確率変数(random variable)

ゆるい!最小のσ集合族⇒ボレル集合族⇒確率変数の定義のラインを佐藤著で強化しないとだめ。

定義:ボレル集合族

  おおよその意味:R 1およびR nσ加法族

 (引用集)

  鈴木・山田『数理統計学(第二版)p.21.

    Rnのボレル集合族 

     「R nのすべての区間を含む最小のσ加法族

  柳川『統計数学p.12.

    Rのボレル集合族 

     「R上の区間(a,b]全体からなる集合を含む最小のσ加法族が存在する。

      この集合族をボレル集合族といい、であらわす。」

  野田・宮岡『数理統計学の基礎p.3-4

    「区間」:

      「n次元ユークリッド空間R n = {( x1, x2, ,xn )|xi R (i=1,2,n)}において、

       −∞≦aibi≦∞(i=1,2,n)について、

          I=(a1, b1]×…×(a n, bn]={( x1, x2, ,xn )| a i< xi bi (i=1,2,n)} 

       なるかたちの集合IR nにおける区間(interval)とよぶ。

        ただし、bi=∞の場合には、上述の表現における不等式

          a i< xibi

       は

          a i< xI<

       とおきかえることを規約する。」

    「In」:

       このような区間の全体をInと記す。

    「ボレル集合族(Borel Family of sets)/ボレル集合体(Borel field)/ボレル代数(Borel algebra)」:

      「(1.1.4)によって、R nにおいて、Inを含む最小のσ加法族

        

      が存在するが、これをボレル集合族、ボレル集合体、ボレル代数などとい

        

      によってあらわす。

    「ボレル集合 (Borel set)」:

      に属す集合はボレル集合(Borel set)という。

      開区間、閉区間、n次元球、1点のみからなる集合、可算個の点からなる集合などは

      ボレル集合である。

    ※最小のσ加法族というときの「最小」って??

  佐藤『はじめての確率論 測度から確率へpp.11-15.

    定義:ボレル集合体 (p.13)

    「E=(E,d)を距離空間、OEの開部分集合全体からなる集合族とする。

     このとき、

     Oから生成されるE上のσ集合体(E)≡σ(O)E上のボレル集合体、

     Eの部分集合で(E)に属するものをEのボレル集合という。」

    補題2.3(pp.13-14)

    「Eを距離空間とする。

     このとき、

     Eの開部分集合、閉部分集合、コンパクト部分集合、可算集合、有限集合は

     すべてEのボレル部分集合である。」

    証明:

    

    

    

    

    定義:d次元ボレル集合体(pp.14-15)

    「特に重要なのはEd次元ユークリッド空間Rdの場合である。

     上のRd上のボレル集合体(Rd)を簡単のためBdと書き、d次元ボレル集合体、

     またBdに属するRdの部分集合をd次元ボレル集合という」

    補題2.4 (p.14)

    Jd≡{ ( a1, b1 ]×…×( ad , bd ]Rd:−∞≦akbk≦∞, k=1,2,d }

    と定義するとBdJdから生成されるRd上のσ集合体である。すなわち、

        Bd=σ[ Jd ]

    ただし、上の定義で(a,+](a,+)をあらわすものとする。

    証明:

    

    

    

    

    

    

    

    

    

定義:

  ・確率空間(probability space)としたとき、

     Ω上の実数値関数 X(ω)

       X1 (B) ,for B 

     を満たす。

     ⇔ X

  ・確率空間(probability space)としたとき、

     Ω上の実数値関数 X(ω)

        X1 (B) ,for B 

     を満たす。

     ⇔ X

    ※ X1(B) ≡ { ω∈Ω | X(ω)B }  をBの「逆像」という。

          

         

    ※ 略記法

        {ω∈Ω| aX(ω)b }は{ aXb }

        {ω∈Ω| X (ω)B }は{ XB }

        などと略記される。

            野田・宮岡『数理統計学の基礎p15.

 

 

 

定義:確率変数(random variable)、確率ベクトル(random vector)

  標本空間Ω上の関数を、確率変数(random variable)という。

  標本空間Ω上の関数を、確率ベクトル(random vector)という。

    つまり、

    値域にどんなボレル集合をとっても、

    その逆像がΩ上のσ集合族に属す。

    そんな実数値集合関数のこと。

    

定理1

  確率空間(probability space)とする。
     
Xは標本空間Ω上の確率変数(random variable)

     ⇔ X1 ( (−∞,a ] ) ≡{ω∈Ω | −∞<X(ω)a}∈ ,for aR1 

      どんな風に実数aを与えてやっても (−∞,a ]の逆像がΩ上のσ集合族に属す。

    ※aR1:「どんな風に実数aを与えてやっても」というところがポイント。

    ※ボレル集合の理解が難しいようなら、

     こちらの定理を確率変数の定義としたほうがいいかも。

         

    ※ 略記法

      {ω∈Ω| aX(ω)b }は{ aXb }

      {ω∈Ω| X (ω)B }は{ XB }

      などと略記される。

                 野田・宮岡『数理統計学の基礎p15.

