Anything Box
*'00 Favorite Albums
1. Time to Kill - Sophie Zelmani
2. Painting It Red - The Beautiful South
3. Silver & Gold - Neil Young
4. I Am Shelby Lynne - Shelby Lynne
5. Comatised - Leona Naess
6. It's Like This - Rickie Lee Jones
次点:
Sailing to Philadelphia - Mark Knopfler
たくさん買ったようでいて例年以上に旧譜が多かった1年。新譜だけでベスト10を選べるだけの枚数は買っているけれど、そのなかからコメントつけるに足るものに絞ります。本当なら年末に買ったSiljeの"Port of Call"はこのなかに飛び込んでくるのだけど、イギリスで来年早々リリースされるということでSophieの例にも倣って来年にまわします。
1. Time to Kill - Sophie Zelmani
今年初めから不動の1位。本国スウェーデンでは去年の11月、イギリス、日本では遅れて4月に出たSophie Zelmaniの3作目。
前作の路線を発展させつつより親しみやすくなったサウンドに(もちろんうまくなったが)変わらぬSophieのボーカルが心地よい。プロデューサーのLars Halapiと二人だけで作ったという感じの曲が減って音数が増え、バックコーラスも増えたがその使い方は効果的で暖かみを感じさせる。歌詞もふっきれたかのように前向きになった。(輸入盤で)最後の曲FireはSophieの魅力が最も良く出た曲で今年のNo.1ソング。それにしても来日公演の話はどうなった?
2. Painting It Red - The Beautiful South
イギリスでは絶大な人気を誇るトップバンド、The Beautiful Southのオリジナルアルバムとしては7作目となるアルバム。
クワイヤが入ってたりリズムを前面に出すなどR&B的要素を大きく取り入れてリフレッシュした前作Quenchの路線を受けつつ、従来からの魅力である流麗なメロディラインは相変わらず。そして3人の優れたシンガーがいるからこそ作れる音づくりがこのアルバムではされている。
バウンシーなサウンドにボーカルがのっかるJust Checkin'やCloser Than Mostのような曲があったかと思えばPaul Heatonの歌声が美しいChicken Wingsのような曲もあったりで曲調はバラエティに富んでいる。Paul HeatonとDave Hemingwayのデュエットが復活したのもポイント。Jacqueline Abbottが加わった第2期The Beautiful Southの完成形と言える、実力のあるバンドにしか作れないサウンドが聞ける(Jacquelineがこのアルバムの発売後脱退してしまったのは残念)。Cambridge Folk FestivalでPaul Heaton & David Rotherayのステージを見ることが出来たことも今年最大級の思い出となった。
3. Silver & Gold - Neil Young
キャリア30年をこえる大ベテランNeil Youngの最新作。これまで特にファンだったというわけではないが、このアルバムのおかげで一気に好きになってアルバムを集めだすこととなった。
グランジ系のバンドにゴッドファーザーと崇められることもあるNeilは時々アコースティックな路線に戻ってくるが、このアルバムもまさにそんな一枚。それだけに名作Havestや'93のHarvest Moonと対比して語られるが、このアルバムの歌詞にはこれまでの人生を振り返り見つめ直すという視点で語られたものが多く、その曲調はとても穏やかで優しい。Neilに大きな影響を受けたSophie ZelmaniのTime to Killと共通する点も多く感じられる。
4. I Am Shelby Lynne - Shelby Lynne
カントリーシンガーとしてデビューしてアルバムを5作発表していたShelby LynneがSheryl CrowのデビューアルバムをプロデュースしたBill Bottrelをプロデューサーに迎え、路線を大転換した傑作。
ルーツロック、フォーク、ジャズ、カントリーを織りまぜたサウンドそのものも刺激的だがAretha FranklinやDusty Springfieldを連想させるソウルフルな彼女の声こそが最大の魅力。それだけに、Sheryl Crowの時には声をいじり過ぎたきらいのあるBill Bottrelが彼女の声を活かすような音づくりをしたのも大きい。現在最もライブを見てみたいアーティスト。
5. Comatised - Leona Naess
ノルウェー出身、イギリス育ちでアメリカからデビューしたLeona Naessのデビュー作。Diana Rossは一時継母だった。
大富豪の娘でモデルとしてのデビューが先だったということもあって七光り的に見られがちだが、'90sの女性アーティストの流れを汲みつつもサウンド、歌詞ともに彼女の個性が感じられるのがいい。その声と唱法はEdie Brickellを彷佛とさせる。今後10年のブライテストホープとなる可能性十分。
6. It's Like This - Rickie Lee Jones
女性アーティストの草分け、Rickie Lee Jonesの3年ぶりの新作。'83のMy Funny Valentineや'91のPop Pop同様、全編ジャジーなアレンジでまとめられた作品。
TrafficやSteely Danなどジャズ的要素も取りいれていたバンドの曲のカバーも収録したことで、完全にジャズの世界にいってしまうことなくアコースティックな感触が残っている。自分で曲を書かなかったことで逆にRickieのシンガーとしての魅力が際立っているのが本作の成功のポイントだろう。彼女が女性シンガーの一つのボーカルスタイルのオリジネイターであることが良く分かる。アコースティックなライブ盤のNaked Songsの発展系と考えることもできる。
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