業務内容

知人にお金を貸したけれども約束の日が過ぎても返してくれない,取引先に対する売掛金が焦げ付いている,隣家の建てた塀が自分の土地との境界を越えている,交通事故にあったが賠償額に納得がいかない  など,私人間の権利や義務に関する紛争は,誰にでも起こりうることです。

テレビドラマの裁判シーンはほとんどが刑事事件ですが,実際には弁護士の扱っている事件の大半は民事事件です。

民事事件ではしばしば,双方の当事者の言い分が食い違っていることがあります。

双方の主張する事実が異なる場合には,その事実を裏付ける証拠があるかどうかが問題になります。民事事件では基本的に,自分に有利に働く事実は自分で証明(立証)しなければいけません。

例えば,お金を貸したことを証明するためには消費貸借契約書(借用書)などが必要であり,一方でお金を返したことを証明するためには領収証などが必要になります。

民事事件では,このように証拠をもとにして事実を確認し,それに法律を当てはめて結論を出していくことになります。

もっとも,ある事実があったとしても,結論は必ずしも一つではありません。法律問題を扱う有名なテレビ番組でも,回答者の4名の弁護士の出す答えはそれぞれです。

紛争を解決する方法も,簡単な法的アドバイスで十分な場合から,弁護士が代理人となって相手方と交渉をしていく場合,裁判所に調停や裁判を申し立てる場合など,様々にあります。

このように,紛争はひとつひとつの事案によって異なりますので,インターネットや書籍で集めた情報や,知人の成功談の聞きかじりなどだけで判断するのではなく,ぜひ弁護士に相談してください。

また相談の際には,できるだけ自分の言い分や相手の言い分を整理し,証拠となる書類などを準備していただけると,スムーズで充実した相談を行うことができます。

家庭に関する事件には,主に夫婦に関する問題と,相続に関する問題とがあります。

夫婦に関する問題

(離婚の方法)

夫婦関係がうまくいかなくなり離婚をする場合,方法としては次の3つがあります。

  • 協議離婚−夫婦が合意して,互いに離婚届に署名押印して提出する
  • 調停離婚−家庭裁判所で,調停委員を交えて話し合いをして離婚の合意をする
  • 裁判離婚−家庭裁判所で,離婚が認められるかどうかを裁判官が判断する

(親権)

また,夫婦間に未成年の子どもがいる場合,父親か母親のいずれかを親権者として決めなければ,離婚をすることができません。

親権者を父母のどちらにするかについては,離婚に至った原因(夫婦の問題)とは切り離して,子どもの福祉を最優先にして決めることになります。「家業の跡取りだから」とか「経済力があるから」といった事情で決まるものではありません。

(養育費)

一方が子どもを養育することになると,もう一方の親は養育費を支払う義務があります。養育費の額は,父親と母親のそれぞれの収入を基に算定します。

養育費は原則として最優先に支払う義務があります。「借金の返済があるから養育費は支払えない。」という言い分は通じません。

(面接交渉)

子どもを養育していない側の親は,子どもと面接する権利があります。子どもにとっても,実の親と交流することは望ましいことです。ただし,虐待のおそれがあるなど面接が子どもの福祉に反する場合には制限されることがあります。

(財産分与)

夫婦が婚姻してから作った財産は,プラスのもの(不動産,預貯金,保険など)もマイナスのもの(ローンなど)も,原則として2分の1ずつ分与することになります。

夫名義か妻名義かは関係なく,夫婦で築いた財産は分与の対象となりますが,結婚前からの預金,相続した遺産,生活と無関係な借金など婚姻とは無関係の個人的な財産は対象外です。

(慰謝料)

離婚の原因がどちらかにある場合には,離婚の原因を作った側に対して慰謝料の請求をすることができます。不貞(浮気),暴力,家庭放棄,浪費などが代表的な事例です。

(その他)

以上のほか,別居中の生活費(婚姻費用),離婚時の年金分割などの問題もあります。離婚後のトラブルや,離婚以外の夫婦の問題にも様々なものがあります。

相続に関する問題

人が死亡すると(被相続人といいます),その人の財産(遺産)について相続が発生します。相続・遺産分割についての代表的な問題は次の通りです。

(相続人の調査)

遺産を相続をする立場にある人を,相続人といいます。親族などのうち誰が相続人になるかは,民法で定められています。

相続人を確定するためには戸籍謄本等をさかのぼって取り寄せて調べる必要があります。被相続人が出生したときの戸籍から,相続人全員の現在の戸籍まで一貫して揃える必要があるため,親族が多い場合や本籍地を頻繁に移動している場合などには取り寄せに手間や時間がかかることがあります。

相続に関する事件の依頼を受けた場合には,弁護士が職務上で取り寄せを行うこともできます。

(相続分)

相続人の誰がどれだけの遺産を取得するかは,原則として相続人間の話し合いで決まります。しかし,話し合いで決まらない場合には,法律で定められた割合で取得することになります(法定相続分)。

例えば,配偶者と子どもが3人いた場合,配偶者が2分の1,子供たちがそれぞれ6分の1ずつの割合となります。

なお,被相続人の財産増加に貢献したり,逆に被相続人から生前に資産をもらっていた場合などには,その内容が考慮されることがあります。

(遺産分割の手続)

遺産の分割は,まずは相続人間で話し合いを行います。相続人全員が合意するのであれば,どのような分割方法でも有効ですし,遺言書の指定と異なる分割でも問題ありません。

相続人間での話し合いがまとまらなければ,家庭裁判所に申立を行い,調停や審判手続で分割方法を決めることになります。

(相続放棄)

