千林マンション管理士事務所

FAQ


 管理組合を運営していく中で色々な問題に直面します。そのような時に、少しでも解決の糸口になれば幸と考えています。

管理組合運営

Q  なぜ役員にならないと いけないの?
A  マンションを購入した区分所有者は、強制的に全員で建物、敷地、共用部分等を管理する管理組合の一員となります。
その組合を実際に運営する人が必要です。この人達を組合員の中から選出(理事)します。その人達で理事会を開催し、色々な事を協議し決めていきます。通常は管理規約の中に役員に関する定めがありますので、一度ご確認して見て下さい。
 役員の数は組合員10数名当たり1名の割合が目安です。マンション標準管理規約では、理事長、副理事長、会計担当者は理事の互選により選任すると定められています。監事1〜2名は総会で承認を得る必要があります。役員になったら、嫌がらず、積極的に管理組合の活動運営に協力して見たらどうでしょうか。
 私が相談にのった管理組合の役員さんの中には、本業と同様に熱心にやられている方も多くいます。嫌な事ばかりではなく、自分達のマンションを住み心地のいい生活空間にできる、遣り甲斐のある仕事です。理想の「すみか」に取り組んで見て下さい。
Q  輪番制で役員になったが、何をどのようにすればいいの?
A  先ず、ご自分のマンションの管理規約や使用細則を読んでみて下さい。管理運営の基本となる事項が書かれています。
総会や理事会を開催して運営、管理規約、使用細則等の設定変更、共用部分の維持管理、長期修繕計画の作成、修繕工事の実施、積立金の運用と管理、出納業務、決算業務等がありますが、通常は総会で承認された事業計画に沿って、それらを実行していきます。また、過去の議事録を読み返す事で、今までの管理組合の流れをつかむことができます。
Q  不在区分所有者は役員にならなくっていいの?
A 標準管理規約では、「理事及び監事はマンションに現に居住する組合員の内から、総会で選出する」とあれば不在区分所有者は、役員に就任できません。しかし、外部に住んでいても組合員ですから、役員就任の権利を奪うことはできません。そこで、最近の管理規約では、「理事及び監事は、総会の決議によって、組合員のうちから選任し、又は解任する。」の様に予められました。 基本は区分所有者全員で建物、敷地、付属施設の管理を平等に行う義務があります。
 また、役員のなりて不足を補う為に、我々のような専門家を役員に就任してもらうケースを徐々に増えています。その場合は、管理規約を改正して、「組合員のうちから」を削除する必要もあります。
Q  白紙委任状の提出を求められたが、問題ないか?
A 組合員が総会に出席して議決権を行使することができればよいのですが、やもう得ず欠席する場合は、総会議案書の内容をよく確認して、自分の大切な議決権を行使し提出するのがよいでしょう。 
 委任する場合は、出席する組合員の中で自分の意思を汲んでくれる方に委任するのがよいでしょう。しかし、マンション内に居ない場合は、議長宛てにするか、白紙委任とするか迷いますが、白紙委任状は、通常は総会の決議に従う意思表示とみなされ多数票に加算されます。しかし、賛否を明確にする上から、委任する人の記入が無い場合は、「議長に委任する」事を明記しておいた方が、無難でしょう。
Q  総会開催前の委任状で議案が決まる、総会は意味がないのでは?
A  ごもっともなご意見です。残念ですが、多くのマンションがこのような状況です。国土交通省のマンション総合調査によれば、総会出席率は平均 34.8%で、マンションの規模が大きくなるほど低くなっております。
 区分所有法39条2項に「議決権は書面または代理人によって行うことができる」と定められています。委任状だけでなく、議決権行使書も総会議案書に添付して、できるだけ多くの組合員の意思を反映するようにしてください。
 総会に出席された方の意見が反映されない事が、繰り返し行われると、ますます管理組合の運営に無関心な方が増えてしまします。その為には、日ごろから管理組合活動を情報公開したり、マンションの出来事を共有することによって、組合員の意識を高める事が重要です。
Q  総会に妻や子供の出席は認められるか?
