命題論理の自然演繹における諸定理 【11】対偶律 の証明(2)

A,Bに、どのような論理式(命題変数単体に限らない)をいれても、
    ( ¬B ¬A )   (AB)  
は、【命題論理における自然演繹】の定理


【証明2】( ¬B ⇒ ¬A ) ⇒ (AB)

 命題論理の形式的体系自然演繹に準拠した操作   
   端的には、
    ・公理の書き出し   
    ・仮定の書き出し   
    ・推論規則「∨除去則」による書き換え
    ・推論規則「¬導入則」による書き換え
    ・推論規則「矛盾除去則」による書き換え 
    ・推論規則「⇒除去則」による書き換え   
    ・推論規則「⇒導入則」による書き換え 
 のみで、
 論理式「( ¬B ¬A )   (AB)」が得られる  
 ことを示す。
  [高崎]

 →step01
 →step02
 →step03
 →step04
 →step05
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 →step07
 →step08
 →step09
 →step10



[step1] 自然演繹で認められた操作(2)仮定の書き出し

論理式¬B」を仮定1として書き出す。

論理式¬B ¬A」を仮定2として書き出す。


  

仮定1
 ¬B  

仮定2
 ¬B ¬A


[step2] 自然演繹で認められた操作(3)推論規則による書き換え

  ・推論規則「⇒除去則」にしたがって、
    仮定1「¬B」、仮定2「¬B ¬A」を「¬A」 へ
   書き換える。

  ・推論規則「⇒除去則」の規定により、
   書き換え後に引き継がれる仮定は、書き換え前の仮定のすべてとなるから、
    書き換え後の「¬A」は、仮定1「¬B」、仮定2「¬B ¬A」 のもとにある。

  ・これで、推論規則「⇒除去則」による書き換えによって、
   仮定1「¬B」、仮定2「¬B ¬A」から、
   「仮定1『¬B』、仮定2「¬B ¬A」のもとで『¬A』」
   が導出されたことになる。

  

仮定1
 ¬B  

仮定2
 ¬B ¬A




(⇒除去)  


¬A






【文献】
 ・高崎金久『数理論理学入門VII. 2.2例3ウカシェビッチの第3公理
あとは、未確認。

 ・野矢『論理学』1-2-3-LP-命題論理の諸定理-定理7(p.70);付録-定理7(p.217):一方向。
 ・前原『記号論理入門』7章§1.5-例5(p.122)問5-解答(p.);
 ・van Dalen,Logic and Structure(3rd ed.) Theorem1.4.4(4)(p.32)


 
   


[step3] 自然演繹で認められた操作(2)仮定の書き出し
論理式A」を仮定3として書き出す。

  

仮定1
 ¬B  

仮定2
 ¬B ¬A



 仮定3 


(⇒除去)  


A

¬A



 → 対偶律
 → 自然演繹の定理:トピック一覧
 → 論理記号:トピック一覧 
 → 総目次  


  

[step4]自然演繹で認められた操作(3)推論規則による書き換え

  ・推論規則「¬除去則」にしたがって、
      ・「仮定1『¬B』、仮定2『¬B ¬A』のもとで『¬A』」
      ・仮定3「A
   を「(矛盾)」 へ書き換える。

  ・推論規則「¬除去則」の規定により、
   書き換え後に引き継がれる仮定は、書き換え前の仮定のすべてとなるから、
    書き換え後の「」は、仮定1「¬B」、仮定2「¬B ¬A」 、仮定3「A」のもとにある。

  ・これで、推論規則「¬除去則」による書き換えによって、
      ・「仮定1『¬B』、仮定2『¬B ¬A』のもとで『¬A』」
      ・仮定3「A
   から、
   「仮定1『¬B』、仮定2『¬B ¬A』、仮定3『A』のもとで、『(矛盾)』」
   が導出されたことになる。

  

仮定1
 ¬B  

仮定2
 ¬B ¬A



 仮定3 


(⇒除去)  


A

¬A


(¬除去)



[step5] 自然演繹で認められた操作(3)推論規則による書き換え

  ・推論規則「矛盾除去則」にしたがって、
    「仮定1『¬B』、仮定2『¬B ¬A』、仮定3『A』のもとで、『(矛盾)』」
   を「B」 へ書き換える。

  ・推論規則「矛盾除去則」の規定により、
   書き換え後に引き継がれる仮定は、書き換え前の仮定のすべてとなるから、
    書き換え後の「B」は、仮定1「¬B」、仮定2「¬B ¬A」 、仮定3「A」のもとにある。

  ・これで、推論規則「矛盾除去則」による書き換えによって、
    「仮定1『¬B』、仮定2『¬B ¬A』、仮定3『A』のもとで、『(矛盾)』」
   から、
   「仮定1『¬B』、仮定2『¬B ¬A』、仮定3『A』のもとで、『B』」
   が導出されたことになる。