被相続人が借金を多く遺した場合など,遺産を相続したくない場合には,裁判所に相続放棄の申立をすることができます。相続放棄をすると,最初からその人は「相続人ではなかったので相続とは無関係」という扱いになるため,プラスの遺産もマイナスの遺産も相続しません。

ただし,相続放棄の申立は自分が相続をすると知った日から原則として3か月以内に申し立てる必要があります。また,それ以前に遺産を取得や処分していると認められなくなることがあります。

多くの人は「借りたものは返したい」と思っていますが,借り入れの額や件数が膨らんだり,収入が減ったりなど様々な事情から返済ができなくなってしまうことは決して珍しいことではありません。

経済苦を理由にした自殺や夜逃げなどのニュースがありますが,借金(債務)の問題は法的に解決をすることが可能ですし,いろいろな手段が用意されていますから,思い悩まずに早期にご相談ください。

また債権者からの取り立てについても,弁護士が介入して受任通知を送ると依頼者への連絡はストップしますので,落ち着いて整理を行うことができます。

任意整理

弁護士が,サラ金や信販会社などの金融機関と,裁判所の手続を使わず個別に交渉して債務を整理する方法です。

かつてサラ金などは年29.2%程度の利息を取っていたことがありました。

しかし,利息制限法という法律では,利息は以下の利率に制限されており,それを超えた部分は無効です。

元本が10万円未満の場合年20%
元本が10万円以上100万円未満の場合年18%
元本が100万円以上の場合年15%

まずは取引の最初から制限利息で計算し直して,無効な,払いすぎている利息を元本に繰り入れることで,債務総額を減額します。

その上で債務が残った場合には,それをあらためて分割して支払っていく交渉を行います。

当事務所では,依頼者ごとに口座を開設し,弁済資金を毎月その口座にまとめて振り込んでもらい,当事務所で各債権者に弁済手続を行っています。

任意整理は,裁判所を通さないため柔軟な解決が図れる一方で,強制力がないため交渉が決裂する場合もあるなどのデメリットがあります。

個人再生

裁判所に申立をして,債務を大幅に減額し,それを3年から5年の期間で分割して返済していく方法です。

この手続では,住宅ローンを別枠で扱うことができ,ほかの債務とは切り離して今まで通り支払うことにより,住宅を手放さなくて済むメリットがあります。

住宅ローン以外の債務については,最大限以下の通りの減額が可能です。

100万円〜500万円の場合100万円まで
500万円〜1500万円の場合5分の1まで
1500万円〜3000万円の場合300万円まで
300万円〜5000万円の場合10分の1まで

個人再生はこのように多くのメリットがある反面,任意整理や破産に比べて手続が複雑であり,時間もかかるため,弁護士に依頼することをお勧めいたします。

自己破産

裁判所に申立をして,最終的に「免責許可決定」をもらい,借金をなくする手続です。

自己破産は,経済的に立ちゆかなくなった人の再出発を図るために法律で定められている前向きな制度であり,けっして後ろめたいものではありません。

破産しても戸籍や住民票には載りませんし,選挙権の制限もありません。お金を扱うなどの特定の職業を除いては仕事を辞める必要もありません。子どもの進学や就職などにも影響はありません。

財産についても,20万円以上の価値のあるものは処分しなければいけませんが,日常生活に必要な財産はそのまま持っていることができます。

ただし,個人再生手続と異なり住宅ローンも支払うことはできませんので,住宅は原則として手放さなければなりません。

なお,借金の原因がギャンブルや浪費などであったり,一部の債権者だけに返済をしてしまったり,嘘をついて借金をしたといった事情がある場合には,免責が直ちには認められない場合があります。

自己破産は個人再生に比べれば手続は簡単ですが,上記のように免責が認められない場合など注意すべき点もありますので,まずは弁護士にご相談ください。

近年,長引く不況に伴い労働事件に関する様々なトラブルが後を絶ちません。

また,労働基準法では,労働者を手厚く保護しているとは言え会社に対する直接交渉では労働者は弱い立場にあり労働者の主張を受け入れてくれるケースがあまりないのが実情です。

主な労働事件は以下のものがあります。

解雇

労働者を解雇するには30日前に解雇予告,もしくは平均賃金の30日分にあたる解雇予告手当を支払わなければなりません。また,就業規則で定めている解雇事由又は解雇が客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当と認められるもの以外であれば解雇権の濫用にあたり無効になるものもあります。

解雇は労働者にとって生活の基盤を失うことから特に重要な労働事件と言えます。

まずは会社側に内容証明等により交渉をするケースが原則ですが,勝訴判決が見込まれ緊急性が高い場合は裁判所に地位保全,賃金仮払仮処分の申立てをすることもできます。

 

時間外労働手当等の未払い

会社側が人件費を抑制するため割増賃金を支払わない,いわゆるサービス残業をさせるケースがあります。労働基準法では,法定労働時間を超える労働に関しては割増賃金を支払わなければならないと定めております。

会社側に未払いの割増賃金を請求するにあたり,まずは自分がいつ,何時間残業をしたか確認する必要があります。そのためには,タイムカードや業務日報等客観的に証明できる資料を確保することが重要です。

その他

労災保険の不支給,長時間労働による健康被害,セクハラ等様々な問題についても法的な観点から弁護士が相談に応じます。

※依頼者の事案によって見解が分かれますので,まずは弁護士に相談してください。