A  理事会が必要と認めれば、出席できますが、原則は、組合員以外の出席は認められません。ただし、管理会社のフロントマンや管理員が説明する場合など、理事会が必要と認めれば、よいわけで、組合員以外の家族や占有者の協力を得ることも大切なことですから、傍聴席を設けるなどして積極的に総会の議論を見てもらうこといいでしょう。それぞれのマンションに応じた方法で、より快適なマンションライフを創造してください
Q  新旧役員が分裂状態になった?
A  管理会社と癒着している前理事長派に対し、それを改めよう新理事長が対立していました。総会で新理事が承認されました。しかし、旧理事長派が根拠のない誹謗中傷デマなどの怪文章を組合員に配布するなどの行為で困っているとの相談でした。
 総会で承認された正規な役員ですから、正々堂々と挑発に乗らず、公平平等に理論的に組合運営を続ける事が重要です。挑発に乗って、他の組合員から「どっちもどっち」と思われないように注意してください。 先ずは総会で承認を得た本来の活動計画を執行することです。日ごろから、多くの組合員に真実を伝えることも組合活動の重要な広報活動です。不正を暴くことに労力注ぐ事より、将来のマンションのことに時間を割いたほうが賢明だと思います。相手も簡単に証拠は出しません。
 これからも長年、同じ屋根の下に生活するわけですから、感情的にならず、最悪の事態(裁判)にならないよう注意してください。また、理事会の役員同士で意見が対立しないように、充分に話し合いをすることが重要です。良いことでも他の役員さんに理解して貰えない様だとうまく運営は出来ません。
Q  無関心がマンションを駄目にする
A  多くのマンションが無関心な区分所有者に悩まされています。「理事会は形骸化し管理会社任せ、マンション全体がいい加減な対応で困っています。何か改善策はありませんか?」と熱心な理事長さんからの悲痛な相談でした。
 たった一人で頑張る侘しさと辛さはよく分かります。でも諦めないで是非続けて下さい。あなたの行動をじっと見ている人や功績を評価している人が必ず居ます。あなたと同じ考えを持っている人が、必ず出てきます。理想とするマンションを文字にして、多くの居住者に広報などを通じて理解してもらいましょう。逆に無関心な居住者ばかりだとマンションはどの様な姿になるでしょうか?
 想像してみてください。モラルが低下すると居住者間でトラブルが増加し、住みづらくなります。資金的に余裕のある方は、次々に出ていきます。残っている人達は、増々モラルの低下を招きます。空室も目立ってきます。ごみの出し方もルール違反者が多く、いつも悪臭を放す様になり、最終的には手の付けれないスラムです。
 管理費の滞納者も多く、管理会社も、理事も督促はしません。資金不足で保守点検や修繕も充分にはできません。配管が劣化し、赤錆等で水道水にも問題が出てきます。そんなマンションに不動産屋は売買仲介はしませんので、空き家は更に多くなります。
 外壁は汚れ、ひび割れが目立ち始め、コンクリートの中性化で爆裂が進み、コンクリートの塊が落下することも考えられます。こんなマンションになるのを防いでいるのは、あなたの熱意と勇気です。
 自分たちの財産は自分たちで守るという意識が、根付くまで我慢強く頑張ってください。行政でも専門家を派遣したり、相談に乗ってくれる制度がありますので、利用してみてください。応援しています。
Q  名簿作成は、個人情報保護法に触れるか?
