Anything Box


'01 Favorite Albums
1. Simple Soul (Eddi Reader)
2. Trouble in Shangri-la (Stevie Nicks)
3. Fat Chance (Biscuit Boy aka Crackerman)
4. This Way (Jewel)
 
以下特に順番無し:
・A Funk Odyssey (Jamiroquai)
・I Tried to Rock You, But You Only Roll (Leona Naess)
・Motherland (Natalie Merchant)
・Rules for Jokers (Thea Gilmore)
・Songs in Red And Gray (Suzanne Vega)
・Blue Boy (Ron Sexsmith)

*上記以外で印象に残った曲

*番外


今年は音楽的には豊作と言える年だった。ただ同じ時期にまとまって良いアルバムがリリースされるものだから、1枚1枚を聞く時間をあまり取れなかったのが残念。リリース延期はあまり頻繁にしないでくださいね>特にユニバーサルさん。

1. Simple Soul (Eddi Reader)
当然だとお思いでしょうが。
いままでよりも自然体のEddiの歌声が聞けるこのアルバムは、ある意味画期的な作品。初めて耳にした時から聞き馴染みがあるように感じられる親しみやすいメロディに乗って、Eddiがリラックスした、しかし隅々まで神経の行き届いた丁寧な歌唱を聞かせる。声の聞かせ方、音の響きも豊かで、これまでのアルバムよりもライブに近い感触があり、バックの演奏もEddiを的確にもりたてている。むやみやたらに声色を変えたりフェイクしたりするまでもなく、穏やかに歌いつつも深い感情表現を出来ることをEddiはあらためて示している。今年の来日公演も生涯忘れられない充実した体験だった。
ベスト・トラック:I Felt A Soul Move Through Me

2. Trouble in Shangri-la (Stevie Nicks)
久し振りのアルバムは以前から伝えられていたようにSheryl Crowとのコラボレーションを含み、Sarah McLachlanを始めとした豪華ゲストも参加していたが、それが前面に出過ぎることなく、あくまで主役はStevieであることがはっきり感じられるサウンドとなっていることがまず嬉しかった。以前とは声質が変わったものの張りを取り戻したStevieの歌声は凄みすら感じさせ、なかでもタイトル曲はStevieのキャリアを代表する名唱となった。久し振りのロックナンバーでSherylとデュエットしているFall from Graceも強烈な印象を残す。このアルバムに伴うツアーを見られたことも忘れ難い。
ベスト・トラック:Trouble in Shangri-la

3. Fat Chance (Biscuit Boy aka Crackerman)
イギリスを代表するバンド、The Beautiful Southのリーダーにしてメインシンガー、ソングライターであるPaul Heaton初のソロアルバム。これまでとまったく違ったことをやっているわけではないし、Dave Hemmingwayに似た声の男性ボーカルや女性ボーカルが入ってグループを思わせる瞬間もあったりするが、よりルーツ色の強いサウンドでよりソウルフルな歌を聞かせるPaul Heatonの歌声が前面に出ていることが好ましい。The Beautiful Southの初期の頃に聞かれたような歌い方を、いまの滋味の増した声でされるともうたまらない。Paul Heatonの豊かな才能を示す傑作。
ベスト・トラック:10 Lessons in Love

4. This Way (Jewel)
前作Spiritではいかにもスタジオ録音用のよそいきの歌い方をしていたJewelが好きになれなかった(というか、ライブ見るまで嫌いでほとんど聞くことはなかった)。しかし、Love Me Just Leave Me Aloneなどのロック度の高い曲も入った今作は、だいぶライブでのJewelに近い音作りになった。歌い方も声の響き方も自然になり、Jewelの歌声がこれまでより遥かに耳に馴染みやすい。自分の思った通りに作ったという感じで自信に溢れており、JewelにとってはSheryl Crowの2作目的な位置付けのアルバムだろう。作って欲しいと思っていたアルバムを、やっとJewelが作ってくれたと感じる。間違いなくJewelの最高傑作です。The New Wild Westは新境地を開いた傑作。
ベスト・トラック:The New Wild West

以下特に順番無し:
・A Funk Odyssey (Jamiroquai)
自己のサウンドを確立したTravelling Without Movingに続く前作は、ディスコ系に大きく振った、少し安易さも感じさせる中途半端な作品だった。しかし今作ではプログラミングとの折り合いの付け方もうまくなり、馴染むまでは時間がかかるものの、聞き応えのある作品となった。時代の最先端を走っていた初期とはだいぶ音楽性が変わったが、それでも”らしい”サウンドと思わせてしまうのはJay Kayの声と、アルバムを一つのパッケージとしてまとめようというこだわりからか。ただそのこだわりゆえか、ボーナストラックがアルバム本編よりFunkさを感じさせてしまうところに今後の課題が覗く。
ベスト・トラック:Black Crow

