HOME > オペラ・クラシックコンサート便り > tezuka > 3月2日シカゴ交響楽団定期演奏会【1】

印刷用表示 |テキストサイズ 小 |中 |大 |


3月2日シカゴ交響楽団定期演奏会【1】

手塚 代表取締役名誉相談役

2000.3.4


HOME > オペラ・クラシックコンサート便り > tezuka > 3月2日シカゴ交響楽団定期演奏会【1】

仕事とサイトの管理に追われる親愛なる岡本大兄へ:

 3月2日木曜日、シカゴの領事館に更新パスポートを取りに行くついでに、同日夜のシカゴ交響楽団の定期演奏会に行ってきました。(羨ましがらせるわけではないですが・・というのはウソ。これを見て貴兄が羨まないはずはない・・・。)

 同夜のプログラムはモーツァルトのピアノ協奏曲25番とマーラーの大作、交響曲第五番。指揮は目下シカゴの首席指揮者のダニアエウ・バレンボイムで、モーツァルトのピアノも彼が指揮と一人二役で弾くというもの。
 まずは軽くモーツァルトから始まったコンサートですが、曲が終わると同時にスタンディングオベーションが出るくらい、シカゴの観客は熱狂してバレンボイムに賞賛を送っていました。でも小生には若干平板で訴えるものに欠ける演奏に思えました。そもそも、指揮をしながらピアノを弾くということのために、反射板を完全に取り除いたピアノを、指揮者が客席に背中を向けて弾けるように、鍵盤を客席に向けて配置しているというのに無理があったように思います。
 ピアノという楽器はヨーロッパの宮廷や館の室内で弾いてちょうど良いくらいにデザインされており、2千人近い聴衆が入る巨大なコンサートホールで弾くようには設計されていないわけです。それでもスタインウェイのフルコンサートグランドなどは、極限的にサイズを大きくし、反響板をつけたり弦を重ねて張るなどして、極力大音響をだせるように工夫されているわけです。それを反響板をはずしてステージの天井に向かって音を発散させているわけですから、これでは巨大なシカゴシンフォニーホールの客席に十分響く訳が無い。
 確かにバレンボイムも右手でピアノを引きながら左手で指揮をするなど、曲芸のような真似をしてパフォーマンスしていましたが、これくらい優秀なオケなら、指揮者が拍子なんて振らなくてもモーツァルトは弾けるわけですね。弦のプルト数をかなり減らして室内楽のようにしていたからなおさらです。叙情楽章の真ん中で突然木管楽器が転調して信号音を発するところなんかはちょっと聞かせていましたが、終楽章のリズムなどもちょっと重く、ピアノの音が天井に抜けてぼけていることもあって、あのモーツァルト特有の天衣無縫な闊達な音楽にはなっていなかったのが惜しまれます。

 さて、前座はこのくらいにして、いよいよマーラーの5番。これは言わずと知れた(という表現が結構オタクですが)シカゴ交響楽団の十八番です。世界最高のブラスを持つと言われるこの楽団の実力がもっとも発揮される交響曲の一つなのは間違い無いでしょう。小生は残念ながら実演では聴いていませんが、ゲオルグ・ショルティがシカゴの常任指揮者だった時、東京文化会館でこの曲を指揮して、会場中が地響きを立てて揺るぐほどの大音響で客席を圧倒したという話は有名です。
 さて昨晩の演奏ですが、結論から言うと、すばらしく感動する演奏で満足しました。客席も大音響で最後の音が鳴るのと同時に総立ちでブラボーの合唱。強烈にエキサイティングしていました。確かに凄い迫力で、興奮させられました。
 それにバレンボイムですが、最近ワーグナーを振る機会が多いのと関係があるかどうかしりませんが、大変ダイナミックでロマンチックな指揮でした。何しろ(彼の指揮すがたを見るのは初めてでしたが)、小澤とバーンスタインと小林研一郎の指揮を足して3で割って、お腹を2倍に膨らませたっていう感じで、とにかく新体操のようによく動く。汗をふきふき棒を振り、弦の前の方の人には汗の雨が降り注ぐっていう感じでした。