A  マンションに住む際には入居届や区分所有者届などの個人情報を記載した書類の提出を求められます。これはマンションを管理する上で必要不可欠な事柄ですから、匿名や偽名を記入することはできません。また、管理組合が部屋番号と区分所有者名を列挙した居住者名簿を作成しても、個人情報保護法に触れることはありません。一般に住所や氏名などの情報は、法務局でだれでも登記簿を閲覧出来ますし、取り寄せる事ができる情報です。これだけで法に触れることはありません。しかし、家族名・年齢・学歴・勤務先などの情報を併記する場合は、注意しないと問題になる場合があります。ましてや名簿を組合員に配布するなどの行為は、組合員全員の同意がなければできません。
 管理組合として重要な事柄が、区分所有者を確定する業務です。部屋番号や組合員名が無いと総会通知書の発送、総会出席者の確認、議決権者数、議決権行使、委任状の適格判定などもできませんので必要不可欠な情報です。しかし、滞納問題等で部屋番号や氏名を記した議事録などが、回覧・配布することはプライバシーに係わる行為で問題となり、抑止力にもなりません。
 この様に管理組合には多くの情報を保有します。個人情報保護法の下で適切に扱わなければなりませんが、適正に取り扱えば、何も恐れることはありません。
Q  1階住民もエレベーター費用を負担の?
A  1階住戸の人は、通常エレベーターを使うことは、滅多にありません。全く使用しない1階の区分所有者にエレベーター費用を負担するのは、おかしいという意見が出てくるのも当然です。
 マンションは、専有部分と共用部分から成り立ち、共用部分は、区分所有全員の共有財産でその費用や取り換え経費は規約に定めがあれば、それに準じた負担をしなくてはなりません。専有部分だけを購入したのではなく、共用部分も同時に所有者となっている事(共有)。
 1階住民だからエレベーターを使用しないと言っても、エレベーター付きのマンションとそうで無いマンションでは当然そのマンションの価値が違ってきます。資産価値の観点から見ても全く関係ないとは言えません。 その様な事から1階住民もエレベーターに関する費用を負担しています。共有物は、使用頻度ではなく、持ち分に応じて費用負担するのが原則です。
 しかし、2階以上の方の出入口が別にあり、全く使用しないと言う事なら、 一部共用部分として規約を定め、エレベーター 費用を負担しない方法も可能です。1階が店舗で2階から上が住居のマンションがそれに該当します。
 区分所有法 第3条に「区分所有者は、全員で建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな共用部分(以下「一部共用部分」という。)をそれらの区分所有者が管理するときも同様とする。」と明記されています。

 ペット飼育

Q  ペット禁止ですが、隠れ飼育者がいます。どう対応すればいいの?
A  本来、専有部分は自由に使えるのですが、マンションでは共同の利益に反する行為に対処するため、区分所者間でルールを作り守っていく事が重要となります。区分所有法第57条に(共同の利益に反する行為の停止等の請求)があります。理事会として禁止されている事項を黙認すると、次々と違反者が出て居住者者間の紛争が拡大する可能性もあります。
 飼育者は、友人知人にペットを預けるか、処分するか、ペット飼育可能なマンションへ転居するか、決める必要があります。
 裁判で飼い主側が敗訴した例もあります。(大阪地方裁判所 平成2年10月25日判決)
 現に飼育されているペットは、是認し一代限りの飼育許可を出す方法を検討してみたらどうでしょう。その場合、規約の改正が必要で、ペット倶楽部への新規加入(新規飼育者)を認めない条項も、裁判で容認されています。(東京地裁H6.3.31判決)但し、現実には一代限りにならない場合もあり、決議後の経過管理が重要です。管理規約の改正には、特別決議で、4分の3以上の賛成が必要です。飼育の方法等を規制する事によって、飼育者と非飼育者との利害の調整を図ります。飼育によって起こる問題の対策をできるだけ細部まで取り込んでおく事や、飼育者、非飼育者を問わず十分な議論が必要です。
 ★マンションのように鉄筋コンクリートなどに囲まれた建物の中で生活する場合、ペットを飼育することは生活に潤いを与えるものとして必要な事と考える型もいるでしょう。最近はペットとの共生を望む声が多く、積極的に取り込むマンションが増ています。規約や細則を整備し容認する方向で、現実的な対応が必要な時期と思われます。面倒くさがらず全面禁止では、いつまで経ってもこの問題は解決はしません。この機会にチャンスと捉え、大切なコミュニティを育て、活性化させていくようにしたいものです。ペット問題で感情的なしこりやマンション管理全体に悪影響を与えないようにしたいものです。ペットアレルギーや動物嫌いの人がいることも忘れないでね。
Q  ぺット飼育細則の内容を見直したい?