・I Tried to Rock You, But You Only Roll (Leona Naess)
前作に入っていたAlanisを意識したような曲がなくなり、DevoやBlondieを彷佛とさせるようなちょっとレトロなグルーブを持った曲が増えて、アルバムのカラーがだいぶ明るくなった。必ずしも成功している曲ばかりではないが、Leonaの声にぴたりとはまるとなんとも言えない魅力がある。Leonaの持ち味であるミディアム〜スローなナンバーは前作以上に魅力的で、同世代の女性シンガー(現在26歳)の中では際立っている。ジャケット写真は今年のベスト(笑)。
Shelby Lynneと並んで、いま最もライブが見たいアーティスト。
ベスト・トラック:Promise to Try

・Motherland (Natalie Merchant)
アラビア風のイントロで始まる1曲目からこれまでとの違いを意識させられるが、聞き進むほどにNatalie Merchantの音楽性の確かさが感じられる力作。実験的な前半、これまでのNatalieのイメージに近く聞きやすい後半と色づけできるが、共通するのは静かだが凄みも感じられる説得力のある歌声。信頼に足る実力を示したアルバム。
ベスト・トラック:I'm Not Gonna Beg

・Rules for Jokers (Thea Gilmore)
以前からイギリスの雑誌で取り沙汰されていて気になっていたものの、実際耳に出来たのはごく最近。しかし一聴しただけで耳を奪われた。ルックスはRickie Lee Jonesをこわもてにしたような感じだが、声はしっとりと落ち着いており、曲調は弾語り風のフォーク調、ストリングスが入った優しいものからハーモニカの印象的なポップナンバー、Dire Straitsに通ずるようなロックナンバー、パンクっぽいものまで幅広い。今後の要注目アーティスト。

・Songs in Red And Gray (Suzanne Vega)
これまで特にファンというわけではなかったが、CD屋の店頭で流れている曲を聞いて購入。名プロデューサーMitchell Froomと別れて、ここ数作の実験的な路線から以前のようなフォークポップ路線に回帰したが、昔よりもだいぶ音楽的に豊かに、また呟くようにしか歌えなかった歌もかなり上手くなった。

・Blue Boy (Ron Sexsmith)
プロデューサーが変わって、これまでよりバンド色の強い泥臭いサウンドとなったぶんRonの歌声だけが目立ち過ぎることがなくなり、だいぶ聞きやすくなった。自然と体に馴染む、聞いていて和めるサウンド。

上記のアルバム収録曲以外で印象に残った(新)曲:
・The Waltz (Silje Nergaard)
今年はSiljeのアルバムが2枚も国内リリースされたという意味でもとても嬉しい年だった。来年も早々に新作の発売が予定されており、やっとその実力に見合う扱いを受け始めたかという感じがある。
この曲は初のジャズ・ボーカル・アルバムとなったPort of Callに収録されていた曲で、アルバム中唯一の自作曲。誰よりも自身の声の特性を理解したSiljeが書いた極上の一曲。初めてこの曲を聞いた時には、その艶やかな声に涙が出た。今年のNo.1ソング。

・This Train Don't Stop Here Anymore (Elton John)
素晴らしかった来日公演で演奏された新作からの曲はライブではどれも'70sの名曲群にひけを取らない出来だったが、その中でも曲の良さが際立っていたのがこの曲。足下を見つめ直したEltonの決意表明といった感じで味わい深い。

・Women Seem (John Mellencamp)
男の立場から見た女性観をコミカルに表現したこの曲はライブで聞いた時から気に入っていたが、本当にアルバムに収録されるとは思っていなかった(笑)。スタジオ録音版はとてもJohn Mellencampらしいアレンジ。

番外:
・America: A Tribute to Heroes
9/11の悲劇的な事件を受けて製作されたテレビ特番から生まれたアルバムだが、各アーティストが思い思いの曲を真摯に歌う姿が印象的。Stevie Wonder, Bruce Springsteen, Neil Youngなどは語り継がれるような名演だろう。

・Greastest Hits Live (Daryl Hall John Oates)
やっとまともな再評価を受け始めたHall & Oates全盛期のライブがついに公式音源としてリリースされたという意味で画期的で涙物(真剣)。これに引き続いてニューアルバムはもちろん、Acoustic Powerツアーのライブアルバムなんてのが出ると嬉しいのだけど。


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