Eddi Reader @ 心斎橋クラブクアトロ(March 10, '01)
2年5ヶ月振りとなる待望の来日公演の初日、大阪公演を見ました。会場はいつものように心斎橋クラブクアトロで、前回ここで見たコンサートは会場が悪かった東京公演よりも遥かにいい雰囲気で、東京公演より20分以上長い充実の内容だったので今回も期待してやって来ました。
30分近く遅れて開場となり中へ入ったところ、前回同様ステージ前は座り込んで荷物を横に置き必要以上のスペースを取っている人多数で、この点は前回同様失望させられます(大阪には通勤ラッシュはないのですか?)。ライブハウスなのに。ライブ中の反応が良いだけに残念なことです。7時10分前くらいにアンプから大きな異音がしてにわかにスタッフに緊張が走りましたがなんとかおさまり、本番が始まるのを待ちます。7時を過ぎてもうそろそろかと思っていると、7時6分くらいにステージが暗転し、バンドメンバーが入ってるくかと思いきやEddiが一人で登場。歓声の中"Hello"と言ったあとアカペラでいきなりClareを歌いはじめました。いつものように体でリズムを取りながらの熱唱に、会場からは自然と手拍子が沸き起こりました。Clareを歌い終わるとバンドメンバーが続々と入場してきてWolvesが演奏されました。
今回のバンドはCambridge Folk Festivalのときのようなアコースティックな構成ではなく、イギリスツアー同様のフルバンドでした。メンバーはBoo Hewerdine(アコースティックギター、ボーカル), Roy Dodds(ドラムス、パーカッション), Graham Henderson(!!、キーボード、アコーディオン、ボーカル), Johnny Scott(エレクトリックギター、ボーカル、ペダルスティール), Tim Harries(ベース)の5人で、前列右からGraham Henderson(髪がBooより少し長い程度なのでFairground Attractionと一緒に来た時とはかなり印象違います)、スツールに座ったBoo、Eddi, Johnny Scottで後列にRoyとTim Harriesがいました。今日のEddiは紫のワンピースを着て首にはペンダントをかけ、腕にはブレスレット2つとタトゥーを貼って、いつものように裸足でした。私は開演後にじわりと前に動いてステージほぼ中央(若干左寄り)の前から2列目で見ました。今日演奏されたのは2回のアンコール含めてトータル20曲で、約1時間50分の演奏でした:
(セットリスト)
1. Clare (アカペラ)
2. Wolves
3. Joke (I'm Laughing)
4. Candyfloss
5. Find My Love
6. Kiteflyer's Hill
7. Prodigal Daughter
8. The Girl Who Fell in Love with the Moon
9. The Wanting Kind
10. Simple Soul
11. Hummingbird
12. Patience of Angels
13. Please Don't Ask Me to Dance
14. The Right Place ~ Everybody's Talkin' (メドレー)
(Encore 1)
15. Lucky Penny
16. Honeychild
17. Wings on My Heels
(Encore 2)
18. Perfect
19. Everthing
20. Footsteps Fall
Wolvesはアルバム同様穏やかな演奏にのってEddiがリラックスした歌唱を聞かしてくれたのですが、最後の方でEddiは狼の鳴き声をまねし、さらに羊の鳴きまねにつづいて銃を持った羊飼いが狼を追い払う仕種をして会場を笑わせました。お茶目なEddi(^^)。これにはRoyとBooも優しくEddiに笑いかけてました。続いてJokeが演奏されましたが、コーラス直前の部分などでJohnny Scottのギターがいいアクセントとなっており、今までとはひと味違う演奏となってました。Johnny Scottはこの後も大活躍で、Eddiの信頼を得るに足る演奏を披露してくれていました。Eddiもいつものように全身を使った表現で、日本に来るちょっと前まではハスキーに感じられた声の調子も良いようでした。