A  原点に戻り、管理規約とペット飼育細則の両方を検討する。飼育者と非飼育者相互間の理解を深める必要があります。先ず、ペット飼育専門委員会やペット倶楽部を設立し、現状の問題点、例えば、鳴き声、臭気、糞尿、抜毛、汚れ・損傷、感染病、資産価値の低下等を調査します。
 また、飼い主の心構えを明確にする必要もあります。例えば、他の居住者への配慮、ペットの本能、習性などを理解し、飼い主としての責任を自覚し、動物の保護管理に関する法律、条例等に規定する飼い主の義務などを勉強します。
 ルールとして飼育を認めるペットの範囲の検討(種類、体長、体重、頭数等)、ペットの予防接種等、飼育場所や飼育方法をできるだけ細かく、共用部分での対応としては、廊下・エレベーターでは抱きかかえ等の注意点を明記する。ペット倶楽部を設立し、自主規制や飼育者による監督の輪番制、ペット写真の登録など細部を詰める。
 一方理事会では、ペット飼育専門委員会の具申を受けて、総会提出用の規約・細則の改正案を作成、飼育申請書、誓約書、飼育終了の届出などの提出書類の整備と届出義務等を検討する。総会にて管理規約・ペット飼育細則の改正案を上程し承認を得る。(特別決議)
Q  ペット可となったが、今後どんなことに気を付ければいいの?
A  管理規約の変更やペット飼育細則の設定などが総会で承認された事を前提にお話しします。
 多くのマンションでペット飼育可で問題も発生しています。4分の3の多数決で決まったからと言って、全員がペットを容認している訳ではない事。居住者の中には、アレルギー体質のある方、動物に対して恐怖心を抱く方など色々な方がいます。マンションで飼育されるペットの最も多い犬を例にとってみますと、毎日の散歩用に犬の足を洗う場所の設置、エレベーター利用時にペットから避けたい方への配慮、建物内は抱えて歩くなどの注意書きの掲示が必要と考えます。また、敷地内にドックランを設けて、ペット愛好家のコミュニケーションの場として提供することで、マナーの向上を図ることも検討しても見てはどうでしょうか? 最近の苦情では、抜け毛が廊下に散乱しているとか、匂いがするなどの苦情もあります。
Q  野良猫に餌付けをしている居住者がいます。どうしたらいいの?
A  1階の専用庭で猫の糞尿害、餌の臭気、鳴き声に悩まされています。度々止めるように申し入れましたが、改善しないと相談を受けました。
 区分所有法第6条(区分所有者の権利義務等)に区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならないと規定があります。またマンション標準管理規約第3条(規約及び総会の決議の遵守義務)に区分所有者は、円滑な共同生活を維持するため、この規約及び総会の決議を誠実に遵守しなければならないと定ています。
 従って、野良猫の餌付け行為は共同の利益に反する義務違反に該当しますので、理事会として、マンション標準管理規約第 67条(理事長の勧告及び指示等)に従って、野良猫に餌付けをする行為の停止を申し入れして下さい。野良猫のほとんどは飼い猫であったものが無責任な飼い主によって捨てられたり、迷い猫になったり、屋外に自由に出ることで繁殖し、数が増えてしまったものと考えられます。これらの解決方法として、市川市では地域で、決められた場所・時間に餌を与え、不妊・去勢手術を施していくことで、一般的に4年といわれる寿命を全うさせ、自然な減少を促す施策をとっています。地域猫への取り組みについては、千葉県市川健康福祉センターにご相談・問い合わせしてみてください。