 

 

定理2:

  確率空間(probability space)とする。

       X1 ( (−∞,a ] ) ≡{ω∈Ω | −∞<X(ω)a}∈ ,for aR1 

     ⇔ 任意の区間I (閉区間、半開区間、開区間)に対して

       {ω∈Ω | X(ω)I }∈ 

 

定理2の証明

   アウトライン:

   aR1 として、(−∞,a ]の逆像がΩ上のσ加法族に属すなら

     任意の区間の逆像もΩ上のσ加法族に属し、その逆も成立。

   [1] aR1 として(−∞,a ]の逆像がΩ上のσ加法族に属すなら、

      (a, ) の逆像もΩ上のσ加法族に属し、その逆も成立。 

   [2] aR1 として(−∞,a ]の逆像がΩ上のσ加法族に属すなら、

      (−∞,b) の逆像もΩ上のσ加法族に属し、その逆も成立。 

   [3] aR1 として(−∞,a ]の逆像がΩ上のσ加法族に属すなら、

      [b, ) の逆像もΩ上のσ加法族に属し、その逆も成立。 

   [4] aR1 として(−∞,a ]の逆像がΩ上のσ加法族に属すなら、

      任意の閉区間の逆像もΩ上のσ加法族に属し、その逆も成立。  

   [5] aR1 として(−∞,a ]の逆像がΩ上のσ加法族に属すなら、

      任意の開区間の逆像もΩ上のσ加法族に属し、その逆も成立。  

   [6] aR1 として(−∞,a ]の逆像がΩ上のσ加法族に属すなら、

      半開区間(a, b ] の逆像もΩ上のσ加法族に属し、その逆も成立。

   [7] aR1 として(−∞,a ]の逆像がΩ上のσ加法族に属すなら、

      半開区間[a, b ) の逆像もΩ上のσ加法族に属し、その逆も成立。

   [1] (−∞,a ]の逆像がΩ上のσ加法族に属すなら、

       (a, ) の逆像もΩ上のσ加法族に属す。 

    仮定:X1 ( (−∞,a ] )≡{ω∈Ω | −∞<X(ω)a}∈,foraR1とする。

    これがσ加法族に属すということは、

    その補集合もσ加法族に属すことを意味している。 

        ∵σ加法族の定義

    すなわち、

    X1 ( (−∞,a ] )C ≡{ω∈Ω | −∞<X(ω)a}C ,foraR1

         逆写像の性質から、

         X1 ( (−∞,a ] )C

         = X1 ( (−∞,a ] C )=X1 ( (a, ) )≡{ω∈Ω | aX(ω)<∞ }

         なので、左辺を入れ替えて、

    ∴X1 ( (a, ) ) ≡{ω∈Ω | aX(ω)<∞}∈,foraR1。 

    逆も成り立つことは容易にわかる。

         ∵ X1 ( (a, ) )がσ加法族に属すなら、

          その補集合もσ加法族に属す。∵σ加法族の定義 

         ∵ 逆写像の性質から、

          X1 ( (a, ) )C=X1 ( (a, ) C ) = X1 ( (−∞,a] )

    従って、以下の結論が得られる。

     X1 ( (−∞,a ] ) ≡{ω∈Ω | −∞<X(ω)a}∈

    ⇔X1 ( (a, ) ) ≡{ω∈Ω | aX(ω)<∞}∈     

                       for aR1

   [2] (−∞,a ], for aR1の逆像がΩ上のσ加法族に属すなら、

       (−∞,b ) , for aR1の逆像もΩ上のσ加法族に属す。 

   X1 ( (−∞,a ] ),foraR1  X1 ((−∞,b)),forbR1を示す

    仮定:X1 ( (−∞,a ] )≡{ω∈Ω | −∞<X(ω)a}∈,foraR1とする。

    どんな実数aであれX1 ( (−∞,a ] )がΩ上のσ加法族に属すというのだから、

    実数aが、任意の実数b1/1であれ、

         任意の実数b1/2であれ、

         任意の実数b1/3であれ、

               ・

               ・

               ・

         任意の実数b1/nであれ、

               ・

               ・

               ・

    X1 ( (−∞,a ] )はΩ上のσ加法族に属す。

    すなわち、

    B1= X1 ((−∞,b1/1 ])≡{ω∈Ω | −∞<X(ω)b1/1}∈, forbR1

    B2= X1 ((−∞,b1/2 ])≡{ω∈Ω | −∞<X(ω)b1/2}∈, forbR1

               ・

               ・

               ・

    Bn= X1 ((−∞,b1/n ])≡{ω∈Ω | −∞<X(ω)b1/n}∈ ,forbR1    

               ・

               ・

               ・

    したがって、σ加法族の定義から、

    

