玩具館

異形コレクション ⅩⅩ

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井上雅彦 監修
カバー造形 韮沢 靖
カバーデザイン 奥沢 潔(パークデザイン)
光文社文庫
ISBN4-334-73212-7 \838(税別)

 "異形コレクション"、20巻目のテーマは"玩具"。何を隠そう今回はあんまり期待していなかったんであるけれども、それが却って良かったのか、意外に楽しめる一冊。執筆者の顔ぶれがかなり変わったせいか、結構新鮮な感じもあったかな。んでも「怖さ」って点では少々パワー不足かも知れない。不条理な怖さ、ってのはあるんだけど、こう、なんていうかな、読んでて背筋がぞわっとするような怖さがちょっとない感じ。

 でも総じて良質の短編が集まっていると思った。「銀河帝国の興亡も筆の誤り」で死ぬほど笑かしてくれた田中啓文さんが、ちゃんとした(失礼!)SFホラー(あーでもやっぱりちゃんとしてはいないか、ぐろぐろ、ぬちゃぬちゃだモンなぁ)を書いてたり、初めて読む朝暮三文氏の不条理きわまりない短編、同じく初登場の青木和氏のやたらとリリカルな猫小説、文系の頭をちくちくと刺激してくれる理系ホラー、竹本健治氏の作品、極めつけは「慎治」の今野敏氏によるプラモオタ・ホラー(なんだそりゃ)、「未完成の恨み」。モデラーは読むべし(^^;)。そういえばだいぶ前の"モデルグラフィックス"誌に、積んどくモデラーの部屋には"かんせーせん"って妖怪が棲みついてる、なんてヨタ記事が載ってたのを思い出しちゃった。

 ということで今回はわりと楽しめました、なんですがこのシリーズ、発売元が光文社に移ってから、ヨコジュンさんの押川春浪シリーズが載らなくなっちゃったのは寂しいなあ。

01/9/13

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