■ もう一度ごあいさつ

インドのスラム街にて
貯金は既に尽きた。米袋を買えるのはあと一度きりだろう。方々から金を借りた。もはや借金まみれである。そこでオカラを大量に入手してきた。某スーパーではポリバケツに入ったオカラをタダで失敬できるのだ。
さてこのオカラをどう有効活用すべきか、とネットで調べていたところ、とある倹約生活サイトに辿り着く。で、そのサイトのタイトル名が「一ヶ月一万円の倹約料理生活!」(※)。
何はさておきとりあえず腹が立ちましたね。オカラ料理関係を取り扱っているサイトを探すと、やはりというかかなりの高確率で「倹約」だとか「節約」だとかの題名がついたホームページに行き着いてしまう。
ところがその実フタを開けてみりゃ、奢侈を贅沢で塗りつぶしたかのような節約生活でしかなく、一ヶ月千円超の食費でやりくりしているおれにとってはちょっとそれはふざけんじゃねえぞ、という気持ちになる。
「レジ周り品を購入することを我慢するのが、節約生活の第一歩です」だと、ばかやろめ。この程度で「節約」や「倹約」を気取るんじゃねえよ、と。それは単なる「吝嗇」というのだ。
先日テレビを見ていてなんとも複雑な気分になった。番組の内容は「発展途上国」の惨状を取り上げ、それについてタレントが意見を述べ合うといった趣旨のもの。某国スラムのVTRを流した後には、司会進行役の女性がうっとりとした表情を浮かべて言った。
「世界の五人に一人は一日一ドル以下しか使えない生活をしているのです」
それを聞いた出演者の女優のひとりが涙を流して叫ぶ。
ああ、なんてこと。可愛そう!
おいおい、ちょっと待てよ。一日一ドルも使えるなんて最高じゃないか。おれは二日で一ドルを使えるか使えないかだぞ。おれの生活は涙を流して憐れまれる程のものなのか。
「わたしたちにとって出来ることって…。ええ、じっくり考えてみます」
嘘付け。収録終わった後はさあやれやれとブランド服を身にまとって高級レストランに出向きグラム云百円以上はする肉を貪り食いつつ赤ワインで喉を潤し然る後にはクソして寝て終わりだろう。
そもそもこういった趣旨の「哀れで可愛そうな」国の人々を滑稽な良識をもって上から見下ろし、主観的一方的な立場で見世物のように扱う番組はヘドが出るほどむかつくのであるが、それはまた別の話としよう。
と、そんなわけでおれが感じたうらみつらみひがみそねみねたみを吐き出す場所がどうしても欲しくなった。これが当サイト設立の発端である。
おれはただの吝嗇ではない。超ド吝嗇であり、超ド貧乏である。
甘っちょろい節約生活を誇らしげに自慢し、その上アフィリエイト広告でせこせこ小銭を稼ぐ節約サイトオーナーよ。とくと見やがれ!!
(※)実在のサイト名をちょっといじったものです。