                             ,forbR1    

    これは、X1 ((−∞,b))≡{ω∈Ω|−∞<X(ω)<b}に等しいので、

    ∴X1 ((−∞,b))≡{ω∈Ω|−∞<X(ω)<b}∈,forbR1    

    

   X1 ((−∞,b)),forbR1  X1 ( (−∞,a ] ),foraR1を示す

    X1 ((−∞,b))≡{ω∈Ω|−∞<X(ω)<b}∈,forbR1 とする。

    どんな実数bであれ、X1 ((−∞,b))がΩ上のσ加法族に属すというのだから、

    実数bが、任意の実数a+1/1であれ、

         任意の実数a+1/2であれ、

         任意の実数a+1/3であれ、

               ・

               ・

               ・

         任意の実数a+1/nであれ、

               ・

               ・

               ・

    X1 ((−∞,b))はΩ上のσ加法族に属す。

    すなわち、

    A1= X1 ((−∞, a+1/1))≡{ω∈Ω | −∞<X(ω) < a+1/1 }, foraR1

    A2= X1 ((−∞, a+1/2))≡{ω∈Ω | −∞<X(ω) < a+1/2 }, foraR1

               ・

               ・

               ・

    An= X1 ((−∞, a+1/n))≡{ω∈Ω | −∞<X(ω) < a+1/n } ,foraR1    

               ・

               ・

               ・

    σ加法族の定義から導出される定理から、

    ,

                          foraR1    

    これは、X1 ( (−∞,a ] )≡{ω∈Ω | −∞<X(ω)a}に等しいので、

    ∴X1 ( (−∞,a ] )≡{ω∈Ω | −∞<X(ω)a}∈,foraR1 

    従って、以下の結論が得られる。

    X1 ( (−∞,a ] )≡{ω∈Ω | −∞<X(ω)a}∈

    ⇔X1 ((−∞,b))≡{ω∈Ω|−∞<X(ω)<b}∈,forbR1 

    

   [3] (−∞,a ]の逆像がΩ上のσ加法族に属すなら、

      [b, ) の逆像もΩ上のσ加法族に属す。 

    ()

    仮定:X1 ( (−∞,a ] )≡{ω∈Ω|−∞<X(ω)a}∈,foraR1とする。

    [A-2]より、

    X1 ((−∞,b))≡{ω∈Ω|−∞<X(ω)<b}∈,forbR1 

    これがσ加法族に属すということは、

    その補集合もσ加法族に属すことを意味している。 

        ∵σ加法族の定義

    すなわち、

    X1 ( (−∞,b ) )C ≡{ω∈Ω | −∞<X(ω)b}C ,forbR1

         逆写像の性質から、

         X1 ( (−∞,b ) )C

         = X1 ( (−∞,b ) C )=X1 ( [b, ) )≡{ω∈Ω | bX(ω)<∞ }

         なので、左辺を入れ替えて、

    ∴X1 ( [b, ) ) ≡{ω∈Ω | bX(ω)<∞}∈,forbR1。 

    

    仮定:X1 ( [b, ) ) ≡{ω∈Ω | bX(ω)<∞}∈,forbR1とする。

    これがσ加法族に属すということは、

    その補集合もσ加法族に属すことを意味している。 

        ∵σ加法族の定義

    すなわち、

    X1 ( [b, ) )C ≡{ω∈Ω | bX(ω)<∞}C,forbR1とする。

         逆写像の性質から、

         X1 ( [b, ) )C

         = X1 ( [b, )C )=X1 ( (−∞,b) )≡{ω∈Ω | −∞<X(ω)b }

         なので、左辺を入れ替えて、

    X1 ((−∞,b))≡{ω∈Ω|−∞<X(ω)<b}∈,forbR1 

     [A-2]より、

    ∴X1 ( (−∞,a ] )≡{ω∈Ω|−∞<X(ω)a}∈,foraR1

    従って、以下の結論が得られる。

    X1 ( (−∞,a] )≡{ω∈Ω | −∞<X(ω)a}∈,foraR1

   ⇔X1 ( [ b,) )≡{ω∈Ω |  bX(ω)<∞}∈,forbR1 

   [4] (−∞,a ]の逆像がΩ上のσ加法族に属すなら、

      任意の閉区間の逆像もΩ上のσ加法族に属す。  

    ()

