Paul Heaton & David Rotheray @ Cambridge Folk Festival (July 29, '00)


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Cambridge Folk Festivalの3日目にデュオとして出演したThe Beautiful Southのソングライター二人、Paul Heaton & David Rotherayのステージを見ました。この二人がグループとは別にコンサート会場で二人で演奏するというのは初めてのことで、それだけにこの日のステージは貴重度の点では同フェスティバルでのEddi Reader & Boo Hewerdineによるライブよりも高かったです。フェスティバルのプログラムによるとBBCのIn the Round というテレビ番組(Unpluggedみたいなもんか?)に二人で出演した際にインスピレーションを受けて今回の出演が決まったらしいです。グループ全員が揃ったわけではないとはいえ、イギリスにおいてはこのフェスティバルに出演したたくさんのアーティスト達の中で断トツの人気を誇る(ウェンブリーアリーナをソールド・アウトにする人気がある)この二人が少し小さめな会場で演奏したということもあって、会場の反応は非常に熱狂的なものでした。私自身も'92の唯一の来日公演以降初めて、しかも去年は彼等だけを見る為にイギリスに来たのに予定していた2回の公演が共にキャンセルされて見ることが出来なかった(泣)だけに、まさに念願叶ったコンサートとなりました。ステージ最前列中央(Paul Heatonの真ん前!)に陣取っての鑑賞でした。

David RotherayのギターだけでPaul Heatonが歌うという形でステージは進行していき、50分強で12曲が演奏されました。セットリストは次の通りです:
1. Old Red Eyes is Back
2. Especially for You
3. (新曲!)
4. One Last Love Song
5. Rotterdam
6. (新曲!)
7. (新曲!)
8. Don't Marry Her
9. Blackbird on the Wire
10. The Table
11. (新曲!)
12. Perfect 10

予定より約10分遅れてまずPaul Heatonが、続いてDavid Rotherayが登場。Paul Heatonは思っていたよりもスマートになっていて(気のせい?)、David Rotherayは鬚を少したくわえて帽子を被っていました。最初に演奏されたのは彼等の代表作0898の冒頭を飾るOld Red Eyes is Back。この曲はイントロから盛上がり、いきなり合唱が起こります。この後も合唱は度々起こり、本国イギリスでの彼等の人気を確認できて嬉しかったです。次のEspecially for Youはちょっと意外な選曲だったのですが、Paul本人が気に入っているのでしょう、イギリスでのライブでは度々演奏されているらしいです。そして3曲目は"New Album"からの新曲と説明があり、すかさず観客から”タイトルは”との声が上がると、"New Album"と一蹴(笑)。彼等だとほんとにこういうタイトルになるかもしれないことを観客も理解しているだけにこれには爆笑でした。続いて演奏されたOne Last Love Songではやはり大合唱が起き(汗、私は歌詞覚えてない)、そして次にアルバムではJacquelene Abottが歌っていたRotterdamがPaulによって歌われました。この後また新曲を披露した後、Paulの紹介を受けJacqui登場!ずっと二人だけで演奏するもんだと思っていた為これにはかなり驚かされました。登場後いきなりリードを取って新曲を披露した後、Don't Marry Herが演奏されました。続いてはPaul Heatonが再びリードを取ってアルバムBlue Is the ColourのベストトラックBlack Bird on the Wire。こういう歌では彼の歌のうまさがよくわかります。そして現在のところの最新作Quench収録で彼等のキャリアの中でも屈指の名曲The Tableが演奏されました。この曲はアルバム発表後のツアーではゴスペルコーラスを配して演奏され、シングルカットされた際もそのようにアレンジされて再録音されたのですが、このようなメロディの綺麗な曲はやはりアコースティックでこそその真価を発揮すると感じさせられました。演奏中はもうひたすら聞き入ってしまいましたが、演奏後は一段と大きい拍手を浴びていました。この後はPaulとJacquiのデュエットで新曲が披露されました。この前のJacquiの2曲はいずれもJacquiが一人で歌い、その間Paulは椅子に座って休んでいたので、二人のデュエットはこの曲がこの日始めてになります。もちろん私にとってはこの二人のデュエットを生で見るのは初めてなので、二人が一緒に歌っている姿を見ることが出来て感激しました。そしてイントロでは誰も分からなかったのですが最後にPerfect 10が演奏され、Paulが "She's a perfect 10"と歌いはじめると会場から大歓声が上がり、また大合唱が起こりました。演奏が終了し彼らが下がった後もMCの言葉など誰も聞かず大歓声がしばらく続いていたのですが、アンコールがなかったのが少し残念でした(多少遅れても彼等の人気を考えれば誰も文句言わないだろうに)。

この日のPaul Heatonは喉の調子(これが去年キャンセルされた理由だった)も良くハイトーンまできれいに伸びていて、さらに3, 6, 8, 11曲目ではハーモニカも演奏するなど以前の来日公演では見られなかった光景も見られました。終始機嫌も良く、観客の反応を見て満足そうに歌い、時折彼ならではのジョークで会場を笑わせていました。David Rotherayはずっと椅子に座って一人でギターを弾いていた姿がクールでした。新曲の4曲はどれもミディアム〜スローにアレンジされていましたが、6曲目などはアップテンポにしても問題ないと思われる曲でした。

8年ぶりに彼等の姿を見ることが出来ただけでも満足なのですが、アコースティックでの演奏で彼等の煌めくようなメロディの数々とPaul Heatonの滑らかな声が引き立てられ、非常に素晴らしいライブでした。やっぱり見に来て良かった。

 

*Cambridge Folk Festivalのオフィシャルサイトでレビューが読めます。

 

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