。袋から生のままの食パンを取り出しそれをじっとりと眺めては「どうか夜までお腹がもってください」との願いをこめつつ、陰気な面をしてもそもそと食うのだ。
ただし、これには問題が生じた。食パンが100円で売りだされるスーパーの特売日は週に一回。つまり6枚の食パンで7日間を過ごさねばならない。おれは頭を抱えた。6÷7の答えはどうしたって1にはならない。現代の数学・物理学界がガリレオ・ガリレイ級の大発見をしない限りは解決できそうもない難問である。文部省は優秀な数学者の育成にもっと力を入れるべきだ。おかげでおれは足りない一日分は絶食せねばならないハメになった。

かくして一日二食制は三年ほど続いたものの、やがて朝・昼飯ごときに週100円もの大金を出費することに疑問を持ち始めたのもごくごく自然な流れであった。なにせ100円といえば100回もタクシーに乗ることが出来る大金である、大正時代ならば。よし、それならば決めちゃったもんね。朝昼、完全に抜こう。

以上のような紆余曲折の道を経ながらも一週間に一度しか行っていなかった朝飯昼飯ヌキ日は、一週間に七度の敢行を前程とするようになった。これは歴史的な革新であった。


ちなみに晩飯に食している米は10キロで1980円。世間が新米偽装問題でいくら騒ごうとも、この米には新米という概念そのものがありえない。安心である。
ところで、本日の晩飯に「サラダ油」が記載されているのをみて首をかしげる諸兄諸姉も多数いるものだと思われる。しかしながらサラダ油というものは立派な食材になりうるものなのだ。

 【 サラダ油活用術! 】

サラダ油は安価な上に大変に便利な食材です。そのまま飲んでもよし、ご飯にかけて食ってもよし。ラーメンに垂らすのもお勧め。その脂っこさのおかげでやや気分が悪くなると同時に、胸焼けに似た症状を起こすことが出来ます。
こうなったらしめたもので、この状態を擬似満腹感ととらえましょう。そもそも節約生活における最大の敵は「飢え」であります。飢えは本当に苦しい。思考は空っぽの胃に奪われ、気力体力瞬く間に消沈し、ただひたすらに耐え忍ぶしかありません。サラダ油の利点は腹持ちがいい(気分の悪い状態が長く続く)ことで、食事の締めくくりとしてのデザート代わりにも最適です。当然、良質な油を使うとその効果が半減してしまいますので、出来るだけ安くて出所不明の怪しい油を選びましょう。またカロリー不足を解決するためにもハーフカロリー製品は避けたほうがいいです。
コレステロール値を気にしてみみっちい節約生活をするようなお尻の穴が小さい方は一昨日いらしてください。

お勧め度 ★★★★☆



■ 二日め

  朝飯 なし
  昼飯 にんにくチャーハン0.5合(18円)
  晩飯 おから 白身フライ(19円) キャベツ(7円) ご飯0.5合(15円)

  計 \59
 総計 \90


空腹に耐えきれずにんにくチャーハンを作ってしまった。背徳感と背中合わせのご馳走は美味い。味付けは塩としょうゆのみ。先日、一念発起してしょう油を手に入れた甲斐があった。ちょっと前まではしょう油すらなかったのだ。しかしコショーは未だに買うことが出来ずにいる。ついでにいうとわさび、からしも欲しい。

昼飯を食べたせいで、晩飯のご飯の量を半分に減らさざるを得なかった。おかずの白身フライは店内改装セールに乗じて10尾198円で購入したものだ。冷凍させているのでしばらくは貴重な食材となってくれるだろう。キャベツは店内見切り品として50円で手に入れた。食った分の価格が分からないが、大抵は一週間かけて食っているので(50÷7=7円)というところか。