    仮定:X1 ( (−∞,a ] )≡{ω∈Ω|−∞<X(ω)a}∈,foraR1とし、

        b, c を、b < cを満たす任意の実数とする。

    どんな実数aであれX1 ( (−∞,a ] )がΩ上のσ加法族に属すというのだから、

    実数aが、それとは別の任意の実数cでもよい。

    X1 ( (−∞,c ] )≡{ω∈Ω|−∞<X(ω)c}∈,forcR1   

    また、[A-3]から、

    X1 ( [ b,) )≡{ω∈Ω |  bX(ω)<∞}∈,forbR1   

    σ加法族の定義から導出される定理から、

    これらの共通部分もσ加法族に属す。すなわち、

    X1 ((−∞,c ])X1 ([b,))={ω∈Ω|bX(ω)c}= X1 ([b,c])

    

    

    仮定:任意の閉区間をIn= [a-n,a], foraR1,fornR1とし、

        X1 ( In )X1 ( [a-n,a] )≡{ω∈Ω| a-nX(ω)a}∈ とする。

     σ加法族の定義(条件3)から、

     

    ところが、この左辺を計算すると、

     X1 ( (−∞,a ] )≡{ω∈Ω|−∞<X(ω)a}

    ∴X1 ( (−∞,a ] )≡{ω∈Ω|−∞<X(ω)a}∈

    

   [5] (−∞,a ]の逆像がΩ上のσ加法族に属すなら、

      任意の開区間の逆像もΩ上のσ加法族に属す。  

    ()

    仮定:X1 ( (−∞,a ] )≡{ω∈Ω|−∞<X(ω)a}∈,foraR1とし、

        b を、a <bを満たす任意の実数とする。

    [A-1]から、

    X1 ( ( a,) )≡{ω∈Ω|aX(ω)<∞}∈   

    [A-2]から、

    X1 ( (−∞,b) )≡{ω∈Ω|−∞<X(ω)b }∈,forbR1   

    σ加法族の定義から導出される定理から、

    これらの共通部分もσ加法族に属す。すなわち、

    X1 ((a,))X1 ((−∞,b )) ={ω∈Ω| aX(ω)b }= X1 ((a,b))

    

    

    仮定:任意の開区間をIn= (a-n,a), foraR1,fornR1とし、

        X1 ( In )X1 ( (a-n,a) )≡{ω∈Ω| a-nX(ω)a}∈ とする。

     σ加法族の定義(条件3)から、

     

    ところが、この左辺を計算すると、

     X1 ( (−∞,a ) )≡{ω∈Ω|−∞<X(ω)a}

    ∴ X1 ( (−∞,a ) )≡{ω∈Ω|−∞<X(ω)a}∈

    [A-2]より、

    ∴X1 ( (−∞,a ] )≡{ω∈Ω|−∞<X(ω)a}∈,

   [6] aR1 として(−∞,a ]の逆像がΩ上のσ加法族に属すなら、

      半開区間(a, b ] の逆像もΩ上のσ加法族に属し、その逆も成立。

    ()

    仮定:X1 ( (−∞,a ] )≡{ω∈Ω|−∞<X(ω)a}∈,foraR1とし、

        b を、a <bを満たす任意の実数とする。

    どんな実数aであれX1 ( (−∞,a ] )がΩ上のσ加法族に属すというのだから、

    実数aが、それとは別の任意の実数bでもよい。

    X1 ( (−∞,b] )≡{ω∈Ω|−∞<X(ω)b}∈,forbR1   

    [A-1]から、

    X1 ( ( a,) )≡{ω∈Ω|aX(ω)<∞}∈   

    σ加法族の定義から導出される定理から、

    これらの共通部分もσ加法族に属す。すなわち、

    X1 ((a,))X1 ((−∞,b]) ={ω∈Ω| aX(ω)b }= X1 ((a,b])

    

    

    仮定:任意の開区間をIn= (a-n,a], foraR1,fornR1とし、

        X1 ( In )X1 ( (a-n,a] )≡{ω∈Ω| a-nX(ω)a}∈ とする。

     σ加法族の定義(条件3)から、

     

    ところが、この左辺を計算すると、

     X1 ( (−∞, a] )≡{ω∈Ω|−∞<X(ω)a}

    ∴ X1 ( (−∞, a] )≡{ω∈Ω|−∞<X(ω)a}∈

   [7] aR1 として(−∞,a ]の逆像がΩ上のσ加法族に属すなら、

      半開区間[b, c ) の逆像もΩ上のσ加法族に属し、その逆も成立。

    ()