 解釈も第一楽章の葬送行進曲から、かなり粘るテンポで緩急の変化を付けて、まあフルトヴェングラーかメンゲルベルグかっていう濃厚な表情の演奏でした(もっともフルトヴェングラーにはマーラーはほとんどなかったでしたね。「さすらう若人の歌」くらいでしたっけ?)。冒頭の弦の主題が静かに入ってくるところで、思いっきり溜めが入って物々しさを醸し出していましたし、有名な4楽章の弦楽アダージョでは変幻自在にテンポをゆらしていて、ピアノのところでは非常にテンポを落として静謐な雰囲気、盛り上がってくるとどんどんテンポを上げて一気に頂点に持っていくといった演奏でした。まるでトリスタンの前奏曲の様な感じで・・。
 面白かったのは2楽章のホルンのソロが続いたあと、静かな中から弦楽がピッチカートで(オーストリアの田舎のレントラー風?)ワルツを奏でるところで、ビオラと第二ヴァイオリンにウィーンフィルばりの跳躍リズム(「ブン・チャッ・チャッ」のチャッ・チャッの部分をちょっとつんのめって弾く)を求めていたところです。でもアメリカのオケではなかなかこれが合わないんだな。趣旨は非常に良く分かったのだけど。
 あと、最後の盛り上げはすごかったです。終楽章のコーダで2楽章の終わりにもでてきたトランペットの輝かしいファンファーレが最強奏でもどってくるあたりの、テンポのたたみ込み方といい、シカゴの世界一の金管のパワーを全開にしてぶつけてくるところといい、凄いものがありました。ただこの曲、最後の終わり方が急にプレストにテンポを上げて、チャカチャカって軽くなって、あっというまに終わるっていう感じで、ちょっとオーケストレーションに無理があるわけです。その点、最後の小節の音響が薄くなってしまう第一交響曲「巨人」の終わり方と同じで、なぜかマーラーの特徴でもあるようです。(彼は根っからの悲観主義者でしたから、もしかしたらこうした完全な歓喜や勝利の音楽は無意識的に回避していたのかもしれませんね。あの前代未聞の大編成の8番「千人の交響曲」ですら、合唱が終わってからあとの最後の部分はなぜか薄くなってしまうのですからね。)
 バレンボイムは、その点昨晩、大太鼓やティンパニなどの「鳴り物」を最大音で総動員してパンチを効かせる事で、5番の最後の音が軽くなるのを避けていました。(まあ、ベートーヴェンの第九の終わりと同じ処理ですな。)


前次


愛媛4区 桜内文城サイト運営者は桜内ふみき氏をサポートしています



人間力★ラボ


「人間力」エピソード


芦川淳氏   自衛隊vs.人民解放軍 我らもし闘わば
芦川淳氏   原子力空母ジョージ・ワシントンに乗ってきた!
芦川淳氏  沖縄の基地問題など、国防を考える3
田代秀敏氏 「混沌の大国」中国と中国人を知る

神保哲生氏  今更なんですが、「ジャーナリズムとは一体何なのか」
三神万里子氏 メディアの「情報信頼性評価基準」を考える

山田恭路氏 自然派ワインに首ったけ
川村武彦氏+山田恭路氏 「天才の国」イタリア自然派ワインの真実


野中郁次郎氏 ナレッジ・ワーカー育成講座
本間正人氏  コーチングは日本の「やる気」を呼び起こすか
三ツ谷 誠氏  市場、個人およびカイシャの一般法則
織田聡 氏   カイシャ文化の現在を問う