続くCandyflossは最初のうちこそEddiは腕を大きく動かしながら歌っていたのですが、曲が進むにつれて歌に専念するようになって、聞き手を静かに昂揚させてくれる絶妙な歌唱を聞かせてくれました。この曲は今日のベストトラックの一つだと思います。"This is a new song."と次の曲を紹介してギターを持ったので私はてっきりThe Wanting Kindを歌うのかと思ったら、Find My Loveを歌いはじめました(この曲Eddiはほんとに気に入ってるんですね)。すかさず私の視線はステージ右端に向かったのですが、期待通りGraham Hendersonがアコーディオン持ってました :-)。なにやら隣のBooとペチャクチャ喋りながらの演奏でしたが、この人のアコーディオン付きでこの曲が聞けるというのは貴重な体験だと思います(しっかりソロもありました)。Eddiの方もほんとに楽しそうにギター弾きつつ歌ってくれ、最後の部分では楽し気な踊りの他に昔を思い起こさせるかけ声まで聞かせてくれました。
Find My Loveの演奏後ミネラルウォーターのボトルを取り上げて飲む前に観客のエネルギーを集めるかのような仕種をして会場を笑わせた後、「次の歌は失恋させられた相手のことを思いながら歩いていることを歌った歌」と紹介し、「私のハートはコンクリートでできてるから私はそんなことないけど」と言ってまた会場を笑わせてました。今日は全般的にこのようなジョークが多く、機嫌がよほど良かったのでしょう。その後「ロンドンにある丘のことで。。。」と紹介してKiteflyer's Hillを歌いはじめました。この曲ではEddiの歌はもちろんブラシを使ったRoyのドラミング、Johnny Scottのギターが素晴らしく、じわりと染みてくる演奏でした。
「一緒に歌ったり、踊ったりしてね」とのEddiの言葉に続いて始まったProdigal Daughterはイントロでの右の3人(Roy, Boo, Graham)によるアコースティックな演奏と、後半のフルバンドによるダイナミックさを感じさせる演奏のどちらも甲乙つけがたく、個人的には今日のハイライトの一つでした。この曲の後Eddiは何を思ったかいきなり「♪うさぎうさぎ〜」と歌いはじめたのでNatalie Merchantの来日公演を思わず思い出していたら(あれも同じような時期だった)、「日本でシングルになったのよ」と喋ったところで理由がわかりました。「月に恋して」というシングルの邦題を日本語で喋った後、Eddi自らギターを持って「”トゥルットゥトゥ、トゥルットゥトゥ、トゥルットゥトゥ、ハイヤー”の後にはリピートしてね」と言ってコーラスの即席講座が始まりました(^^)。これを見たBooとGrahamが二人でなにか話しはじめたらEddiが「喋り過ぎよ、黙りなさい」と一喝(^^;;。さてコーラスの方は、最初の方こそそこそこ声が出ていたものの、その後はみなコーラス付け忘れてました(含私)。。。最後の方のコーラス部でEddiは「月に恋して」と日本語で何回か歌って歓声を浴びてました。
Boo Hewerdineを改めて紹介した後演奏したThe Wanting Kindは新作で唯一のアップテンポナンバーですが、歌いはじめる前にEddiが手拍子を促したこともあり最後まで手拍子が続いてました。この曲はEddiの歌声とBooの軽快なギターが紡ぎ出すメロディがとても魅力的な曲ですが、今日の演奏ではTim Harriesのベースもいい味を出していて、Boo, Graham, Johnnyによるコーラスも良かったです。終盤演奏がいくぶんゆっくりになりEddiもそれに合わせて声量を絞ってゆったり歌ってました。
アルバムタイトル曲であるSimple Soulの後、Eddiが「リクエストある?」と聞いてきて様々な声があがったのですが、予定通り?Hummingbirdが演奏されました。この曲でもやっぱりGraham Hendersonがアコーディオン弾いてたのは嬉しかったです。その後Patience of Angelsを歌うと宣言した後にEddiが「日本語でなんて言うの?」と聞いてきたところ誰も答えないので、敢えて直訳で「天使の忍耐」と答えておきました(答えたのは私です)。ステージから身を乗り出して私の言葉にEddiが耳を傾けてくれた(しかも聞き返してきた)時は特になんということもなかったのですが、後になってやっぱり嬉しくなりました。