    仮定:X1 ( (−∞,a ] )≡{ω∈Ω|−∞<X(ω)a}∈,foraR1とし、

        b を、a <bを満たす任意の実数とする。

    [A2] から、

    X1 ( (−∞,c) )≡{ω∈Ω|−∞<X(ω)c}∈,forcR1   

    [A3]から、

    X1 ( [ b,) )≡{ω∈Ω|bX(ω)<∞}∈   

    σ加法族の定義から導出される定理から、

    これらの共通部分もσ加法族に属す。すなわち、

    X1 ([b,))X1 ((−∞,c)) ={ω∈Ω| bX(ω)c }= X1 ([b, c))

    

    

    仮定:任意の開区間をIn= [a-n,a), foraR1,fornR1とし、

        X1 ( In )X1 ( [a-n,a) )≡{ω∈Ω| a-nX(ω)a}∈ とする。

     σ加法族の定義(条件3)から、

     

    ところが、この左辺を計算すると、

     X1 ( (−∞, a) )≡{ω∈Ω|−∞<X(ω)a}

    ∴ X1 ( (−∞, a) )≡{ω∈Ω|−∞<X(ω)a}∈

    [A-2]より、

    ∴X1 ( (−∞,a ] )≡{ω∈Ω|−∞<X(ω)a}∈,    

    

    ※柳川『統計数学pp.11-12にでている証明の

      省略された部分を自力で埋めてみた。

定理1の証明

  (proof)

   () 

     Xは標本空間Ω上の確率変数とする。

     すなわち、XはΩ上の関数。∵確率変数の定義

     すなわち、X1 (B) ,for B ∵の定義

          ここで、上記のBについて。

          (−∞,a ] , aR1 なので、∵ボレル集合族の定義 

          B=(−∞,a ] ととっても相変わらず上式は成立する。

     ∴ X1 ( (−∞,a ] ), aR1  

    

    

    

※具体例 (柳川『統計数学p.11)

  ※野田・宮岡『数理統計学の基礎pp.14-15、鈴木・山田『数理統計学―基礎から学ぶデータ解析―(第二版)』での、確率変数の定義とその必要十分条件となる上記定理。しかし、柳川『統計数学pp.11-13.と佐藤『はじめての確率論 測度から確率へpp.34-37.では、定理と定義が逆になっている。

 

定理:

     X=(X1,X2,…,Xn)

    ⇔Xi (i=1,….,n)

     (講義ノートから、出所不明)

 

定義:Borel可測 

 

 f : R n Rm Borel可測

 ⇔ f-1(B)≡{ x R n | f ( x ) B } for B 

 ※連続関数ならBorel可測。

定理:確率変数の関数も確率変数

 X上の確率変数とする。

 h : R R Borel可測関数であれば、

   Y= h (X)

 も確率変数。

   (証明)Y確率変数の定義を満たすことを示せばよい。

   写像Y: Ω∋ω→h [X(ω)]Rを考える。

   各Bに対し、

     Y−1 (B) = X−1[ h−1 (B) ]

   仮定より、h : R R Borel可測関数なので、h−1 (B)  ,for B 。

   仮定より、X上の確率変数なので、X1 (B) ,for B 。

   ゆえに、Y−1(B)=X−1[ h−1 (B) ]  ,for B 。

   ∴Y上の確率変数。 。

   

  (参考文献)

   野田・宮岡『数理統計学の基礎p.15-16は、一次関数のケースのみ。ボレル集合の知識不要。Pp.24-25はきわめて有用。

   柳川堯『統計数学』近代科学社、1990, pp.13-14.は、確率変数の関数が確率変数になる条件を、一般的に論じている。ボレル集合の知識が必要。

   佐藤『はじめての確率論 測度から確率へpp.38-39.

   

reference

文献1.『岩波数学辞典(第三版)』項目47C(p.128), 225B. (pp.626-627)

文献2. 佐藤坦『はじめての確率論 測度から確率へ』共立出版、1994pp.34-44.

文献3. 鈴木武・山田作太郎『数理統計学―基礎から学ぶデータ解析―(第二版)』内田老鶴圃、1998年、pp.21-22

文献4. 矢野・田代『社会科学者のための基礎数学 改訂版』裳華房、1993年、p.150-155. 

文献5. 野田一雄・宮岡悦良『数理統計学の基礎』共立出版、1992年、p.3-4, pp.14-15, pp.24-25

文献6. 柳川堯『統計数学』近代科学社、1990, pp.11-14.