  

仮定1
 ¬B  

仮定2
 ¬B ¬A



 仮定3 


(⇒除去)  


A

¬A


(¬除去)





(矛盾除去) 


B


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[step6] 自然演繹で認められた操作(2)仮定の書き出し
論理式B」を仮定4として書き出す。

  


仮定1
 ¬B  

仮定2
 ¬B ¬A




 仮定3 


(⇒除去則)  



A

¬A



(¬除去)





 仮定4 


(矛盾除去) 


B B


[step7] 自然演繹で認められた操作(1)公理の書き出し
 公理の排中律B∨¬B」を書き出す。
  
  



仮定1
 ¬B  

仮定2
 ¬B ¬A





 仮定3 


(⇒除去則)  




A

¬A




(¬除去)






 排中律 

 仮定4 


(矛盾除去) 


B∨¬B

B B
[step8] 自然演繹で認められた操作(3)推論規則による書き換え

  ・推論規則「∨除去則」にしたがって、
    ・公理の排中律B∨¬B
    ・仮定4「B
    ・「仮定1『¬B』、仮定2『¬B ¬A』、仮定3『A』のもとで、『B』」
   を「B」へ書き換える。

  ・推論規則「∨除去則」の規定により、
     《書き換え後に引き継がれる仮定》は、
       《「書き換え前の仮定」から『B』(仮定4),『¬B』(仮定1)を差し引いた分》だけ
     となるから、
      書き換え後の「B」 は、仮定2「¬B ¬A」 、仮定3「A」 のもとにある。

  ・これで、推論規則「∨除去則」による書き換えで、
    ・公理の排中律B∨¬B
    ・仮定4「B
    ・「仮定1『¬B』、仮定2『¬B ¬A』、仮定3『A』のもとで、『B』」
   から、
   「仮定2『¬B ¬A』、仮定3『A』のもとで、『B』」
   が、導出されたことになる。

  



[仮定1]
 [¬B]  

仮定2
 ¬B ¬A





 仮定3 


(⇒除去則)  




A

¬A




(¬除去)






 排中律 

 [仮定4] 


(矛盾除去) 


B∨¬B

[B] B


(∨除去)仮定1仮定4解消 


B
[step9] 自然演繹で認められた操作(3)推論規則による書き換え

推論規則「⇒導入則」にしたがって、
   「仮定2『¬B ¬A』、仮定3『A』のもとで、『B』」
  を「AB」へ書き換える。
推論規則「⇒導入則」の規定にしたがうと、
   「AB」への書き換え後に引き継がれる仮定は、
   書き換え前の仮定「¬B ¬A」「A」から、仮定「A」 を差し引いた分だけとなるから、   
   「AB」への書き換え後に残る仮定は「¬B ¬A」のみ。

・これで、推論規則「⇒導入則」による書き換えで、
  「仮定2『¬B ¬A』、仮定3『A』のもとで、『B』」から、
  「仮定2『¬B ¬A』のもとで、『AB』」が導出されたことになる。

  



[仮定1]
 [¬B]  

仮定2
 ¬B ¬A





 [仮定3] 


(⇒除去則)  




A

¬A




(¬除去)





 排中律 

 [仮定4] 


(矛盾除去) 

B∨¬B

[B] B


(∨除去)仮定1仮定4を解消 


B


(⇒導入)仮定3を解消

AB



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[step10] 自然演繹で認められた操作(3)推論規則による書き換え

推論規則「⇒導入則」にしたがって、
  「仮定2『¬B ¬A』のもとで、『AB』」を
  「( ¬B ¬A ) (AB)」へ書き換える。
推論規則「⇒導入則」の規定にしたがうと、
   「( ¬B ¬A ) (AB)」への書き換え後に引き継がれる仮定は、
   書き換え前の仮定「¬B ¬A」から、仮定「¬B ¬A」 を差し引いた分だけとなるから、   
   「( ¬B ¬A ) (AB)」への書き換え後に仮定はすべて差し引かれてなくなって しまい、
    仮定なしの「( ¬B ¬A ) (AB)」が得られる。
・これで、推論規則「⇒導入則」による書き換えで、
  「仮定2『¬B ¬A』のもとで、『AB』」から、
  仮定なしの「( ¬B ¬A ) (AB)」が導出されたことになる。

  



[仮定1]
 [¬B]  

[仮定2]
 [¬B¬A] 





 [仮定3] 


(⇒除去則)  




A

¬A




(¬除去)





 排中律 

 [仮定4] 


(矛盾除去) 

B∨¬B

[B] B


(∨除去)仮定1仮定4を解消 


B


(⇒導入)仮定3を解消

AB


(⇒導入)仮定2を解消

( ¬B ¬A ) (AB)