その後Please Don't Ask Me to Dance、The Right Placeと演奏され本編は終わったのですが、The Right Placeはまた忘れられない演奏でした。歌いあげるのではなく、リラックスした歌い方で聞かせてくれるEddiの歌声を聞いているうちにEddiの魅力に改めて気付かされ、じっくりと聞き込んでしまいました。途中この日が誕生日だというTim Harriesの為にEddiが"Happy birthday to you♪"と歌い、観客にも歌うように促した後、前回のツアー同様にEverybody's Talkinへメドレーで繋がっていきました(最後はまたThe Right Placeに戻ってきた)。
観客の拍手に促されてアンコールでEddi達が出てきた時、ステージ右側から花とプレゼントがEddiに渡され、これをBooが持ったりしてEddiとBooが記念写真を撮りあってました(^^)。その後EddiがLucky Pennyのコーラス部を歌ってJohnnyにキーを合わせることを要求し、それにJohnnyが応え、EddiがLucky Pennyを歌いだしました。その後Honeychild, Wings on My Heelsと演奏されましたが、ともに良かったです。Honeychildの後半はやはりかなりの盛り上がりを見せたし、Wings on My HeelsはAngels & Electricityで私が一番好きな歌ですが今回は演奏されないと思っていただけに嬉しかったです。
この後一回場内に終わりを告げる音楽が流れたのですが、場内の手拍子が鳴り止まないため、まずGrahamが跳ねるように出てきて、その後次々とEddi達が出てきました。Eddiがまたリクエストを募ったのですが(私はさっきと同じくThe Exceptionをリクエストした)結局「一緒に歌わないとダメよ」とEddiが言ってPerfectが始まりました。さすがにこの曲はみな手拍子を付けて、コーラス部では大合唱がおこりました。途中Eddiが2番の歌詞を忘れましたが(^^;;、それなりに取り繕ってました(1番の歌詞歌ってた、、、けど私も思い出せなかったし)。また演奏中にいきなりEddiが後ろ向きのBooに蹴りを入れて(ちょこんと触るようなものだけど)Booがびっくりするという一幕もありました。Johnny Scottのこの曲での演奏はMark Nevinの演奏を思い起こさせてくれる素晴らしいものでした。
続いて演奏されたのは驚くことにまだリリースされていないEverything。今年リリースされると言われるもう一枚のアルバム、Driftwoodに収録予定で、去年のCambridge Folk Festivalの2日目にも演奏された曲ですが、RoyのドラムとJohnnyのギターが加わったことでとても軽快な、Fairground Attraction時代のCajun Boyを思わせるような曲になってました。この曲でのEddiはやはりFairground時代を思わせるような陽気なかけ声をあげたり、積極的に動き回ったりでとても楽しい演奏でした。この曲が終わってRoyとTimがステージを降りようとしたところ、Eddiがその場に戻るように促し、Footsteps Fallが歌われました。イギリスではAngels & Electricityの時のツアーからたびたび歌われている曲で、既にライブバージョンはTransatlantic Sessions 2 Volume 2に収録されていますが、日本でこの曲が歌われたのは初めてになります。手拍子の中、Eddiがゆったりとした歌声を聞かせてくれたこの曲でコンサートは終了しました。
前回にくらべると幾分会場の反応は控えめで、時間も少し短かったですが、内容的には充実したコンサートでした(ただBooの歌声がもっと聞きたかった気はする)。曲の演奏後たびたびEddiは観客に向かって"Thank you"を言っていたのですが、数回Royに対して"Thank you Roy."と、またRoyも"Thank you Eddi."と返していたのも印象的でした。終演後セットリストの紙を見たのですが、もともとはAdamとかも予定されていたようです(その代わり載ってなかった曲を何曲かやった)。
明日の名古屋も見に行きます。明日はイギリスツアーで歌った曲で今日歌われなかったものをリクエストしようと思います。