 【 お米はローテーションで炊こう! 】

二日に一度の割合で米を炊く一人暮らし生活を前程といたしますと、例えば二合日と三合日を設け、これをローテーション制で回していくのがお勧めです。つまるところ二合を耐え忍び、三合に夢抱く。二合の日はさびしい限りですが、次回は三合の日だと思うと血わき肉おどり耐えがたきものも耐えられる次第です。これを一ヶ月続ければ米7合分の節約に繋がるでしょう。
さて、このローテーションに慣れたら更なるステップアップです。思い切ってご飯を食べない日を設けましょう。「二合日+三合日」から「米なし日+二合日(※米なし日は一日のみ)」とするのです。これだと月に25合分の米が節約できます。かなりの勇気と高等技術が必要とされますが、一ヶ月もすればこのローテーションにも体がなじんできます。慣れというものは怖いですね。
ちなみに米10キロからは約67合の米が炊けます。「米なし日+二合日」はつまるところ三日で二合の米を食すことになりますから、米が10キロあればおよそ100日もつことになりますね。
そんな悲惨な食生活には耐えられないとおっしゃられる上流階級層の方は、マンホールで生活しているモンゴルの浮浪少年たちやインドのスラム街でゴミのように転がっている人々を眺めて優越感にたっぷり浸った後、すみやかに三途の川渡りラフティングツアーへとご出発ください。

お勧め度 ★★★☆☆



■ 三日め

  朝飯 なし
  昼飯 なし
  晩飯 おから ラーメン(20円)

  計 \ 20
 総計 \110


さて、米ぬき日である。今日は米が食えないので辛い、と考えてはいけない。明日は米が食えるのだと思うと大変に嬉しい限りである。
それにしてもいざ記録を取りはじめてみるといささか見栄をはってしまう。もっともここでいう見栄とは「貧乏」見栄張りのことをさす。例えば本日の昼間においてはスパゲッチなんぞ食ってしゃれ込んじゃろう、というつもりではあったが、ふとこのサイトの存在が頭をよぎってしまいついつい耐え抜いてしまった。いつものおれなら「たまの贅沢も許されるだろう」と食ってしまうところだ。もっと素直になるべく自省させていただく。このサイトは我慢日記でもチャレンジ生活でもなく、ただの日常生活サイトである。自然体を心がけよう。

ところでインスタントラーメンの双璧であるカップメンはしばしば貧乏生活の象徴とされ、そのせいか「いやぁ、若い頃は大変に苦労して毎日カップメンを食ってましたよ」などとナルスシト気味にほざく阿呆がたくさんいる。なに言っていやがる。クソめ。
インスタントラーメンはブルジョワジーでセレブな食べ物である。ましてやカップメンにいたっては袋ラーメンの数倍に匹敵する価格。おれは日清のカップヌードルを好物とするのだけれども、あれは半年に一度フンパツして食うか食わないかの高級品である。カップメンを毎日食うなどとはこの上ない贅沢であり、至福の時を噛み締めつつ食すべき食い物だ。この場を借りて勘違い人間たちを糾弾したい。彼らはこういうべきである。
「いやぁ、若い頃は贅沢三昧の日々で毎日カップメンを食っとりました」

【 袋ラーメンは頼もしい! 】

数多くある袋ラーメンの中でも一番のお勧めはチキンラーメンです。特売品にはなりにくい商品ですが、購入先によっては5個入りパックを100円で購入することが可能です。
チキンラーメンを推薦する理由としては、その用途性の広さにあります。麺自体に味がしみ込んでいるチキンラーメンは、そのまま召し上がればスナック菓子に。砕いて使えばフリカケにもなります。
また、この場合、味が濃いために大量の水を飲む必要に迫られます。ここがポイント! 経験上、チキンラーメンをそのまま食した場合と通常通りお湯で調理した場合では、前者の方が結果的に取る水分量が多くなるのです。これによって水っ腹になることで満腹感が増します。
ところで、これはラーメン全般に言えることですが、スープは必ず残さずに飲み干すこと。スープを飲む飲まないでは後々襲ってる空腹感へ多大なる影響を及ぼします。母なる海を汚さぬためにもスープは下水道になんぞ飲ませずに添加物もろともごっそりと自分の胃の中に処分してしまいましょう。エコロジー万歳ですね。

お勧め度 ★★☆☆☆