「国ナビ」で作った予算対案を衆院本会議に提出/桜内文城 氏
竹中平蔵氏  なぜいつまでたっても「改革」できないのか
中林美恵子氏 アメリカ議会に見る「機能する立法府」のあり方
瀬口清之氏  パブリックマインドとは何か

小西達也氏 「チャプレン」という仕事
ヴェルディ&ワーグナー生誕200年 記念座談会
爆笑座談  オペラ愛好家とはいかなる人種か?
METを観たら、METを読もう!
2013年夏のヴェローナ音楽祭/武田雅人
2010年夏のヴェローナ音楽祭/武田雅人
2007年夏のヴェローナとマチェラータ音楽祭/武田雅人
偏愛的オペラ談義


ネット起業! あのバカにやらせてみよう
ベネチア貿易船復元計画
江戸城再建計画
『日本の借金』時計への勝手リンク
12-13イタリア旅行
11ヨーロッパ紀行
04ヨーロッパ紀行
02ヨーロッパ紀行
フィリピン有情
佃点描
ぼくはこんな記事をつくってきた
余は如何にして編集者となりし乎
雑誌づくり講座


4秒でわかる Pin Point ワールドカップ2014
4秒でわかる Pin Point ワールドカップ2010
日本のサービス、ここが間違ってる
爆笑! 四酔人サイト問答
女子大生版「日本のカイシャ、いかがなものか」
丸山真男と日本の外骨格
藤原正彦先生論文「国家の堕落」を読む
金融工学は製造物責任の夢を見るか?
酒飲みの「旅行話」
台灣好好 日本よりも日本らしく
さる名門女子大における恋愛論講義

人間力営業
「人間力」101本勝負メールマガジン
「人間力」とは、大人になることと見つけたり


最後に勝つのは「新日本人」だ
「新日本人/旧日本人」モデル
「新日本人」論 対話篇
「カイシャ主義」に挑戦! “オープンソース型ビジネスマン”の生きる道


誰が神を殺すのか
構造改革とは意識改革である
現代都鄙問答
一億総中流の倫理崩壊
完成! 「新日本人ルネサンス論」
日本人の田舎者意識の精神史的地位

顎関節症 鈴鹿市の歯医者さん歯科 口腔ケア鈴鹿市と四日市のパート/アルバイト求人/ホワイト介護 認知症予防
東京都の矯正歯科/高輪矯正歯科 個性正常咬合 名古屋 税理士経費 会社設立/社会保険労務士 予防歯科千葉/ひかり すてきな口元 院内 デリバティブ ターン債/ 仕組債・仕組預金 災害支援シェルターナス法による漏斗胸手術は
名古屋市で大学生のアルバイト/ポスター展示バイト求人情報 医院HP全国対応 作成例
国立市内科クリニック 動脈硬化鶴見区の整形外科 骨折浜松市 痔瘻の内痔核硬化療法の日帰り手術は青森 耳鼻科/逆流性食道炎大阪市 肛門科/注射だけ 山本クリニック仙川駅 腰痛静岡 肛門科/ALTA療法 静清バイパス マイクリニックアルタ療法 静岡 あらゆる痔に対応
江戸川区 葛西 整体オステ 直接法幸区の耳鼻科 嚥下障害診療なら千葉市 心療内科 メンクリ
豊田市にある内科/菅沼医院 リウマチ 認知症青葉区 小児科/乳幼児健診町田のたむら整体院 自律神経失調症
Better habits 社員研修 コーチング受診|漏斗胸手術の準備戸塚区の内科・内分泌内科光干渉断層計 笹塚の眼科相模原市南区 内科 経鼻内視鏡精神科・心療内科 さいたま市大宮区 うつ病しみやお顔のたるみ 大阪 神戸外注ウェブデザイナー求人募集。名古屋・愛知県のパンフレット電子カルテ「新規開業成功」セミナー 名古屋
霧島市 はやと形成外科 にきび跡を治す愛西市の歯科ホワイトニング