命題論理の自然演繹における諸定理 【13】推移律の証明

A,B,Cに、
どのような論理式(命題変数単体に限らない)をいれても、

  ( (AB)(BC) ) (AC)

は、

命題論理における自然演繹】の定理

【証明】  ( (AB)∧(BC) ) ⇒ (AC)

 命題論理の形式的体系自然演繹に準拠した操作   
   端的には、
    ・仮定の書き出し 
    ・推論規則「∧除去則」による書き換え 
    ・推論規則「⇒除去則」による書き換え 
    ・推論規則「⇒導入則」による書き換え 
 のみで、
 論理式( (AB)(BC) ) (AC)」が得られる  
 ことを示す。


 →step01
 →step02
 →step03
 →step04
 →step05
 →step06


[step1]自然演繹で認められた操作(2)仮定の書き出し

 論理式「(AB)(BC)」 を仮定1として書き出す。

  

仮定1
 (AB)(BC) 


[step2] 自然演繹で認められた操作(3)推論規則による書き換え




【文献】
 ・野矢『論理学』1-2-2-公理系のサンプル2-問題25(3)(p.65) 解答(p.227)
 ・野矢『論理学』1-2-3-LP-命題論理の諸定理-定理11(p.70);付録-定理11(p.220)。


 
   

  ・推論規則「∧除去則」にしたがって、
    仮定1「(AB)(BC)」 を「AB」 へ 
   書き換える。

  ・推論規則「∧除去則」にしたがって、
    仮定1「(AB)(BC)」 を「BC」 へ
   書き換える。

  ・推論規則「∧除去則」により、
   書き換え後に引き継がれる仮定は、書き換え前の仮定のすべてとなるから、
    書き換え後の「AB」「BC」は、それぞれ、仮定1「(AB)(BC)」 のもとにある。

  ・これで、推論規則「∧除去則」による書き換えによって、
   仮定1「(AB)(BC)」 から、
   「仮定1『(AB)(BC)』 のもとで『AB』」
   「仮定1『(AB)(BC)』 のもとで『BC』」
   が導出されたことになる。

  

仮定1
 (AB)(BC) 

 

仮定1
 (AB)(BC) 




(∧除去) 


(∧除去) 


AB 


BC 





 → 推移律
 → 自然演繹の定理:トピック一覧
 → 論理記号:トピック一覧 
 → 総目次  


  
[step3]自然演繹で認められた操作(2)仮定の書き出し

 論理式A」 を仮定2として書き出す。

  

仮定1
 (AB)(BC) 

 

仮定1
 (AB)(BC) 



 仮定2 


(∧除去) 


(∧除去) 


A

AB 


BC 




[step4] 自然演繹で認められた操作(3)推論規則による書き換え

  ・推論規則「⇒除去則」にしたがって、
    仮定2「A」、「仮定1『(AB)(BC)』 のもとで『AB』」を「B」 へ
   書き換える。

  ・推論規則「⇒除去則」の規定により、
   書き換え後に引き継がれる仮定は、書き換え前の仮定のすべてとなるから、
    書き換え後の「B」は、仮定2「A」、仮定1「(AB)(BC)」 のもとにある。

  ・これで、推論規則「⇒除去則」による書き換えによって、
   仮定2「A」、「仮定1『(AB)(BC)』 のもとで『AB』」から、
   「仮定2『A』、仮定1『(AB)(BC)』のもとで『B』」
   が導出されたことになる。

  

仮定1
 (AB)(BC) 

 

仮定1
 (AB)(BC) 



 仮定2 


(∧除去) 


(∧除去) 


A

AB 


BC 




(⇒除去)



B




[step5] 自然演繹で認められた操作(3)推論規則による書き換え

  ・推論規則「⇒除去則」にしたがって、
   「仮定2『A』、仮定1『(AB)(BC)』のもとで『B』」
   「仮定1『(AB)(BC)』 のもとで『BC』」
   を
   「C
   へ書き換える。

  ・推論規則「⇒除去則」の規定により、
   書き換え後に引き継がれる仮定は、書き換え前の仮定のすべてとなるから、
    書き換え後の「C」は、仮定2「A」、仮定1「(AB)(BC)」 のもとにある。

  ・これで、推論規則「⇒除去則」による書き換えによって、
   「仮定2『A』、仮定1『(AB)(BC)』のもとで『B』」
   「仮定1『(AB)(BC)』 のもとで『BC』」
   から
   「仮定2『A』、仮定1『(AB)(BC)』のもとで『C』」
   が導出されたことになる。

  

仮定1
 (AB)(BC) 

 




 仮定2 


(∧除去) 

仮定1 



A

AB 


(AB)(BC)




(⇒除去)


(∧除去) 


B

BC 




(⇒除去)


C



 → 推移律
 → 自然演繹の定理:トピック一覧
 → 論理記号:トピック一覧 
 → 総目次  


  
[step6] 自然演繹で認められた操作(3)推論規則による書き換え

推論規則「⇒導入則」にしたがって、
  「仮定2『A』、仮定1『(AB)(BC)』のもとで『C』」を
  「AC」へ書き換える。

推論規則「⇒導入則」の規定にしたがうと、
   「AC」への書き換え後に引き継がれる仮定は、
   書き換え前の仮定「A」「(AB)(BC)」から、仮定「A」を差し引いた分だけとなるから、   
   「AC」への書き換え後にのこる仮定は「(AB)(BC)」だけとなって、
    「仮定1『AB)(BC)』のもとで『AC』」が得られる。

・これで、推論規則「⇒導入則」による書き換えで、
  「仮定2『A』、仮定1『(AB)(BC)』のもとで『C』」から、
  「仮定1『AB)(BC)』のもとで『AC』」が導出されたことになる。

  

仮定1
 (AB)(BC) 

 




 [仮定2] 


(∧除去) 

仮定1 



[A]

AB 


(AB)(BC)




(⇒除去)


(∧除去) 


B

BC 




(⇒除去)


C


(⇒導入)仮定2を解消

AC


 → 推移律
 → 自然演繹の定理:トピック一覧
 → 論理記号:トピック一覧 
 → 総目次  
[step7] 自然演繹で認められた操作(3)推論規則による書き換え

推論規則「⇒導入則」にしたがって、
  「仮定1『AB)(BC)』のもとで『AC』」を
  「( (AB)(BC) ) (AC)」へ書き換える。

推論規則「⇒導入則」の規定にしたがうと、
   「( (AB)(BC) ) (AC)」への書き換え後に引き継がれる仮定は、
   書き換え前の仮定「(AB)(BC)」から、仮定「(AB)(BC)」を差し引いた分だけとなるから、   
   「( (AB)(BC) ) (AC)」への書き換え後に仮定はすべて差し引かれてなくなって しまい、
   仮定なしの「( (AB)(BC) ) (AC)」が得られる。

・これで、推論規則「⇒導入則」による書き換えで、
  「仮定2『A』、仮定1『(AB)(BC)』のもとで『C』」から、
  「仮定1『AB)(BC)』のもとで『AC』」が導出されたことになる。

  

[仮定1]
 [(AB)(BC)] 

 




 [仮定2] 


(∧除去) 

[仮定1] 



[A]

AB 


 [(AB)(BC)] 




(⇒除去)


(∧除去) 


B

BC 




(⇒除去)


C


(⇒導入)仮定2を解消


AC


(⇒導入)仮定1を解消


( (AB)(BC) ) (AC)