Time to Kill
(アルバム, '99)
エピックソニー, ESCA8136(日本盤)
Columbia, COL496401 2(スウェーデン盤)


曲目Cover of Time to Kill
1. My
2. Losing You
3. Nostalgia
4. Time to Kill
5. Why
6. Happier Man
7. Dreamer
8. On Your Way
9. I Don't Know
10. Gone So Long
11. Fire
12. Most Inconvenient Time

(12 は日本のみのボーナストラック、また日本盤はエンハンストCD仕様で、Time to Killのビデオクリップを収録)

クレジット
(ソングライティング)
 All except 2. Sophie Zelmani
 2. Lars Halapi
(プロデュース)
 Lars Halapi

解説
'99の11月3日にスウェーデンでリリースされた第3作(日本では2000年4月19日発売)。前作から1年9ヶ月でのリリースとなったが、Sophieはこの間に出産しており(ライナーとオフィシャルサイトに写真が載ってます)、製作そのものは3ヶ月弱と早かったようだ。

1曲目のMyのイントロはI'd Be Brokenに似ているので1stの路線に一瞬戻ったかと思わされるが、途中John LennonのJealous Guyを彷佛とさせるピアノの音などが入り、アルバムがPrecious Burdenの路線を発展させたものであろうことが判る。続く2曲目のLosing Youなどは前作に近い歌詞を持つ曲だが、リズミカルな曲調は今までなかったものだ。アルバムのタイトルトラック、Time to Killは曲調自体は1stの時にわりと近い雰囲気を持つが、Sophieの歌は明らかに2ndの雰囲気を持つ。曲のバリエーションも前作より増え、一聴しただけでは”影”の部分が印象に残りがちだった前作よりは聴きやすくなっている。メロディの一音一音がよりくっきりとしており、曲の構成にも変化をつけたものが増え、歌詞のテーマも前作での”別れ”から”想い出”にと微妙な変化が見られる。

ボーカル・コントロールに成長が見られる。多彩な曲に様々なアプローチをすることで表現の幅を広げていっているJewelとは対照的に、小技を随所で駆使して微妙な感情表現をする方向にSophieは進んでいる。一語一語大切に歌うスタイルのためにJewelのような振幅の大きさがなく、声のトーンにあまり変化がないように思われがちだが、注意して耳を傾ければその表現力がさらに増していることに気付くだろう。

佳曲が並ぶが、Happier Man、Nostalgia、Dreamerと最後のFireが特に印象深い。Nostalgiaの歌詞はタイトルから想像する程甘い内容ではないが、メロディはあくまで優しい。Happier Manは後半テンポが上がっていく演奏が快活な印象を与える。Sophie自身アルバム中で最も気に入っている曲のようだ。Dreamerはセピア色の想い出を歌にしたような曲で、残響感のあるコーラスが耳に残る。ピアノの旋律から始まるFireは、恋人への思いを切々と歌い上げるSophieの歌と、その後のインストパートでのドラマティックな展開の対比がいい。この曲は前作でのVacationと同様に、爽快感を残してアルバムを締めくくってくれる。

日本のみのボーナストラックとなったMost Inconvenient Timeは曲調はやはりアコースティックだが、ベースが少しレゲェ調に聞こえる。Sophieの曲には珍しく歌詞が曲に対して多く、ちょっと歌い急いでいる感じもする。

また日本盤はエンハンストCD仕様となっていて、CD-ROMドライブに入れるとマルチメディア部分を再生出来る。部屋を模したところ(外の景色が変化していく!)にスクリーンがかかっていて、絵の具のスイッチを操作する事により、Time to Killのビデオクリップと5枚の写真(3枚目がいいなぁ)を見る事ができる。

コマーシャル性はそれほどないかもしれないが、Precious Burden同様大切に聴き続けたいアルバムである。

 

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