John Mellencamp
('01/8/6@Red Rocks Amphitheatre - Morrison, CO, USA)


 ニューアルバムの発売を9月に控えるJohn Mellencampのコンサートを見ました。16年前に一度だけ来日したのことがあるもののもう日本には来てくれないと思われるため、タイミングが合えば以前から見たいと思っていた人の一人です。今回の旅行の日程はこの人のコンサートを見られることを条件に決めたのでした。

 会場はStevie Nicksがライブビデオの収録に使ったこともあるデンバー郊外のRed Rocks Amphitheatreで、恐竜が出てきそうにも思える赤色の巨岩郡がいたるところに林立するなかを切り開いて作った会場です。客席の両側もやはり斜めに横たわる巨大な一枚岩で囲まれているのですが、場所によっては観客席からデンバーの夜景も見ることができるという、日本ではもちろんアメリカでもなかなか体験できないシチュエーションでのコンサートとなりました。

 会場に入ったのは8時の直前で、ツアーグッズを買っているうちに(裏面に手を広げているJohnとその横でパラソルを差し掛けているブロンドの女性のカラープリントがあって、その下に"Life Ain't Grand!"と書いてある(←”らしい”と思った)Tシャツを買いました)、前座のTrisha Yearwoodの演奏が始まりました。5人編成のバンドを率いて、本編45分+アンコール一回という構成で、曲によってはロックよりの曲調でMelissa Etheridgeを彷佛とさせるTrishaのボーカルはうまかったです(しかし、いつのまにあんなに体格よくなったのでしょう?)。グラミーを獲ったHow Do I Liveで本編を締めた後、歓声に促されて出てきたアンコールでは、Stevie Nicks & Eaglesと一緒にベネフィットコンサートに出た時の話をしたあと、ギタリストと二人で、Fleetwood MacのLandslideを演奏しました。The Danceでの演奏の印象が強い曲ですが、なかなかうまくこなしてたと思います。

 John Mellencampのステージは9時15分頃に始まりました。ピンクの花吹雪の中、茶色のシャツと濃紺のパンツという格好のJohnが登場すると会場はいきなり全員総立ち状態に。オープニングの曲はなんだっけかな?と思っていたら、コーラスでRolling StonesのGimme Shelterと分かりました。意外なスタートでしたが、女性コーラスを大きくフィ−チャ−したこの曲は、この後演奏された他の曲と雰囲気がよくあっていました。以下がセットリストです:
1. Gimme Shelter
2. (新曲)
3. Jack & Diane
4. Key West Intermezzo
5. Minutes to Memories
6. Your Life is Now
7. (新曲)
8. Paper in Fire
9. Crumblin' Down
10. Women Seem(新曲)
11. (新曲)
12. Small Town
13. What If I Came Knockin'
14. Authority Song
15. R.O.C.K. in the USA
(Encore)
16. Pink Houses
17. Check It Out

バンドはギターX2、ベース、パーカッション&キーボード、バイオリン、ドラムと3人の女性コーラスという9人編成でした。Gimme Shelterのあといきなり新曲が演奏されましたが、観客が一緒に歌えるコーラス部を持った、原点に戻ったかのようなシンプルなサウンドでよかったです。他に演奏された2曲の新曲はいずれも最近の路線を押し進めたかのようなルーツロックで、女性コーラスが大きくフィーチャ−された点が新鮮でした。

 3曲目に演奏された代表曲、Jack & Dianeではイントロから大盛り上がりで、コーラス部に限らずほぼすべてを会場中が大合唱。この曲がいかに愛されているかがわかる反応で、間違いなく今日のベストモーメントの一つでした。この後Johnが一旦ステージ脇に出た後ギターを持って戻ってきて、Key West Intermezzoが演奏されましたが、ギターを持っての演奏はこの曲ともう一曲だけであとは歌に徹していたのは、いつもギターを持った姿が連想されるだけにちょっと意外でした。そのかわり、小さい体ながらもステージの上を動き回ってバンドメンバー(特にバイオリン奏者)とさかんに掛け合いをしたり、要所要所では小気味良い動きでしっかり決めてくれ、観客を乗せる術を心得ているという感じでした。声量は若干落ちていたようにも思いましたが、時おり発するシャウトはかすれることなくちゃんと出ていました。

 一度メンバー全員が下がってステージが暗転した後に演奏されたPaper in FireはイントロがWild Nightを思わせるものとなっており、その後のアレンジもCDバージョンから大幅に変更されてバイオリンが大きくフィーチャ−された、とても聞き応えのある演奏でした。今日のベストトラックの一つと言えます。バイオリンを弾いていた女性はLisa Germanoではないようでしたが、半数近くの曲でソロを取るという活躍振りで、Sheryl Crow BandのLorenza Ponceをも超える存在感がありました。

 やはりコーラス部は会場中の合唱となったCrumblin' Downのあと、ふたたびメンバー全員が下がった後にJohnが一人でギターを持って登場して一曲演奏しましたが、女性との関係をコミカルに歌った即興かと思わせるような歌詞で、会場の笑いを取っていました(でも本人の表情は真剣)。ここらへんからステージに設置されたスクリーンに白黒の映像が写るようになり、(私は29列目だっただけに)演奏するJohnの姿を良く確認できたのは良かったです(アングルも観客席からは不可能な角度で非常に良かった)。この曲のあとはフルバンドで新曲を披露した後、女性コーラスがイントロ代わりにラップのような歌を歌った後、トップを紺のTシャツに着替えてJohnが登場、Small Town(個人的に彼の最高傑作だと思う)が始まりました。この曲はやはり人気があるのか、ワンコーラス目が終わって"Hey!"とやるところはHall & OatesのPrivate Eyesよろしく見事に揃っていました(腕の突き上げも)。この曲からはほとんどノンストップ状態で最後まで飛ばしっぱなしで、R.O.C.K. in the USA(意外とあっさりした入り方をしたものの間奏部でJohnが尊敬するアーティスト達へのオマージュを捧げたあと一気に盛り上がった)が終わった時には会場中がスタンディングオベーション(ほとんど立ちっぱなしだったけど)を贈っていました。

アンコールで登場したJohnはTrisha Yearwoodを紹介し、JohnとTrishaのデュエット状態(Trishaのソロもあった)でPink Housesが演奏されました。このときのスクリーンに写った映像は最高で、John, Trishaを基本に、バイオリン奏者やリードギター奏者を巧みに絡めた映像は、ステージがまともに見えない人をも満足させるものでした。そして最後はちょっと懐かしいCheck It Out(これが定番なのでしょうか)でコンサートは終了しました。アンコールを含めて約1時間40分のステージで、意外とシングル曲重視だったものの、音が生きているバンドの演奏と周りの熱狂振りに満足できたコンサートでした。

 

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